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社内コミュニケーションの円滑化が生産性や組織力を向上させる
コミュニケーションツールの傾向と選び方
――種類、機能、選定のポイントをわかりやすく解説

コミュニケーションツールの傾向と選び方 ――種類、機能、選定のポイントをわかりやすく解説

テレワークやコワーキングなど働き方の多様化が進むと同時に、課題として浮上しているのがコミュニケーションのあり方です。社内コミュニケーションが滞ることの弊害は、生産性や人間関係など多方面に及びます。現在では、こうした問題を解消するためのコミュニケーションツールが多数提供されています。

そこで『日本の人事部』では、コミュニケーションツールの種類やトレンドを解説するとともに、企業の活用事例をまとめました。実際にサービスを導入する際のポイントも紹介します。

コミュニケーションツールとは

コミュニケーションツールとは

社内のコミュニケーションを円滑にし、生産性や組織力の向上に貢献するコミュニケーションツール。まずは、種類と機能例を説明するとともに、ニューノーマル時代に求められるコミュニケーションについても触れていきます。

コミュニケーションツールの種類と代表的な機能例

情報通信技術の進化によって、現在はさまざまな機能を備えたコミュニケーションツールが提供されています。主な種類と機能例を以下に整理しました。

種類 機能例
社内SNS
  • 各種デバイスからの情報発信、フォロー機能
  • チャット機能
  • グループ作成
  • タスク管理、進捗管理、スケジュール管理
  • 各種データのアップロード、共有
チャットツール
  • 各種デバイスからのチャット機能
  • グループ作成
  • タスク管理、進捗管理、スケジュール管理
  • 各種データのアップロード、共有
  • チャット内容のタグづけ、検索機能
  • 音声チャット、ビデオチャット
オンライン会議
  • ビデオ会議、音声会議
  • 外部ユーザーの参加招待機能
  • 会議内容の録画、録音
  • カレンダーとの連携
  • 画面共有、資料共有
  • ホワイトボード機能
  • チャットやリアクション機能
バーチャルオフィスツール
  • 座席やルーム、会議室の設定
  • Webカメラによるモニター(オンオフ設定)
  • 在席・離席など稼働ステータスの表示
  • 入退室ログや勤怠管理
  • チャット機能(文字、音声、ビデオ)
  • 画面共有、資料共有

搭載されている機能は、サービス提供各社で異なります。導入する際は、自社に必要な機能を備えているかどうかを事前に確認することが重要です。

コミュニケーションツールが求められている背景

従来、組織におけるコミュニケーションは職場での対面や電話を通して行われるのが一般的で、情報共有には回覧板や掲示板、ファックスなどが使われてきました。その後、インターネットの普及によって情報共有の手段、伝達スピードが向上し、現在ではさまざまなツールによりコミュニケーションの活性化がサポートされています。

コミュニケーションツールが進化を遂げてきた背景には、組織運営において次のような課題が生じるようになったことがあります。

組織運営の課題

  • 情報共有スピードが遅く、リアルタイムで対応できない
  • 社員によって、知っている・知らないの情報格差がある
  • 組織を横断した情報共有の手段がない
  • 経営層と現場とのコミュニケーションが不足している
  • コミュニケーションロスにより、チームワークや人間関係に悪影響が出ている

これらの課題を解消すると同時に、円滑な組織運営および活性化に役立つ多彩な機能を備えたツールが数多く提供されています。

コロナ禍・ニューノーマル時代に求められるコミュニケーションとは

2020年、新型コロナウイルス感染症の流行によってテレワークの導入が進み、働く環境が一変しました。こうした環境下で多くの企業が懸念しているのが、コミュニケーションロスによる事業や組織への影響です。

内閣府の「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」によれば、テレワークで不便な点として「社内での気軽な相談・報告が困難」(34.5%)や、「画⾯を通じた情報のみによるコミュニケーション不⾜やストレス」(27.1%)を挙げる割合が多くなっています。

今後もテレワークを継続する企業は多いと思われますが、従業員同士のコミュニケーションにおいては、情報共有の利便性・スピードに加えて、雑談ができる気軽さやモチベーション維持、相互理解を深めるための工夫が重要になりそうです。

