2020年4月に「改正健康増進法」が全面施行され、屋内は原則として禁煙となりました。非喫煙者にとって、たばこの煙のにおいは不快の原因。最近では、スモークハラスメントという言葉も聞くようになりました。企業としても、何らかの対策を講じることが求められています。こうしたなか、「煙のない社会の実現」をビジョンとして掲げ、喫煙を取り巻く環境整備に向けた新たな選択肢を提案しているのが、フィリップ モリス ジャパンです。今、企業では喫煙に関してどのような課題があり、その解決に向けてどのような解決策を提供しているのか。同社のフィールドエグゼクティブである、松家弘典さんにうかがいました。
- 松家弘典氏
- フィリップ モリス ジャパン 新橋ユニット 主任
2004年フィリップ モリス ジャパン入社。都内の企業、ホテル、飲食店を中心に、煙のない職場環境構築に向けた提案および実施導入に向けたサポート活動を行う。
マナーからルールへ。改正健康増進法がスタート
2020年4月1日から全面施行された、改正健康増進法の概要と目的を教えていただけますか。
改正健康増進法の全面施行により、オフィス内は原則として禁煙となりました。目的は、望まない受動喫煙をなくすこと。そのために、各種喫煙専用室の設置基準を明確にしています。オフィス内に喫煙スペースを維持するのであれば、設置基準を満たした喫煙専用室または加熱式たばこ専用室のいずれかを設置しなければいけません。当社でも、環境整備の改善など改正健康増進法に対応した取り組みを積極的に展開していきたいと考えています。
ここ数年で喫煙人口が大幅に減ってきており、喫煙者に対する企業の姿勢も大きく変わってきています。企業の喫煙対策の現状と問題点について教えてください。
最も問題になっているのは、たばこの煙のにおいです。20年ほど前は、デスクで紙巻たばこを吸う行為や、その煙のにおいがあまり問題にはなることはありませんでした。しかし、昨今は非喫煙者から、紙巻たばこの煙のにおいに対する不満の声が増えています。これに伴い、多くの企業が非喫煙者の受動喫煙対策に取り組んでいます。当社が2019年9月に従業員数1,000人以上の企業の人事・総務ご担当者600名を対象に行った調査でも、55.8%が喫煙対策に着手していて、65.4%が社員の喫煙を課題として捉えていました。健康経営を進める上でも、喫煙対策は今後ますます、クローズアップされるでしょう。
たばこの煙のにおい解消にいかに取り組むかが喫緊の課題に
企業はたばこの煙のにおい対策をどのように行っているのでしょうか。
人事・総務ご担当者のもとには、たばこを吸わない社員から「社内でのたばこの煙のにおいが強い」などの不満の声が数多く寄せられています。大手企業には自社に喫煙所を設けるところも多いのですが、喫煙したあとに髪の毛や洋服にたばこの煙のにおいがついたままエレベーターや廊下などを移動すると、どうしてもたばこの煙のにおいが残ります。それに対してできることといえば、喫煙所に消臭剤を置いて「出るときに消臭剤をかけてたばこの煙のにおいを消しましょう」と呼びかけるくらいでした。
社内は完全禁煙とし、社員にたばこをやめるように促している企業もありますが、なかなかうまくいってないところもあると聞きます。完全禁煙となったため、社員が会社を出て屋外でたばこを吸っているケースもあるようです。
貴社では、企業内での喫煙課題にどのように取り組まれているのですか。
企業の喫煙問題については、以前から会社を挙げて取り組んできました。加熱式たばこ専用室であれば、たばこの煙やにおいの問題を軽減できる可能性があります。東京都内の企業や協会、組合、団体に対して、喫煙室の加熱式たばこ専用室への切り替え、環境の整備を提案しています。
たばこの煙のにおいに対する不満を解決するために、従業員の方に喫煙問題に関するアンケートを実施。そのアンケート結果を基に、人事・総務ご担当者といろいろな対策を検討し実施しています。
喫煙対策は企業にとってルールに
企業によって喫煙課題への取り組みに温度差はありますか。
喫煙マナーやたばこの煙のにおいに対していち早く対応する企業もある一方、対応はこれからという企業も少なくありません。
先ほどご紹介したアンケート結果によると、社内の喫煙課題に着手できていない理由として多いのは、「時間とコストの懸念」「具体的な対策が分からない」「社内調整の難航」など。こういった状況に対して、今回の法改正は良いきっかけになると思います。企業には「喫煙対策はマナーではなくルールになりました」とご説明しています。
