センシティブな転職相談
一つの言葉にも配慮が求められる転職サポート
人材紹介は転職という、人生の中でも大きな選択に関わるサービス業だ。キャリアアップのため前向きに転職しようとする人もいれば、必要に迫られて急いで新しい仕事を探したい人もいる。相談に来る人は誰もが真剣だが、中には思い通りにいかない転職活動に焦ったり、センシティブになったりする人もいる。それだけに、ちょっとした言葉づかいや何気ない対応が誤解を生んでしまうこともある。
紹介が難しいことは珍しくない
「誠に申し訳ございませんが、現在、Aさんの希望されている業界・職種では、ご紹介可能な案件が非常に少ないんです。新たな求人が出た際には、速やかにご連絡いたします」
人材紹介会社にとって何よりも大切なのは、転職希望の人材だ。しかし、自社に登録してくれたすべての人の希望に沿えるわけではない。業界や職種によっては、ほとんど取り扱いがないケースもある。
企業は採用を行う際、職種やポジションによって「人材紹介」や、「求人広告」「公募」といった手法を使い分けていることが多い。また、「人材紹介」の場合、紹介会社によって強い「職種」や「業界」、「年齢層」「役職」は異なる。当然、不得意な分野の求人の取り扱いは少なく、転職希望者から相談をもらっても、求人を紹介できないことがある。
相談に来てもらっても紹介できる求人がなさそうな場合は、冒頭のように状況を説明して理解してもらうことになる。人材紹介会社は原則、転職相談を断ることはできないが、「求人案件がない」と丁寧に説明すれば、ほとんどの方は「それなら相談は求人が出たときに」と納得してくれる。しかし、時には例外もある。
「事情はよく理解しました。ただ、広く転職についてアドバイスしていただきたいと思っています。ぜひ一度、相談の機会をいただけないでしょうか」
そんなふうに依頼された場合は、再度事情を説明するとともに、転職一般に関する質問に回答したり、アドバイスをしたりすることもある。
「なぜ転職活動がうまくいかないんでしょうか」
どこからもあまり紹介が受けられず、センシティブになっている人の中には、一言では答えられないような難しい質問をしてくる人もいる。