コミュニケーションツールを導入するメリットと注意点

コミュニケーションツールを導入するメリットと注意点

コミュニケーションツールを導入することには、どんなメリットがあるのでしょうか。また、導入時にはどういった点にすればいいのでしょうか。

導入のメリット

コミュニケーションツールを導入することによるメリットは、次の通りです。

生産性の向上

社内のコミュニケーションが活発化すると、報告・連絡・相談のスピードや精度が上がり、結果として生産性向上につながるというメリットが期待できます。

組織の活性化

情報共有やコミュニケーションが滞りがちな組織では、チームでのパフォーマンス低下やミスが多発しやすい傾向が強まります。コミュニケーションが活性化すれば、目的・目標への目線合わせがスムーズになるほか、ポジティブな感情を持てるようになり、組織の活性化につながります。

社員エンゲージメントの向上

コミュニケーションが活発になると、組織の雰囲気が良くなり、良好な人間関係を築きやすくなります。結果的に、社員エンゲージメントが向上し、定着率の上昇が期待できます。

企業の文化・風土の改革

コミュニケーションが活発になり風通しのよい組織になると、経営層と社員という縦の関係、部門横断の横の関係の両方で結びつきが強まり、企業全体としての一体感を醸成できるようになります。企業が目指すビジョンに対する共通の認識や思いが形成され、文化や風土の改革を推し進めることにつながります。

導入における注意点

コミュニケーションツールにはさまざまな種類がありますが、重要なのは社員全員が活用し、その効果を十分に得られることです。導入時は、以下の三つの点に注意する必要があります。

導入目的の明確化と周知徹底

まずは、何を目的に導入し、どのようなゴール感を描いているのかを明らかにすることが重要です。そのうえで、社員に周知する必要があります。強引に導入を進めてしまうと反発が起き、思うように使われない可能性もあるので注意が必要です。社員の理解を十分に得たうえで進めていかなければいけません。

使い方のルールを決める

コミュニケーションツールを導入すると、報告・連絡・相談が活性化するというメリットがあります。しかし一方で、深夜や早朝など勤務時間外の連絡が増えるという問題が指摘されています。導入に際しては、使い方のルールやマナーを設けて周知することも、重要なポイントです。

誰もが使いこなせるようにする

多くのコミュニケーションツールは操作性に優れ、誰もが簡単に扱えるようになっています。ただし、社員のITリテラシーに差があるケースも少なくないため、誰もが使いこなせるような配慮が求められます。説明会の開催やマニュアルの用意など、フォローも念頭に置いて進めることが重要です。

コミュニケーションツールを導入する際のサービス比較ポイント

コミュニケーションツールを導入する際のサービス比較ポイント

コミュニケーションツールに分類されるものは、現在、多種多様となっています。ここでは、自社に適したツールを選ぶときの比較ポイントを見ていきます。

自社の課題と目的に合致しているか

ひとくちにコミュニケーション不足といっても、その中身は企業によってさまざまです。

たとえば、多様な働き方をしている社員同士のつながりが課題となっている場合もあれば、会議時間の圧縮が課題となっているケースもあります。導入に際しては、自社の課題と利用目的を明確にすることが第一歩となります。

求める機能が備わっているか

コミュニケーションツールには多彩な機能を備えているオールインワンタイプと、シンプルな機能に絞り込んでいるタイプとがあります。ツールの機能を比較する前に、まずは実際に活用するシーンを想定したうえで、自社にはどのような機能が必要なのかを明らかにすることが重要です。

また、複数のツールを利用する場合は、機能が重複してしまうケースもあります。社員が混乱しないよう、使い方のルールも踏まえながら検討する必要があります。

操作性は社員のリテラシーにあっているか

多くのコミュニケーションツールは、誰もがわかりやすいユーザーインターフェースや操作性を強く意識していますが、社員のITリテラシーによって使い勝手の良さは変わります。リテラシー差に不安があるときは、デモ版を利用するなどして、複数の社員の意見を取り入れながら検討します。

