企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】レンケツピン 連結ピン

「連結ピン」とは、米国の組織心理学者R.リッカートが提唱した組織とリーダーシップの関係に関する概念です。リッカートは、人と人、人と組織、組織と組織を有効に結びつけ、コミュニケーションを円滑化する“潤滑油”の役割あるいはそうした役割を果たす能力を「連結ピン」と呼び、リーダーやマネジメント層には連結ピンとしての機能が求められるとしています。
(2012/1/30掲載)

連結ピンのケーススタディ

組織間を有効につなぐのがミドルの役割
上下の“パイプ”では子どもの使いと同じ

一般的に企業組織は、トップ・ミドル・ロワーという三つの階層から構成されるものと考えられています。1990年代以降、日本の多くの企業では、意思伝達のトップダウンあるいはボトムアップを迅速化し、激変する経営環境に即応するため、組織のフラット化が進められました。その煽りを最も受けたのはミドル、すなわち担当部署を管理するマネジャーや現場を牽引するリーダーでした。フラット化する組織において、経営=トップと現場=ロワーの中間層に位置するミドルはなくてもいい、削減すべき対象―― 一部にそう軽視する風潮が広まっていったのです。

しかし現実には、単純に中間層を薄くして組織をフラット化するだけで、問題は解決しません。少ない人員で過重な業務負担に追われるミドルが“本来の役割”を果たせなくなれば、その分だけトップとロワー、経営と現場の間のコミュニケーション・ギャップがかえって広がってしまうからです。昨今、社内メールなどを活用し、社員一人ひとりへの直接的な情報発信に心を砕くトップが増えているのも、そうせざるを得ないフラット化の弊害があるからではないでしょうか。

ミドルが果たすべき本来の役割とは何か。それこそが、トップとロワーを有効につなぐ「連結ピン」としての機能にほかなりません。

よく中間管理職はパイプ役といわれますが、重要なのは、「連結ピン」は組織の上下をそのままつなぐ“パイプ”ではないということです。経営は現場の考えや要求を近視眼的と見なし、現場は経営の方針や判断を理想論だと決めつける――すべての組織には大なり小なり、そうした対立の構造があるものです。にもかかわらずトップの言葉を、パイプのようにそのまま現場に届ければどうなるでしょうか。「経営には現場が見えていない。こんな目標を押し付けられたら現場はたまらない」といった反発を招くのは必然でしょう。そうした反発に対して反論したり、トップの示した戦略や目標の背景を説明して、現場を説得したりする努力もせず、部下の不満の声もまたそのままトップに“伝言”するだけ…そんな、ただのパイプ役しか果たせないミドルなら、たしかに削減の対象となってもしかたがありません。

トップの意向を具体的な目標に落とし込み、現場から意欲を引き出せるように言葉を選び直して部下に伝える。逆に部下の不満や要求を、経営の視点に沿った「提案」という形に仕立て直してトップに提示する。こうしたすぐれた調整能力こそが、優れたミドルに、そして「連結ピン」としてのリーダーに欠かせない要素なのです。

記事のオススメ、コメント投稿は会員登録が必要です

あわせて読みたい

ミドル・マネジメント
組織の中間に位置するマネジメント層を指します。一般的には「中間管理職」と呼ばれ、具体的な役職としては部長、課長職などがこれにあたります。
組織社会化
組織研究において、新しく組織に加わったメンバーが、組織の目標を達成するために求められる役割や知識、規範、価値観などを獲得して、組織に適応していくプロセスのことを「組織社会化」といいます。個人が組織に参入するときは、必ずこの組織社会化の過程を通過しなければならないと考えられています。 (2012/5...
バウンダリレス
「バウンダリレス」(boundaryless)とは、直訳すると「境界(バウンダリ)のなさ」という意味で、企業の従業員が部門や役職、立場、事業所の所在地など、組織内外のあらゆる境界を超えて自社に貢献しようとする姿、あるいはそうした価値観を指す用語です。1990年代初めに、米ゼネラル・エレクトリック(...

関連する記事

遠藤功さん 企業をのばす現場力―人事部が変われば現場も変わる
「現場力」は本来、日本企業ならではのストロングポイントでした。それがいま大きく揺らぎはじめているといいます。現場再生に向けて――遠藤さんにじっくりとお話をうかがいました。
2008/10/27掲載キーパーソンが語る“人と組織”
人事マネジメント「解体新書」第38回 学習する組織“ラーニング・オーガニゼーション”を実現する方法(前編) ~自ら学ぶ風土を作り、持続的成長を実現していくために
企業を取り巻く経営環境の急激な変化は、ビジネスサイクルを短縮化し、知識・技術の更新スピードを速めるなど、組織に対して絶え間ない「変革」を求めている。この変革を実現するには、組織として継続的に学習を続け、改善を繰り返していくことが必要だ。これが近年、「学習する組...
2010/06/28掲載人事マネジメント解体新書
1. コミュニケーション研修とは
組織を機能させ、活性化していくには、コミュニケーションの量と質を向上させていかなければならない。その際、それにふさわしい方法やスキルが必要となる。コミュニケーション研修とは、このような組織内でのビジネスや仕事上におけるコミュニケーション能力の向上を目的とした研...
2012/11/29掲載よくわかる講座

関連するQ&A

これからの組織のあり方
マネジメント 組織論の質問です。 自律型組織、ティール型組織などへの志向が一つのメインストリームとしてあると思いますが、一方で従来型の軍隊式組織、官僚型組織もその有効性は完全には否定出来ないと思います。 自律型、軍隊型それぞれの組織が有効に機能するのは、それぞれ一定の条件下によると思いますが、この点...
組織マネジメントの評価項目
お世話になっております。 人事考課の評価項目の一つに、管理職者に対して、組織マネジメントの評価を考えております。 一般的な組織マネジメント能力に関する評価項目をご教授いただけますでしょうか。 宜しくお願い致します。
今どきの人事部の組織図とは
最近、旧来の人事部で使われていた組織名称が少なくなり、カタカナ、英語表示のものが多くなってきているように思います。 日本の社員数1000名以上の会社で、イケてる人事部の組織図、組織名称のトレンドをできれば旧来の名称と比較する感じで教えて頂ければ幸いです。
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
各分野のプロフェッショナルが親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

注目のキーワード解説をメールマガジンでお届け。

事務職派遣を検討中の担当者様へ 「よくわかる人事労務の法改正」ガイドブック無料ダウンロード

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ

【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


尻込み、指示待ち、評論家……<br />
ひそかに進行する20代社員の“ゆでガエル化”現象とは

尻込み、指示待ち、評論家……
ひそかに進行する20代社員の“ゆでガエル化”現象とは

ゆっくりと進行する危機や環境の変化に対応する難しさを戒めた、いわゆる「...