人事担当者に聞いた ミドル社員の処遇と活躍支援に関するアンケート
人員的に40〜54歳が過剰で、今後は「仕事内容に応じた処遇」が課題となる
ミドル社員の能力発揮とモチベーション[図表16〜20]
5年前と比べてモチベーションは「変わらない」50.4%、「やや低くなっている」34.6%
ミドル社員の能力発揮の在り方について、以下のA〜Cの中から最も当てはまるものを尋ねた[図表16]。
A.今まで培った経験や能力を活かすために、これまでの仕事を継続するほうがよい
B.新たな能力開発を促進したり、自主的にチャレンジするような機会をつくるほうがよい
C.能力・体力の衰えに応じて、より軽易な仕事を担当するほうがよい
結果は、Aが47.4%、Bが46.6%で拮抗している。ただし、1000人以上では、Bが64.9%となり、Aの27.0%を大きく上回っている。
5年前と比較したミドル社員のモチベーションの状況は「変わらない」が50.4%で最も多く、「やや低くなっている」が34.6%と続く[図表17]。
モチベーションを高める上で効果的と思う施策(複数回答)の上位3施策を見ると、「ミドルの役割を明確にし、正しく評価するための仕組みを整備する」が 60.2%、「キャリア研修やキャリア面談など、気づきを得たり将来を考えるための機会をつくる」「成果に応じた賃金制度を構築することで、業績への貢献 に見合った処遇を実現する」がともに51.9%と続いている[図表18]。
この上位3施策は、順位の入れ替わりはあるものの、規模別、産業別でも変わりはない[図表19]。
また、ミドル世代について、社外からの中途採用に抵抗があるかどうかを尋ねたところ、「抵抗はないが、これまで中途採用の実績は少ない(またはない)」が48.1%で最も多く、次いで「抵抗があり、これまで中途採用の実績は少ない(またはない)」が30.1%となった[図表20]。
ミドル社員の活用に向けた今後の意向[図表21、事例1〜2]
「能力に見合った業務を担ってもらい、仕事内容に応じて処遇していきたい」が75.2%で最多
今後の意向(複数回答)としては、「(1)能力に見合った業務を担ってもらい、仕事内容に応じて処遇していきたい」が75.2%で最も多く、「(2)より成果を発揮し活躍できるよう、積極的な教育やキャリア支援策を充実したい」が53.4%で続いた[図表21]。1000人以上の企業では、「(4)これ以上、雇用維持できないので早期退職や転職支援策などの充実を図りたい」が24.3%に上り、他の規模よりも高い割合となっている。
[事例1]には、[図表21]に対する回答理由を抜粋してまとめている。各社の考え方はさまざまだが、65歳までの雇用確保を視野に入れると、ミドル社員には長年の経験を活かして、さらに活躍をしてもらいたいという声が多い。
また、今後のミドル社員の活用・活躍に向けた人事担当者の考えについて、自由記入によりコメントをいただいた[事例2]
主な内容を抽出すると、以下のようになる。
- 成果に基づく適正な評価・処遇
- 役割期待の明確化
- 早期からのキャリア意識の醸成
- 将来が見える仕組みづくり
- 年齢意識の払拭(ふっしょく)
- 柔軟な雇用制度
- 後輩の指導・育成
これらのコメントからは、ミドル社員の自覚や自己変革を促すと同時に、シニアになっても意欲を持って生き生きと働くための仕組みづくりが必要であるという認識がうかがえる。
◆労政時報の詳細は、こちらをご覧ください → 「WEB労政時報」体験版
人事の専門メディアやシンクタンクが発表した調査・研究の中から、いま人事として知っておきたい情報をピックアップしました。