採用企業にも導入メリットが大きい!遠隔面接の求職者意識調査【2021年版】
ディップ株式会社
【調査概要】
調査主体:ディップ株式会社
調査手法:インターネット調査(バイトル会員)
調査実施時期:2021年9月16日(木)~2021年9月20日(月)
対象者条件:47都道府県在住の15~70歳の男女
有効回収数:1,362サンプル
本レポートについて
コロナ禍での感染予防対策も相まって、採用面談で遠隔面接(WEB会議システム等を使用したオンライン面接や、テレビ電話面接など)を導入する企業が増えています。
本レポートでは、採用過程で遠隔面接が行われることについて、求職者がどう感じているのかを探っていきます。
人材採用において遠隔面接を活用する際の参考情報として、ぜひお役立てください。
遠隔面接を経験した求職者の声
2020年以降、新型コロナウイルス感染症対策として、直接会って話す従来の面接からオンラインなどの遠隔面接へと、採用手法を切り替える企業が増えています。ディップ総合研究所が求職者を対象に行った調査でも、回答者の47.9%と半数近くの人が「遠隔面接を経験したことがある」と回答しました。
実際に遠隔面接を受けたことがある求職者は、遠隔面接にどのような印象を持ったのでしょうか。
時間調整のしやすさは遠隔面接の大きなメリット
遠隔面接の経験がある求職者にそのメリットをたずねたところ、多く挙げられたのが「時間調整のしやすさ」でした。
上記は寄せられた声の抜粋ですが、現在の仕事の合間に移動時間なしで面接を受けられる点が、求職者にとってとても魅力的に映るようです。 採用面接に遅刻しないよう、早めに面接会場に到着して開始までの時間をつぶす求職者は多いでしょう。ところが遠隔面接では余分な時間調整が不要で、移動時間もないため、複数企業の選考を同時に進める負担が軽くなっているようです。
遠隔面接を導入すれば、求職者のみならず採用企業の時間調整の負担も軽くなります。その結果、面接できる求職者が増えたり、自社への応募志向が高まったりすることが期待できます。
求職者にやさしい「交通費ゼロ」により採用候補者の選択肢の幅が広がる
時間の調整のしやすさに加えて、求職者から遠隔面接の大きなメリットだと受け止められているのが「交通費ゼロ」です。アルバイト・パートはもちろん、正規雇用の採用面接でも面接会場までの交通費は求職者の自己負担となるケースがほとんど。複数企業へ応募したり、遠方の企業へ応募したりすれば、面接に赴く際の交通費は大きな負担となるでしょう。
遠隔面接ならば交通費はかかりません。「遠方の企業でも、遠隔面接が受けられるなら積極的に面接を受けてみたい」という求職者の声もあり、採用する企業にとっても、遠隔面接の導入で採用候補者の選択肢が広がるメリットを享受できそうです。
面接を諦めていた層も遠隔面接で応募可能に
時間や交通費の削減に次いで、遠隔面接で良かったこととして挙げられたのが、「面接機会の創出」や「遠隔面接ならではの活用」です。
志望する企業の面接地が遠いために応募を断念するケースが減ったり、面接当日の悪天候や事故といった不可抗力から面接を延期・中止にするケースが少なくなったりするなど、遠隔面接によって面接の機会が増えています。 子育てや介護で面接に足を運ぶのが難しい人も、遠隔面接ならば選考を受けやすくなります。家庭の事情から応募をためらっていたハイスキル人材からの応募も期待できるかもしれません。
また遠隔面接ならではの活用法として、面接の様子を録画して振り返りを行う求職者もいるようです。採用する企業企業も、面接担当者の移動コストの削減など、遠隔面接を活用することで採用活動の効率化が期待できそうです。
遠隔面接だからこそ、より安心できる面接環境を希望
次に、2021年の時勢を反映した遠隔面接のメリットや、面接の緊張を和らげる効果などについての求職者の声を取り上げます。
新型コロナウイルス感染症が収束していない状況下では、採用面接のための外出もできるだけ減らしたいものです。遠隔面接を導入することで、自社に応募した人を感染リスクに極力さらさない採用企業の姿勢は、社会からも好意的に捉えられるに違いありません。 そのうえ遠隔面接ではマスクの着用も不要です。画面越しとはいえ、マスクを外して面接ができるため、お互いの表情がよくわかるというメリットもあります。
感染予防の観点以外にも、知らない土地で道に迷ってしまう不安の解消や、慣れ親しんだ空間でリラックスして面接を受けられるといった、面接を受ける際の緊張を和らげる効果を挙げる求職者もいました。遠隔面接によって求職者がリラックスして面接に臨むことで、採用する企業も候補者の人柄をより把握しやすいといった効果が期待できます。
求職者が遠隔面接に期待すること
ここからは、遠隔面接の経験の有無を問わず、求職者が遠隔面接にどんな期待を寄せているのかに焦点を合わせます。
採用企業に求められる、応募者の志望度が高まる遠隔面接の工夫
