企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】キャリア プラトー キャリア・プラトー

「キャリア・プラトー」とは、組織内で昇進・昇格の可能性に行き詰まり、あるいは行き詰まったと本人が感じて、モチベーションの低下や能力開発機会の喪失に陥ることをいいます。「プラトー」(Plateau)は高原または台地の意味で、ここではキャリアの発達が高原状態に達してしまい、伸びしろのない停滞期にあることを表現しています。中年期に陥りやすく、ビジネスパーソンが転職を考えるのも、多くはこうしたキャリア・プラトーの状態にあるときだといわれます。
(2012/6/11掲載)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

キャリア・プラトーのケーススタディ

中年期のキャリアを支配する“諦め”
次世代への積極的な関わりが突破口に

発達心理学に「中年の危機」という言葉がありますが、40歳代の中年期は、キャリア発達の上でも極めて重要な節目で、それゆえに壁にぶつかりやすく、乗り越えるのは容易でないといわれます。アメリカの組織心理学者エドガー・H・シャインも、中年期のキャリアの危機について「気が滅入り、落胆した状態。あるいはガソリンが切れて、モチベーションを失った状態であり、彼らは彼らの仕事に興奮を得られず、もし経済的に実行可能なら劇的なキャリア転換さえ夢見る時期である」と述べています。

こうした危機に直面する40歳代のミドル層は、程度の差こそあれ、キャリア・プラトーに陥っている場合が多いのです。40代にもなれば、自分の能力やポストの限界は見えてくる。組織のヒエラルキーを登る道の険しさも、その道の途上に誰がいて、誰はもういないのかもおよそ見当はつく。その結果、キャリア・プラトーに襲われるのです。

キャリア・プラトーとはいいかえれば、自分への“諦め”に支配されてしまう精神状態です。もうこれ以上の昇進は望めないし、かといって新しい分野に挑戦したり、能力開発に取り組んだりするには歳をとり過ぎた――そういう心理にとらわれて停滞したプラトー(高原)状態のままでいると、キャリアの発達も止まり、組織での居場所や自らの職業人としてのアイデンティティーさえ見失って、完全に行き詰まってしまうことに。その閉塞感を打ち破ろうとして安易な転職を考える人も少なくありませんが、たいてい「自分はまだ“現場”でバリバリやれる」とそれまでの役割意識から脱却できずにいるのです。

発達心理学者のエリク・H・エリクソンは著書『幼児期と社会』の中で、人間の発達のサイクルを8段階に分けて、それぞれの段階に達成すべき課題(発達課題)があると理論づけました。段階ごとに課題を達成していけば、人は成長を続け、社会における居場所とアイデンティティーを獲得できると述べています。エリクソンの説によれば、40歳代の中年期が達成すべき発達課題は「世代性」。次の世代を育てることへの積極的な関わりを意味しています。

中年期というのは文字どおり人生の中間点に位置し、これまでの人生を客観的に振り返ることができると同時に、そこから得た教訓を次の世代に残していこう、役立ててもらおうという意識が持てるようにもなる年代です。管理職のポストを得るか、得ないかは問題ではありません。現場のリーダーとして、あるいは後輩のメンターとして、次世代を育てる役割をすすんで担うことで新たな自分の存在価値に気づくことができる。そのとき、キャリア・プラトーは伸びしろのない停滞期ではなく、むしろ人生を切り開くターニングポイントとなるかもしれません。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

ライフキャリア・レインボー
「ライフキャリア・レインボー」とは、1950年代に米国の教育学者のドナルド・E・スーパーが発表したキャリア理論。ライフキャリア・レインボーの理論では、キャリア=職業とは考えず、キャリアを人生のある年齢や場面のさまざまな役割(ライフロール)の組み合わせと定義。人生全般にわたり、社会や家庭でさまざまな...
キャリアショック
「キャリアショック」とは、国内のキャリア研究の第一人者である、慶應義塾大学大学院特任教授の高橋俊介氏が同名の著書で提唱した概念で、自分が積み上げてきたキャリアや描いてきたキャリアの将来像が、想定外の環境変化や状況変化によって短期間のうちに崩壊してしまうことをいいます。変化の激しい時代を生きるビジネス...
キャリアクライシス
「キャリアクライシス」とは、ビジネスパーソンがそれまでに培ってきたキャリアを失いかねない危機、あるいはそうした危機に直面することを意味します。長いキャリアライフでは、年齢によって誰もがキャリアクライシスに陥りやすい時期があるといわれ、特に20歳代後半から30代前半にかけては、仕事や将来への不安、組織...

関連する記事

花田 光世さん: 「キャリアアドバイザー」を活用することで、組織の活性化と個人のキャリア自律の統合を図る
近年、組織における「キャリアアドバイザー」の存在が注目を集めています。慶應義塾大学総合政策学部の花田光世教授はこのキャリアアドバイザーの育成に長年取り組まれ、キャリアカウンセラーのように社員の個人の「こころ」の問題を中心としたキャリアの支援だけでなく、“組織の...
2013/10/11掲載キーパーソンが語る“人と組織”
企業におけるキャリア開発支援の実態
企業の持続的な成長・発展には、中・長期的な経営方針・ビジョンに対応した人材を育成し、活力ある組織づくりを行うことが求められる。そのために必須なのが、従業員のキャリア開発支援だが、各社どのように制度の整備を進めているのだろうか。企業に対する調査結果から現状を分析...
2016/12/05掲載人事・労務実態調査

関連するQ&A

キャリア採用担当者の留意点
この度ジョブローテーションにてキャリア採用の担当者に新たになりました。何分始めての仕事のため何をどうすれば良いかイメージがわきません。キャリア採用担当者としての留意点がありましたらアドバイスいただけますでしょうか?
キャリアコンサルタントについて
社員のキャリア支援、キャリアカウンセラーとして、知識・技術・意識そして資格を取得したいのですが、キャリア開発協会のCDA資格やNPO生涯学習キャリア・コンサルタント検定等様々なものがありますが、実績・内容から判断してどれが好ましいのでしょうか?
キャリア採用選考時のメンタルヘルスチェックについて
私はキャリア採用を担当しております。キャリア採用者も入社前には健康診断の受診をして頂いているのですが、メンタル面のチェックまではできないため、採用後にトラブルが発生することがあります。適性試験等アセスメントを行うツールがもしございましたらご教授いただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。...
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
各分野のプロフェッショナルが親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

分類:[ キャリア開発 ]
テレワーク特集

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

ジョブ・カード制度 総合サイト タレントパレット

50音・英数字で用語を探す

新着用語 一覧

注目コンテンツ


テレワーク特集

「テレワーク」のメリット・デメリットを整理するとともに、導入プロセスや環境整備に必要となるシステム・ツール、ソリューションをご紹介します。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


会社の新しい挑戦を支えるために<br />
人事戦略のよりどころとなる総合的な人材データベースを構築

会社の新しい挑戦を支えるために
人事戦略のよりどころとなる総合的な人材データベースを構築

第一三共株式会社は2025年ビジョン「がんに強みを持つ先進的グルーバル...


「見える化」による効果検証で テレワーク導入をスムーズに実現<br />
西部ガスが取り組む“業務・ワークスタイル改革”とは

「見える化」による効果検証で テレワーク導入をスムーズに実現
西部ガスが取り組む“業務・ワークスタイル改革”とは

福岡市に本社を構える西部ガス株式会社は、「働き方改革」の一環としてテレ...