職場のモヤモヤ解決図鑑
【第7回】在宅勤務で部下の姿が見えないのに、どうマネジメントするの?
自分のことだけ集中したくても、そうはいかないのが社会人。昔思い描いていた理想の社会人像より、ずいぶんあくせくしてない? 働き方や人間関係に悩む皆さまに、問題解決のヒントをお送りします!
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志田 徹(しだ とおる)
都内メーカー勤務の35才。営業主任で夏樹の上司。頼りないが根は真面目。口癖は「う~ん…(無言)」
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児玉 夏樹(こだま なつき)
社会人3年目の25才。志田の部下。ネットとサブカルが好き。仕事はビジネスライクにこなす。
在宅勤務になった志田さん、遠隔で働く児玉さんの様子を確認しようと連絡して、逆効果になってしまうなど、部下とのコミュニケーションがうまくとれずに悩んでいるようです。新しい生活で導入が進む在宅勤務。マネジメントに求められる姿勢について考えてみましょう。
在宅勤務時代の部下の悩みとは?
新型コロナウイルスへの感染防止策として、急速に広まっている在宅勤務。自宅やオフィスから離れた場所でも仕事ができる一方で、誰とも顔を合わせない環境ゆえの悩みも生まれています。
在宅勤務はコミュニケーションが不足しがち
オフィスにいれば「ちょっといいですか?」と相談できた話も、在宅勤務では同じようにいきません。電話やオンラインビデオといったツールはありますが、相手の様子がわからないため、気軽に声をかけることを遠慮してしまいます。
とくに部下や新入社員にしてみれば、上司や先輩にオンラインで声をかけるハードルは高いもの。相談や悩みを抱え込めば、成果に支障をきたすだけでなく、メンタル面での不調にもつながりかねません。
在宅勤務では、仕事の成果しか見えない
在宅勤務では、仕事の過程が見えないことも問題の一つです。例えば社内メールを送って、返信まで数時間空いたとき。相手が商談や資料作成で忙しかったのだとしても、その姿は見えません。「返信がないけれど、ちゃんと仕事をしているのか?」と考えてしまいがちです。かといって、即時返信を義務づけるような働き方は現実的ではなく、何よりも部下にとって過大なプレッシャーとなります。
在宅勤務はオンオフの切り替えが難しい
時間管理と気持ちの切り替えも在宅勤務での大きなポイントです。一人で作業する在宅勤務では、生産性を意識しつつ集中できるようなタスク管理を部下自身が行わなければなりません。一方で、移動時間や雑談といった余白が少ないため、チームで協力して働く喜びを感じにくくなってしまいます。
在宅勤務だからこそ、上司が気を配るべきマネジメントの心得
直接顔を合わせる機会が少ない在宅勤務のマネジメントは、「信頼」がキーワード。部下を信頼することを前提に関係を構築し、意識的にコミュニケーションをとる機会を作りましょう。
在宅勤務をする部下への「しんぱい」を「しんらい」に
ちゃんと仕事をしているか、心配する気持ちだけでは在宅勤務マネジメントはうまくいきません。ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス 取締役 人事本部長の島田由香さんは、「『ぱ』を『ら』に変え、『しんぱい』ではなく『しんらい』しましょう」と話しています。またカルビー 執行役員 人事総務本部 本部長の武田雅子さんも、信頼がなければテレワークは成立しないと語っています。
部下は「仕事をしている」という前提で接しましょう。そのためには、相互理解の土壌をつくることが大切です。たとえば、テキスト上でも「〇〇してくれてありがとう!」といった小さな声かけが信頼の蓄積になります。質問してきた部下に対して、「わからない部分をちゃんと聞いてくれてよかった」とポジティブな反応をすると、声をかけやすい雰囲気が生まれます。
在宅勤務に必須の情報共有と見える化の仕組み
情報共有といったハード面の整備も、ストレスのない在宅勤務には重要です。業務に必要な資料や顧客情報といったノウハウを蓄積し、閲覧できる場所を作りましょう。それにより、「あの資料はどこですか?」といった質問を減らし、その分の時間をフォローアップや、答えの決まっていない相談事に生かせます。
部下の業務量や進行中のタスクを把握できるようなツールの導入も効果的です。
在宅勤務では上司から意識してコミュニケーションをとろう
在宅勤務では「聞いてこなければ大丈夫」ではなく、「大丈夫かどうかを聞いて確認する」という姿勢が必要です。どんなにハード面を整備し、話をしやすい雰囲気を作っても、オフィスで顔を合わせる環境と在宅勤務は異なります。
毎日10分の朝会、不定期のランチミーティング、1on1でのフォローアップなどを積極的に導入しましょう。「きちんと見ているよ」という姿勢が部下に安心感を与え、スムーズなコミュニケーションにつながります。
- 在宅勤務は、ちょっとした相談や質問がしづらい
- 孤独感からメンタルの不調を訴えるケースもある
- 心配ではなく、目標達成にむけて部下が行動していると「信頼」することが大切
- 情報共有のハード面での整備や、質問しやすい雰囲気づくりの声かけが重要
- 上司から積極的に部下に話しかける機会をつくろう
後編では、在宅勤務で成績が下降しはじめた部下のフォローの仕方について紹介します。
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