2023年3月期決算から、一部の上場企業を対象に人的資本の情報開示が義務化されました。それから1年たちますが、人的資本情報の可視化や収集などに手間取り、本質的な人的資本経営に取り組めていない企業は少なくありません。人事部門は人的資本の情報を活用し企業成長につなげるために何をすべきなのでしょうか。日本企業における情報開示の現在地や、人的資本情報を効果的に活用している事例、そして人的資本情報の管理ができる統合人材管理プラットフォームである『SAP SuccessFactors』について、SAPのパートナー企業で国内唯一の人事専門のプライムベンダーである株式会社オデッセイの秋葉 尊さん、SAPジャパン株式会社の森 太郎さんにうかがいました。
- 秋葉 尊さん
- 株式会社オデッセイ 代表取締役社長
- 森 太郎さん
- SAPジャパン株式会社 バイスプレジデント 人事・人財ソリューション事業本部長
人的資本情報の開示に差が生じつつある
上場企業を中心に人的資本の情報開示が義務化されてから、1年が過ぎました。日本における情報開示の状況をどのようにご覧になっていますか。
秋葉:人的資本の開示については、企業の取り組みに差が出ています。当社では2024年4月に、「人的資本の情報可視化や開示の取り組み状況」について、年商500億円以上もしくは従業員数1,000名以上の企業の人事部、経営企画部の方(役員含む)500名を対象とした調査を行いました。そのなかで「有価証券報告書への義務化事項以外も含め外部へ積極的に開示している」と答えた企業は、上場・非上場併せて37%。情報開示が義務化されている上場企業に限ると、52.5%と約半数に上ります。
義務化されている項目については上場企業の約8割(78%)が開示していますが、見方を変えると上場企業の2割は人的資本の情報を開示していないとも言えます。このように、実施状況にはバラツキが見られます。
25年以上に渡りSAPの人事領域を専門にコンサルティングサービスを提供しており、国内100社以上のお客様に弊社のソリューションをご愛用頂いております。昨今は、SAP SuccessFactorsを活用した独自のソリューションにより、人的資本情報の「モニタリングから活用」や「開示作業の効率化」など人的資本経営の実現に向けた仕組み作りをご支援させて頂いております。お悩みごとがあればご相談ください。