【新卒・パート・バイト】求職方法と求人方法で利用媒体は違う?
アイデム人と仕事研究所 研究員 関 夏海
求職者の動向と、企業の思惑のすれ違い
企業のパート・アルバイトの募集方法で最も利用する媒体は「ハローワーク」でした。一方で、個人がパート・アルバイトの仕事探しで最も利用する媒体は「インターネットの求人サイト」でした。新卒のときと似ていますが、求職者側と求人側で「ハローワーク」を利用する率に差がみられます。
募集方法としてハローワークが選ばれる理由は、なんと言っても「無料」の魅力であると思います。特に新卒採用の際、導入を検討する可能性のある「就活ナビサイト」は、利用費が高額になることもあります。
「新卒採用に関する企業調査(2016年10月1日状況)」では、2017年卒の新卒採用活動にかける予定もしくはかけた費用の比重が最も大きいものを聞いていますが、「人件費以外に費用はかけていない」が全体で19.1%、従業員99人以下の企業に絞ると38.8%となっています(図4)。
従業員99人以下の企業は図1の中で紹介した通り応募窓口として「ハローワーク」を選択した企業が半数以上だったことからも、従業員数が少ない企業ほど、できるだけ費用をかけずに採用活動を行っていることがわかります。
今回紹介した新卒・パート・アルバイトでハローワークを使って仕事を探す人は、それほど多数ではないことを述べました。いくら求人情報をコストパフォーマンス良く出していても、見てもらえないと、応募に繋がらないと、求人を出す本来の目的には近づきません。
ハローワークの求人求職状況をもとに算出される有効求人倍率は、平成28年11月度は1.41倍で、平成27年11月よりも0.15ポイント増となっており、「出しても来ない」を体感している企業の方は少なくないでしょう。数年前まで通用していた「出し方」と同じでは、かつてと同じ様に人を採用することが難しくなってきています。今後は労働力人口の減少等より一層人不足が厳しくなる可能性もあります。企業には、これまで以上に求職者の動向を考慮した採用が求められるでしょう。
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文/関 夏海(せき・なつみ)
2014年、株式会社アイデム入社。同年8月、人と仕事研究所に配属。賃金に関する統計・分析を担当。人と仕事研究所WEBサイトで発信している労働関連ニュースの原稿作成なども行っている。
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