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タナケン教授の「プロティアン・キャリア」ゼミ【第69回】
キャリア・エンゲージメントを考える──自律と共創のキャリア戦略

法政大学 キャリアデザイン学部 教授

田中 研之輔さん

タナケン教授の「プロティアン・キャリア」ゼミ

令和という新時代。かつてないほどに変化が求められる時代に、私たちはどこに向かって、いかに歩んでいけばいいのでしょうか。これからの<私>のキャリア形成と、人事という仕事で関わる<同僚たち>へのキャリア開発支援。このゼミでは、プロティアン・キャリア論をベースに、人生100年時代の「生き方と働き方」を戦略的にデザインしていきます。

自身のキャリアにどれだけ関わっているのか

プロティアン・キャリア ゼミでは、最先端のプロティアン・キャリア理論を支柱に、伝統的キャリア理論から出発し、人生100年時代を生き抜くためのキャリア構築と再構築を皆さんと一緒に考えてきました。

第1回から現在に至るまで、特性因子論、スーパーのキャリア段階論を踏まえつつ、バウンダリーレス理論、キャリア構築理論、カレイドスコープ理論へと理論的に進化し、企業現場の実践と重ね合わせることで、より良き働き方やこれからのプロティアン・キャリアについて検討を重ねてきました。

また「キャリア対話」や「ライフプレナー」といったキーワードを通じて、変化し続ける個人に向けた具体的な支援モデルを提示してきました。こうしてプロティアン・キャリア ゼミは、「自分で問い、対話し、行動するキャリア人」を育む場として6年間、着実に歩みを重ねてきました。

そこで今回のゼミでは、次の言葉を皆さまに投げかけてみたいと思います。

「あなた自身のキャリアにどれだけ関わっていますか?」

関わるというのは、関係性の深度を意味します。これまで組織と個人の「関わり」を捉える概念や指標として重視されてきたのは、エンゲージメントでした。エンゲージメントという概念は、もともとKahn(1990)が提唱した「パーソナル・エンゲージメント」に端を発し、仕事における身体的・情動的・認知的な関与を意味していました。その後、Schaufeliら(2002)によって「ワーク・エンゲージメント」が提唱され、「活力」「熱意」「没頭」という3要素で仕事への心理的にポジティブな状態が測定されるようになりました。

これらは主に「組織内キャリア」を前提とした概念であり、安定した企業への帰属や長期的な雇用を背景に発展してきたものです。つまり、組織の一員としていかに主体的に働くか、という文脈において語られてきたのです。

しかし、プロティアン・キャリア ゼミで繰り返し取り上げてきたように、1990年代後半以降、キャリアに対する見方は大きく変わっていきます。Hallが提唱したプロテアン・キャリア理論(自己主導性・価値観指向)や、Arthur & Rousseauのバウンダリーレス・キャリア理論(越境・柔軟性重視)の登場により、キャリアは「組織に与えられるもの」から「個人が選び築くもの」へと変容していきました。

この転換にあわせて、エンゲージメント概念もアップデートしていかなければなりません。そこで今回のゼミでは、「キャリア・エンゲージメント」という考え方を皆さまに共有したいと思います。

キャリア・エンゲージメントとは?

キャリア・エンゲージメントとは、個人が自分の生き方とどう向き合い、どれだけ深く前向きに関与しているかを示す心理的・行動的な状態のことです。これまでのエンゲージメントが組織や仕事への関わりを前提としていたのに対し、キャリア・エンゲージメントは、人生の軌道そのものへの深い関与を促すものです。組織に依存するキャリアから自律的なキャリアが求められる歴史転換期に、自らの意志でキャリアをつくりあげていくために必要なのが、キャリア・エンゲージメントだと捉えることもできます。

いわば、キャリア・エンゲージメントとは、「あなたが人生をどう生きたいのか」に対して、どれだけ真剣に向き合っているかを捉える概念だと理解できます。この点に着目した研究蓄積の中で特に、参考になるのがHirschi, Freund, & Herrmann(2014)による論文「Career Engagement Scale: Validation and Relations to Career Adaptability and Other Indicators of Adaptive Career Behavior」です。

Hirschiら(2014)は、Kahn(1990)のエンゲージメント理論と、Savickas(2013)のキャリア適応性理論を基盤にキャリア・エンゲージメントの概念を構築しています。

キャリア・エンゲージメントは、次の6つの構成要素(行動的側面)から規定されます。

キャリア・エンゲージメントの構成要素
1. キャリア計画Career Planning 将来のキャリア目標や計画を立てる行為。戦略的なビジョン構築
2. キャリア自己探求Career Self-Exploration 自分の興味、価値観、スキルなどを省察するプロセス
3. 環境的キャリア探求Career Environmental Exploration 市場や業界、職業世界など外部環境をリサーチする行為
4. ネットワーキングNetworking 自分のキャリアにとって重要な他者とつながる行動
5. スキル開発Human Capital Development 能力向上のための学習行動。リスキリング・自己研鑽
6. ポジショニング行動Positioning Behaviors キャリア機会を得るために、自分を適切に位置づける行為
(例:社内異動希望、面接準備など)

