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キーパーソンが語る“人と組織”

新規事業を50以上立ち上げたフリーランサーが語る
企業と「“解像度の高い”仕事のプロ」とのいい関係づくり

株式会社守屋実事務所

守屋実さん

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守屋実さん(株式会社守屋実事務所)

戦後長らく続いてきた日本の雇用制度が、見直しを迫られています。特に争点となるのが、終身雇用の是非です。人生100年時代の到来と労働力人口の減少が重なり、企業の生存競争は増すばかり。定年制度自体が成り立たなくなると、示唆する人もいます。こうした背景もあり、一部の企業では柔軟な人材の活用に乗り出し始めてきています。その一つが、これまで一部の業界や業種に限られていたフリーランスの登用です。これまで50以上の新規事業を手がけ、フリーランサーとして活躍する守屋実さんに、「仕事のプロ」との付き合い方を、自らの経験を踏まえながらお話しいただきました。

プロフィール
守屋実さん
株式会社守屋実事務所

1992年にミスミに入社後、新市場開発室で、新規事業の開発に従事。2002年に新規事業の専門会社、エムアウトを、ミスミ創業オーナーの田口氏とともに創業、複数の事業の立上げおよび売却を実施。2010年に守屋実事務所を設立。新規事業創出の専門家として活動。ラクスル、ケアプロの立上げに参画、副社長を歴任後、博報堂、ジーンクエスト(ユーグレナグループ)、サウンドファン、ブティックス、SEEDATA(博報堂グループ)、AuB、みらい創造機構、ミーミル(UZABASEグループ)、JCC、テックフィード、キャディ、フリーランス協会、JAXA、セルム、FVC、日本農業などの取締役、フェロー、理事など、リクルートホールディングス、JR東日本スタートアップなどのアドバイザー、内閣府の有識者委員、山东省工业和信息化厅の人工智能高档顾问を歴任。2018年4月にブティックスを、5月にラクスルを、2か月連続で上場に導く。著者に「新しい一歩を踏み出そう!」(ダイヤモンド社)がある。

ひたすら新規事業を繰り返した結果、「プロ」になった

守屋さんは新規事業の「仕事のプロ」として、30年のキャリアをお持ちです。

スタートは、今から30年以上前の学生時代までさかのぼります。先輩を手伝う形で、一緒に会社を立ち上げました。当時はバブル真っ盛りで華やかな時代。特に東京だと、合コンにパーティーにスキー旅行など、学生をターゲットにしたイベントを企画すれば、めちゃくちゃ稼げたんですよ。例えばディスコを貸しきってパーティーを開催すれば、一夜にして数千人の学生が集まりました。スキー旅行ではホテルを2棟貸しきり、バスを20台手配しました。

ディスコに来るような学生は、人一倍おしゃれや流行に敏感な層です。今でいうインフルエンサーのような影響力を持っていましたから、企業が目をつけないはずがありません。化粧品やお酒、たばこの会社に旅行代理店などがイベントのスポンサーとなり、パンフレットに広告を出したり、新商品のサンプルを提供したりしてくれました。

企業からすれば、自分たちでわざわざ学生を集めなくてもマーケティング活動ができるので、そこでお金が動くわけです。でも当時、そのようなビジネスの仕組みについて、まったく考えたことなどありませんでした。ただもうかる、楽しい、と勢いで動いていたんです。バブルという時代だったから、なし得たことなのでしょう。今の学生が起業するのとは、まったく感覚が違ったのです。

就職も持ち前の行動力を買われてとのことでした。

先輩の会社を手伝うつもりで応募した学生向けビジネスコンテストで優勝したのですが、そのコンテストの主催者が、金型部品などの流通を扱うミスミだったんです。入社後は新市場開発室に配属し、ひたすら新規事業の立ち上げを担当していました。ミスミの創業オーナーである田口弘さんからは、「新規事業のプロになれ」と言われていました。

「新規事業だけを延々とやっている人は誰もいない。うまくいくとその事業の責任者になって出ていってしまい、失敗すると二度とアサインされなくなってしまう。だから、新規事業の現場には“新規事業の素人”しか残っていない。先人の失敗が引き継がれず、いつまで経っても同じ失敗を繰り返すから、死屍累々なんだ」と。

たとえば弁護士は法律の知識をもとに、ひたすら裁判や法律相談を行っているから、プロの弁護士として腕が磨かれていく。それと同様に新規事業“だけ”をやって、その道を極めろということでした。

それから10年、ミスミで新規事業を手掛けたのちに、田口さんが立ち上げた新規事業の専門会社に転職し、さらに10年、ひたすら新規事業を手がけました。その後、2010年に独立して自分の会社を立ち上げ、ちょうど10年になります。結果として新規事業だけを30年強やり続けて現在に至っている、ということになります。これまでに手がけた新規事業は、自分の年齢と同じ50件。プロジェクトレベルの小さなものまで含めると、それ以上になります。

今でこそ「新規事業のプロ」とうたっていますが、就職した当時の私は仕事に特別な感情を持つことはありませんでした。いち会社員として責務を全うしようと、がむしゃらに動き続けたに過ぎません。私自身が自分のキャリアを率先して考えてきたわけではなく、田口さんという人と出会って、田口さんのつくったレールに乗っかった結果、たどり着いたのです。

守屋さんが自己紹介で使うスライド。19歳から30年余り新規事業でかかわってきた会社の一覧

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