人事担当者に聞いた ミドル社員の処遇と活躍支援に関するアンケート
人員的に40〜54歳が過剰で、今後は「仕事内容に応じた処遇」が課題となる
2 管理職への登用と活躍
管理職への登用[図表6〜11]
標準的な昇進年齢は40.9歳。年齢や年次に関係なく登用する方針が今後より強くなる傾向
管理職の登用方針について、「A:年齢や年次などを加味して登用する」と「B:年齢や年次などに関係なく優秀な者を登用する」のどちらの考えに近いかを尋ねている[図表6]。
現状の方針では、「どちらかと言うとBに近い」が34.6%で最多だが、「どちらかと言うとAに近い」も29.3%と続き、やや拮抗(きっこう)し ている。しかし、今後の方針では、「どちらかと言うとBに近い」が42.1%で最も多く、次いで「Bに近い」が22.6%となり、今後は年齢や年次に関係 なく登用する方針が強まる傾向にある。参考までに各項目にAに近い=5点、どちらかと言うとAに近い=4点、どちらも同じくらい=3点、どちらかと言うと Bに近い=2点、Bに近い=1点とポイントを付与して加重平均すると、「現状の方針」は2.92点なのに対し、「今後の方針」は2.30点と、0.62点 ほどB寄りになる。すなわち、より年齢や年次などに関係なく優秀な者を登用する傾向になっていくことが分かる。
サンプル数は少ないが、現状での管理職への昇進年齢を平均すると、規模計で最短が36.6歳、標準が40.9歳となっている[図表7]。 規模別に見ると、最短が1000人以上37.1歳、300〜999人37.0歳、300人未満35.4歳で、標準は1000人以上と300〜999人がと もに41.4歳、300人未満39.4歳となっており、300人未満は他の規模よりも若く、300人以上規模はほぼ同じ傾向を示している。なお、最短と標 準の年数の差は、1000人以上4.3歳、300〜999人4.4歳、300人未満4.0歳と大きくは変わらない。
5年前との昇進年齢の変化では、「変わらない」が39.1%、「早くなっている」が32.3%、「遅くなっている」が27.1%の順になった[図表8]。年齢や年次に関係なく管理職に登用する企業が増えていることが、こうしたバラつきに影響を与えていると考えられる。
また、管理職への登用に際してアセスメントを「行っている」企業は54.1%と過半数に達する[図表9]。具体的な手法(複数回答)としては、「面接」が81.9%と最も多く、以下、「論文・レポート」69.4%、「一般教養試験」30.6%と続く[図表10〜11]。
規模別の特徴を見ると、1000人以上では他の規模に比べて「論文・レポート」「一般教養試験」「専門分野に関する試験」といった筆記に関する手法の実 施割合が低く、「アセスメント研修」「外部機関の活用」「グループディスカッション」といった手法で実施割合が高くなっている。
管理職の活躍状況[図表12〜13]
管理職のうち期待した活躍ができていない割合は、「10%未満」「10〜20%未満」が多い
部下を持つライン管理職のうち期待した活躍ができていない割合は、「10%未満」が42.1%で最多[図表12]。部下を持たないスタッフ管理職では、「10%未満」「10〜20%未満」がともに23.8%で最多となり、ライン管理職よりも活躍できていない割合が少し高くなっている。
活躍できていない管理職が一定割合存在することから、異動・配置だけでなく、各人の処遇も含めて、どう対応していくかが課題となるだろう。管理職の成果 創出状況によっては降格を検討する企業もあると思うが、降格ルールの有無について尋ねたところ、「降格の制度(慣行含む)があり、少し運用実績がある」が 41.4%で最多だった。ただし、「降格の制度(慣行含む)はあるが、実績はない」が26.3%、「降格の制度(慣行含む)はない」が21.1%と、制度 的にも運用実績的にも降格がない企業は47.4%と5割弱に達する[図表13]。
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