求職者が遠隔面接を受ける際に期待することは、大きく分けて「もっと伝わる面接環境」と「遠隔面接ならではの環境への配慮」の2点でした。 「もっと伝わる面接環境」では、主に採用企業における遠隔面接への配慮が期待されています。 求職者からは、遠隔面接ならではのデメリットである「社内の様子が把握できないこと」や「モニター越しの面接担当者の表情の読み取れなさ」への改善などが挙げられました。
通常の面接では、オフィスの雰囲気を感じ取ることができたり、場合によっては職場見学ができたりと、応募者は面接以外からも多くの情報を得ることが可能です。面接の場に足を運んで得られた情報は、入社を判断する材料になることもあります。ところが遠隔面接では、モニターなどに映らない情報は一切知ることができません。 また、遠隔面接では相手の表情や、その場の空気を読み取るのが難しいことから、会話の糸口を見つけられずにいる求職者もいるようです。
面接担当者のプロフィールを背景に映す、あるいは事前に知らせておくなどの工夫があれば、求職者がより積極的にコミュニケーションできるかもしれません。 遠隔面接を導入する際には、採用企業がカメラを動かして社内を映したり、あらかじめ用意しておいた動画や写真などを共有したりする工夫があれば、応募者の志望度が高まるかもしれません。
遠隔面接に起こりがちなトラブルは寛容な対応を
「遠隔面接ならではの環境への配慮」という点では、応募者側の避けられないトラブルに対する採用企業の寛容さが期待されているようです。 ネットワーク環境による接続不良や予期せぬ騒音、画面に応募者の家族が映り込んでしまったなどという遠隔面接で起こりがちなトラブルは、万全の準備をしていても避けられません。 普及の途上と言える遠隔面接ツールの操作に不安を感じる求職者も、一定数いるようです。
遠隔面接に関する求職者の意識調査
ここからは、求職者が遠隔面接にどのような印象を持っているのかを明らかにするため、求職者の意識調査結果を検討します。
遠隔面接を経験したことがある47.9%
遠隔面接を経験したことがある人は半数近くとなりました。
仕事探しの際に遠隔面接を優先的に受けたい46.3%
前述の調査結果では遠隔面接を経験した人は半数弱でしたが、遠隔面接を受けることに否定的なのは全体の2割にとどまりました。 就職活動で遠隔面接を「優先的に受けたい」と考えている人は5割弱となっています。
遠隔面接が普及すれば「採用選考がスムーズになると思う」「手軽に応募できるようになると思う」7割弱
遠隔面接が普及すれば採用選考がスムーズになったり、手軽に応募できるようになったりすると考える人が、7割近くいることがわかりました。 求職者はおおむね遠隔面接をポジティブに捉えており、普及を期待していることがうかがえます。
さいごに
明らかになったこと
遠隔面接を経験した求職者の声
- 時間調整のしやすさは遠隔面接の大きなメリット
- 求職者にやさしい「交通費ゼロ」により採用候補者の選択肢の幅が広がる
- 遠隔面接だからこそ、より安心できる面接環境を希望
求職者が遠隔面接に期待すること
- 採用企業に求められる、応募者の志望度が高まる遠隔面接の工夫
- 遠隔面接で起こりがちなトラブルには寛容な対応を
遠隔面接に関する求職者の意識調査
- 遠隔面接を経験したことがある人が47.9%
- 採用面接時は遠隔面接を優先的に受けたい人が46.3%
- 遠隔面接が普及すれば、採用選考がよりスムーズになると考える人が68.1%
- 遠隔面接が普及すれば、「手軽に応募できるようになると思う」と答えた人が67.6%
求職者の半数以上が遠隔面接に好意的な印象を持っています。 コロナ禍での感染リスクの回避や、面接実施が天候に左右されないことなど、多数の要素が遠隔面接のメリットとして挙げられていました。 特に遠隔面接を導入することで、求職者が面接に赴く際の交通費や時間の節約ができること、志望先の選択肢が増えることは、求職者だけでなく採用企業にとっても大きなメリットであり続けるでしょう。
求職者が遠隔面接に期待することとしては、双方の通信環境への配慮や、面接担当者の表情や人柄を知ることができるような工夫に加え、職場の雰囲気を知りたいといった要望が挙げられています。 遠隔面接を導入する企業が増え、遠隔面接が採用方法として定着した世の中になってほしいという声も目立ちました。その声には、慣れないツールに不安を感じながらも、求職者の負担や感染リスクを軽減しようとする採用企業企業の姿勢への好意が感じられます。
より良い人材、そしてロイヤリティの高い人材と出会うためにも、遠隔面接の本格的な導入を検討する時機が訪れているようです。
調査設計:ディップ総合研究所 陳チョン
分析・執筆者:メディアプロデュース統括部 和田由紀恵
作図:ディップ総合研究所 ディップレポート編集課 太田瑠美子
当社は、「私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となる」を企業理念と掲げ、夢や目標に向け情熱を捧げる人々を応援する様々な取り組みや活動を展開し、社会課題の解決と持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
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