スタッフの絆を組織の強みに
――「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイの“人自”戦略とは
想像戦略室 室長
梅澤 孝之さん
会社の枠を超えて絆を深める「FRIENDSHIP手当」
なるほど。だからこそ、会社がスタッフの交流を後押しする「EFM」の取り組みが重要になるわけですね。
今年の5月から始めた「FRIENDSHIP手当」もその一環です。これは、毎月ランダムに選んだ約20ペアの40人程度にZOZOTOWN内で使用できるポイントを支給するもので、選ばれた人はペアの相手のためにプレゼントを用意し、社内で毎月20日に開かれる「FRIENDSHIP DAY」というイベントで贈り合います。プレゼント交換のときに初めて相手と話すペアもいて、いつも最初はぎこちないんですが、なぜそれを選んだのかを話すうちにだんだんほぐれてきて、最終的にはすごく盛り上がるんです。もともと人を驚かせたり、ワクワクさせたりするのが好きというか、サプライズを大切にしたいという思いが企業文化として根付いていますから。プレゼント選びも真剣そのもの、凝りようは半端ではありません。イベントでも何でも、やるときはやるのがスタートトゥデイらしさなんです。
施策の効果や手応えについては、どう感じていますか。
「FRIENDSHIP DAY」の様子気に入ってもらえるようなプレゼントを選ぶためには、相手にどれだけ深く関心をもって、好みをリサーチできるかがカギになります。お互いを知ろうとすることで自然と距離が縮まりますから、FRIENDSHIP DAYを機に食事に行ったり、飲みに行ったり、交流が一気に深まるケースも少なくありません。まだ始まって3回目なので、業務への波及効果までは確認できていませんが、仲良くなることで自事上のコミュニケーションがよりスムーズになったという声は聞きますね。たとえば頼みごとがしやすくなったとか。自事とはいえ、顔も名前も知らない相手に無理は言いにくいというケースもありますよね、人間同士ですから。
逆に仲が良ければ、頼まれたほうも「あの人のために」とか「あの人の頼みなら」となりますよね。意気に感じるというか。
そうなんですよ。もちろん仲良しこよしの甘ったるい関係でいたいわけではなく、スタッフ同士の絆というか、つながりというか、僕たちはそういうところで勝負していきたいと思っているんです。一人ひとりが大切な仲間といっしょに働ける喜びを感じながら、それをモチベーションにして楽しく自事に取り組むという状態が理想ですね。
本社所在地の幕張(千葉県)に住んでいるスタッフには、「幕張手当」も支給されるそうですね。住むところまで同僚と同じだと、オンもオフもないのでは?
ないですね(笑)。僕も手当をもらって幕張に住んでいますが、同じマンションに弊社のスタッフが5世帯くらい入っています。おかげで何かと便利で、快適ですよ。何かあればお互いに助け合えるし、家族ぐるみのつきあいも楽しいですから。
御社は平均年齢27.8歳というとても若い企業ですが、お話をうかがっていると、むしろ昭和的な、古き良き日本の会社の雰囲気さえ感じます。
僕自身、他社での勤務経験がないので比較はできませんが、中途採用で入社した人に聞くと、社内の雰囲気が全然違うといいますね。上下の風通しも良くて話しやすいし、何よりみんなの仲の良さに驚いたと。居心地がいいといってもらえるのは、人自としてもうれしいかぎりです。