センシティブな転職相談
一つの言葉にも配慮が求められる転職サポート
- 1
- 2
ふとしたきっかけで誤解が生まれる
「転職というのは本当にタイミングなんです。長い間、自分にあう求人がまったくなかったのに、ある日突然求人が出てあっという間に採用が決まった、というケースも珍しくありません」
紹介が少なくて悩んでいる人には、実際にあった事例を話したり、「紹介と公募を併用して探しましょう」などとアドバイスしたりするのが一般的だ。ただ、転職活動が長引くなどして、精神的に追い詰められている人の場合、それを「適当な気休め」ととってしまうこともある。そんなときは、一つひとつの言葉にも細心の配慮が必要だ。
「今、笑いましたね。こっちが真剣に話しているのに笑ったでしょう!」
相談中にそう気色ばまれたこともある。まったく笑ったつもりはないのに、その人にはそう見えてしまったらしい。ひたすら謝るしかない。
本人ではなく、家族からのクレームの電話を受けたこともある。
「あなた、ひどいことを言ったらしいね!」
受話器を耳から離さないといけないほどの大声で激高している。なんと相談に来た人の身体的特徴を理由に「紹介できない」と言った、というのだ。もちろん、思い当たる節はまったくない。そもそも人材紹介会社のアドバイザーが転職相談の席でそんな失礼なことを言うわけがない。
結局、数十分にもわたって身に覚えのない苦情を聞くことになった。今でもなぜあのようなクレームが入ったのかまったく理解できないでいる。
ただ、立場を変えて考えると、人材紹介会社にとっては大勢の転職希望者の一人でも、個人にとって「紹介してもらえない」ということが非常にショックだということはわかる。
「紹介できない方に対しては、より丁寧な言葉や対応を心がけないといけないな……」
今回紹介したような事例を思い出すたびに、気持ちを新たにするのである。
- 1
- 2