セキュリティー対策が取られているか

コミュニケーションツールは、PCやスマートフォン、タブレットといった多様なデバイスに対応し、場所の制限なく利用できます。そのため、重要な情報や個人情報の扱いに注意しなければなりません。機器認証やアクセス制限、ログ管理など、セキュリティーを強化する機能を確認することが重要です。

導入する際の運用サポートが必要か

コミュニケーションツールは、自社の業務フローに照らし合わせながら、効率的な運用を目指す必要があります。導入前や運用時に支援が必要な場合は、サポート体制についても確認することが重要です。

コミュニケーションツールを有効活用している企業事例

コミュニケーションツールを有効活用している企業事例

コミュニケーションツールを活用している企業の成功事例を紹介します。

【株式会社サイバーエージェント】
”関係性貯金”を増やす社内コミュニケーション

サイバーエージェントでは、特定曜日をリモートワークの日と定め、オフィス出勤と併用するハイブリッド型の働き方を実施しています。同社では、雑談が減ってしまいがちなリモート環境では、社員同士の「関係性貯金」がすり減ってしまうという考えのもと、相互理解が進む社内コミュニケーションに取り組んでいます。

具体的には、チーム全員が顔を合わせるオンライン会議ツールを利用した朝会で「人となり」を知ってもらうクイズコーナーを設けたり、チャットツールでリレー式自己紹介などを行ったりしています。

コミュニケーションツールを利用するうえでは、リアルに近い距離感を演出する機能や、グループ間移動が楽にできるといった機能を活用して、オンラインコミュニケーションで起こりがちなストレスを解消する工夫も取り入れています。

鶴巻温泉 陣屋

神奈川県・鶴巻温泉の老舗旅館「陣屋」では、スタッフ間の情報共有がうまくいかず、宿泊客からクレームがあがるという課題を抱えていました。そこで、『陣屋コネクト』というシステムを自社で開発します。従来のタイムカードと同じように勤怠管理ができる機能を備えたことで、従業員全員がシステムを使える体制をとりました。

コミュニケーション機能では社内SNSを搭載し、ちょっとした時間に情報共有できるよう促進。宿泊客からの伝言を共有したり、おもてなしのアイデアを出し合ったりしています。同旅館には在宅勤務のインサイドセールスメンバーも所属していますが、社内SNSによって情報伝達の公平性が保たれています。

また、利用頻度の高いスタッフを「社内インフルエンサー」として賞賛する取り組みや、社長自ら社内SNSでアイデアを募るなど、経営と現場が一体となった運営を行っています。

エン・ジャパン株式会社

エン・ジャパンでは、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、全社的にテレワーク勤務に移行しました。同時に、バーチャルオフィスを導入して、コミュニケーション不足を解消する取り組みを実施しています。

「バーチャル本社」と銘打たれたバーチャルオフィスは、各事業部をつないだ建物の形状になっており、社員が各フロアを自由に行き来して気軽に交流できる仕組みです。バーチャルオフィスならではといえるのがアバター(アイコン)で、リアルなオフィスにいるかのように、お互いの存在を感じながらやり取りできる面白さがあります。

また、気分によって仕事をするスペースを選べたり、雑談ができる空間を設けたりといった工夫もなされています。社員からは、一体感がありモチベーションがアップする、雑談で息抜きができる、業務効率が上がったなどの声が上がっています。

コミュニケーションツールを提供する全国のソリューション企業一覧

ここではコミュニケーションツールを提供する企業とそのサービスを紹介します。

社内SNS

グループチャット

オンライン会議

バーチャルオフィスツール

ツールの機能性だけでなく活用方法によって効果が広がる

多様な働き方が促進される中で、社内の人間関係や信頼関係構築の鍵となるのがコミュニケーションツールです。

オンラインコミュニケーションでは、自然発生的な雑談が減る、他の社員が何をしているのか見えない、孤立感が強まりモチベーションが下がるといった課題が挙げられています。これらの課題を解消するには、ツールをどう活用していくかが問われます。さまざまなアイデアにより、活用方法や導入効果は広がっていくのです。他社の活用事例も参考にしながら、自社のコミュニケーション体制を見直してみてはいかがでしょうか。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「人事辞典「HRペディア」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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この記事ジャンル HRテクノロジー

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