これらの行動が積み重なることで、キャリアは従来型の組織へのエンゲージメントから、自らの生き方に対するキャリア・エンゲージメントへと理解と実践を転換させていくことができます。

どんな年齢でも、いつからでもキャリアは開拓できる

より理解を深めるために、企業現場の事例を取り上げてみることにしましょう。

「53歳の私が、いまさら社内公募に挑戦してもいいんでしょうか?」

そう話したのは、ある製造業の大手企業に勤める営業部門のマネージャー、佐伯さん(仮名)です。新卒から30年間、同じ部署で地道に実績を積み、組織の信頼を得てきた佐伯さんですが、近年は「何かを変えたい」という感じる機会が多かったそうです。

そんな折、社内イントラに「DX推進室」の公募案内が掲載されました。AIやデータを活用した新規事業を企画・推進する若手中心の部署です。これまでのキャリア経験からすると無縁だと思いましたが、ふとした瞬間にある言葉が頭をよぎります。

「キャリアは、与えられるものではなく、自ら創るものだ」

その言葉は、数ヵ月前に受けた社内キャリア研修で耳にしたものでした。キャリアに対して、計画し、学び、行動し、つながる。この言葉が、じわじわと佐伯さんの内側に火を灯していたのです。

週末に、佐伯さんはキャリア資本の棚卸しをしました。自分の強み、これまでに乗り越えてきた困難、これからどんな自分になりたいのか。ページは自然と埋まり、気がつくと月曜には公募への志望理由書を書き上げていました。

「社内公募で採用されなくてもいい。今の自分が、本気でキャリアに関わったという事実がほしかったんです」

結果、佐伯さんは“最年長合格者”としてDX推進室に異動。最初の半年間は専門用語に翻弄(ほんろう)されながらも、若手メンバーと向き合い続け、「現場目線の説得力」で企画をまとめあげるキーパーソンへと成長しました。佐伯さんは、自らの行動を次のように振り返ります。

「53歳での社内公募エントリーは“最後の挑戦”なんかじゃなかった。“これからの始まり”だったんです」

このエピソードは、キャリア・エンゲージメントの本質──すなわち、「自らのキャリアに関与し、未来を自分の手で編んでいく」という姿勢を、体現しています。年齢は関係ありません。自身のキャリアに関与しようとする意志と行動が、キャリアの再スタートを切る力になるのです。

「最近、目標を立てていない」「自分が何をしたいのか分からない」と感じるなら、まずはほんの小さな行動から始めてみましょう。週に一度、自分の未来について手帳に書き出してみる。それだけでも、あなたのキャリアは確実に動き始めます。自らのキャリアに向き合うことができているのであれば、関わり合う社員のキャリアに寄り添い、社員一人ひとりのキャリアをプロデュースしていきましょう。

キャリア・エンゲージメントとは、自らのキャリアに責任を課すというように固く捉えることなく、これからの生き方や働き方に自分なりに向き合っていくことです。

私はこれまで、何万人という社会人にキャリア知見を伝え、キャリアに向き合う瞬間を見てきました。共通して言えるのは、どんな年齢でも、いつからでもキャリアは開拓できる、ということです。キャリアに自ら向き合ったその瞬間から、人生の歯車は動き出していくのです。

自分の未来に、もう一歩深く関わること。キャリア・エンゲージメントが、あなたとあなたが関わる人々のこれからを切り拓いていくのです。

田中 研之輔氏
田中 研之輔氏
法政大学キャリアデザイン学部教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事/明光キャリアアカデミー学長

たなか・けんのすけ/博士:社会学。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。専門はキャリア論、組織論。UC. Berkeley元客員研究員、University of Melbourne元客員研究員、日本学術振興会特別研究員SPD 東京大学。社外取締役・社外顧問を31社歴任。個人投資家。著書27冊。『辞める研修辞めない研修–新人育成の組織エスノグラフィー』『先生は教えてくれない就活のトリセツ』『ルポ不法移民』『丼家の経営』『都市に刻む軌跡』『走らないトヨタ』、訳書に『ボディ&ソウル』『ストリートのコード』など。ソフトバンクアカデミア外部一期生。専門社会調査士。『プロティアン―70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本論』、『ビジトレ−今日から始めるミドルシニアのキャリア開発』、『プロティアン教育』『新しいキャリアの見つけ方』、『今すぐ転職を考えてない人のためのキャリア戦略』など。日経ビジネス、日経STYLEほかメディア多数連載。プログラム開発・新規事業開発を得意とする。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

オピニオンリーダーからの提言

HR領域のオピニオンリーダーによる金言・名言。人事部に立ちはだかる悩みや課題を克服し、前進していくためのヒントを投げかけます。

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【用語解説 人事辞典】
キャリア
シャドウイング
効果測定
静かな退職(Quiet Quitting)
心理的資本(Psychological Capital)
従業員スライビング(employee thriving)
キャリア自律
タフアサインメント
組織コミットメント
プロアクティブ行動