「煙のないオフィス」を提案し、その実行をサポート
貴社は、企業の喫煙課題解決に向けたサポート活動に取り組まれています。その理念や方針をお聞かせください。
当社では、できるだけ早い時期に紙巻たばこから撤退し、「煙のない社会」を実現することを目指しています。現在喫煙している成人喫煙者にとってベストな選択は禁煙することです。ただし、喫煙のように、健康被害や危険をもたらす行動習慣において、行為そのものを阻止するのではなく、その被害や危険を可能な限り最小限に抑えるというハーム・リダクションの考え方にもとづき、どうしても禁煙できない場合の選択肢として加熱式たばこへの切り替えを提案しています。
こうした考え方にもとづき、私たちは人事・総務ご担当者に対し、それぞれの企業が抱える喫煙課題を丁寧にヒアリングし、また随時相談しながら、当社の知見やノウハウ、経験をもとに、喫煙課題解決に向けた最適なソリューションをご提案し、その実行をサポートしています。
たばこの煙のにおい以外に企業が抱えている問題は他にありますか。
大手企業のビルの場合、喫煙所のランニングコストなど、管理コストがかなりかかります。喫煙所には煙を吸う機械が設置されているので、そのリース料やフィルターの交換費用なども必要です。清掃管理者のコストも生じます。こうしたコストをどう削減するかは大きな問題です。
ソリューションの流れを教えてください。
まず、当社の専門コンサルタントが企業を訪問し、人事・総務ご担当者から、喫煙所の利用状況や課題、喫煙に関するルールをヒアリングします。その上で、どういった対策を取るべきか、また計画を実行するための適切なスケジュールや従業員の方々への周知方法などをご提案します。提案した内容をご了解いただいた後は、サポートプログラムを実行し、その後の効果検証もサポートしています。
喫煙環境整備に向けては、今回の法改正が本当に良いきっかけになると思います。
実際に貴社のソリューションを導入された企業の事例を教えてください。
帝国ホテル様の事例をご紹介したいと思います。従業員が休憩時間にたばこを吸った後に、接客業務を行うと、お客さまからたばこの煙のにおいに関して改善の要望が寄せられていたそうで、当社にご相談をいただきました。
まずは、煙のにおいがでない加熱式たばこのメリットを喫煙者に理解してもらう機会を定期的に設けました。加熱式たばこのユーザーになった方に、アンケートを行ったところ、「会社に加熱式たばこ専用の喫煙室設置を期待する」という回答が多く、将来に備えた喫煙環境づくりに賛同していただきました。4月1日の改正健康増進法の全面施行にあたり、マナーからルールに変わることも理解していただきました。
ホテル内に複数箇所あった喫煙室のうち、一番利用されているところを加熱式たばこ専用に切り替えたところ、たばこの煙のにおいに関する改善の要望も、いまではほとんどないとうかがっています。
喫煙者と非喫煙者が共存できる環境づくりに注力したい
改正健康増進法を受けて、これから力を入れていきたいことをお聞かせください。
たばこの煙のにおいに関する不平・不満の解消を目指した喫煙環境づくりを積極的に行っていこうと考えています。現在、二つのホテルと交渉を進めており、加熱式たばこ専用喫煙室への切り替えにご賛同をいただいています。そうした企業の事例を増やし「煙のない社会」の実現を目指していきたいと考えています。
最後に人事・総務ご担当者様へのメッセージをお願いいたします。
法改正によって、ハード面だけでなく、従業員の喫煙マナーを含めたソフト面の対策も必要になってきます。当社ではそれに対しても、良いソリューションをご提供していきたいと考えています。「喫煙課題にどう対応していけばいいのかわからない」「なかなか思うような成果が出ていない」などといった課題や悩みをお持ちなら、まずはお気軽にご相談ください。
フィリップ モリス ジャパンは、「煙のない社会」の実現を目指し、今後もたばこ製品を使い続ける成人喫煙者にとって、公衆衛生の観点からの社会全般とさまざまなステークホルダーにとって意義があり、科学的に立証された代替製品を提供すべく、紙巻たばこ全てを煙の出ない製品へと切替えることを提案しています。
フィリップ モリス ジャパンお客様相談室
0120-308755 (平日午前9時~午後5時)