転職先の紹介は早い者勝ち? 激しい紹介会社間の争いとは
転職希望者が希望しても無理? 「早く紹介したほうを優先」というルール
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知らない間に推薦されていた?
私は大急ぎでAさんに電話をかけた。
「実は私も、ついさっき知ったんです」
Aさんが仕事を終えて自宅に戻ると、数日前に訪問したある紹介会社から「B社の書類選考を通過したので、面接可能な日を教えて欲しい」というメールが届いていた。
「Aさんはその紹介会社に推薦を依頼されたのですか?」
「いいえ、御社にお願いすることにしていたので、案件として興味はありますとは答えましたが、応募して欲しいとは言っていません」
大体の事情が飲み込めてきた。今は紹介会社間の競争が非常に激しい。特に優秀な人材、しっかりしたキャリアを持った人材は争奪戦なのだ。1日でも早く転職相談を行い、他社より少しでも早く企業に推薦したいと考え、転職希望者が興味があると答えただけで、氏名や勤務先などを伏せた上で企業側に打診する「仮紹介」を行うところもある。今回もこのケースだろうと私は思った。
「できれば御社からの推薦でお願いしたいのですが、無理でしょうか?」
「たぶん難しいでしょうね……」
こうした事例は時折あるので、企業側の対応はほぼわかっている。複数の紹介会社からの推薦があった場合は「1分でも早い方を優先する」という企業が大多数なのだ。

別の会社でのことだが、人事責任者に「候補者の方の意向といわれても、弊社では確認できませんから」とはっきり言われたこともある。もちろん、求人企業側の上層部との間に太いパイプでもあれば話は別かもしれない。しかし、B社とは担当者レベルでのつきあいしかなかったので、上から攻めるのはまず無理な話だった。
「でも、書類が通過してよかったですね。今後はB社の案件について直接のサポートやアドバイスはできませんが、ぜひ頑張ってください」
私はAさんにそう伝えた。転職希望者にとっては、最終的に入社する企業が重要だ。紹介会社は転職活動のツールにすぎない。もちろん内定を獲得するまでの間に良いアドバイスをくれる紹介会社とつきあうことも大切だが、そればかりを重視してせっかくの面接のチャンスを辞退するのは本末転倒である。
「ありがとうございます。頑張ります」
Aさんの声を聞きながら、本音では「このルール、なんとかならないのだろうか」と思った。丁寧なアドバイスやコンサルティングをウリにしている紹介会社間の競争が「早い者勝ち」というのは少々残念だが、これもまた現実なのである。
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