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若手社員の不足 どう解決するか

古橋 孝美(ふるはし たかみ)

その背景には、非正規雇用従業員は、自立的・発展的な仕事を任される、または期待される機会が多くないということがあるのではないでしょうか。彼らが得られる職業経験は、正社員経験者のものとは開きがあり、企業側の認識にもそれが根付いていると思われます。

その一方で、前職が非正規雇用だった20~30代を自社の正社員に雇い入れる場合、何を重視するか企業に聞いたところ、「本人の人柄・性格」「今までの職業経験と自社の業務の関連性」「今までの職業経験の一貫性」が上位となりました。また、実際に非正規雇用から正社員になった者は、正社員になる前となった後で同じ職種に従事している傾向があり、職業経験に「一貫性」があることも見えてきました。

図4:若年非正規雇用者を自社の正社員にする際に何を重視するか <複数回答>
図4:若年非正規雇用者を自社の正社員にする際に何を重視するか <複数回答>
図5:「初めて正規雇用で就労した企業で従事した職種」と「その前の企業で従事していた職種」の関係
図5:「初めて正規雇用で就労した企業で従事した職種」と「その前の企業で従事していた職種」の関係

加えて、正規雇用ではなく非正規雇用で働いてきた彼らを“実際に”正社員として雇い入れた企業は、彼らの継続した職業経験やその働きぶりを評価しています。“正社員で働いたことがあるかどうか”にこだわらず、たとえ非正規雇用での就労であったとしても、その間に得てきた能力や経験を把握することが重要であることがうかがえます。

図6:前職が非正規雇用だった中途採用正社員に対する評価
図6:前職が非正規雇用だった中途採用正社員に対する評価

先日、東京都が、非正規雇用者の正社員化を促す独自の施策を打ち出すことが報道されました。半年以上働く有期雇用の非正規社員を正社員に切り替えた場合、国の助成金に同額を上乗せして支給、さらに、若者の正社員化を促すため、厚生労働省が認定している若者応援企業がハローワーク経由で35歳未満の若者を正社員として採用した場合にも、一定条件を満たせば助成金が支給されるというものです。

非正規雇用から正規雇用への転職は容易ではありません。非正規雇用での就労を繰り返した結果、エンプロイアビリティ(企業に雇われる能力)がなかなか向上しないという悪循環も指摘されています。また、正規雇用に比べて、賃金が低い傾向にある非正規雇用での就労は、彼らの生活基盤にも影響を及ぼします。「若手が足りない!」と感じているのならば、非正規雇用で働く若者にも目を向け、正社員化するという手段も有効ではないでしょうか。

『平成26年版パートタイマー白書』

[企業調査] 回答企業:1,398社/調査期間:2014年2月6~10日、18~19日 [個人調査] 回答者:1,527人/調査期間:2014年2月13日

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アイデム人と仕事研究所は、求人媒体を発行する株式会社アイデムの研究部門です。アイデムは1970年に創業して以来、「人材採用」の側面から、企業経営のサポートをしてまいりました。そうした活動のなかで人と仕事研究所は、「採用後の人材を活かし、企業力を高めていただく」ための、各種情報・サービスの提供を行い続けてきています。 パート・アルバイトの活用を目的に調査・分析を行う「パートタイマー白書」や、人事マネジメントの成功事例記事、募集時賃金を集計し、その動向を伝える各種レポートなど。いずれの情報・サービスも、求人媒体事業を通じ、大手企業とは異なる“中小企業の「人」に関する課題”をつかむアイデムならではの、実践的な内容を旨としています。
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●文/古橋 孝美(ふるはし たかみ)
2007年、株式会社アイデム入社。求人広告の営業職として、人事・採用担当者に採用活動の提案を行う。2008年、同社人と仕事研究所に異動し、毎年パートタイマー白書の企画・調査・発行をトータルで手がける。2012年、新卒採用・就職活動に関する調査等のプロジェクトを立ち上げ、年間約15本の調査の企画・進行管理を行う。2015年出産に伴い休職、2016年復職。引き続き、雇用の現状や今後の課題について調査を進める一方、Webサイトの記事・コンテンツ制作、顧客向け販促資料などの編集業務も行っている。

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