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和紙職人

世界無形文化遺産への登録で復活なるか。
ものづくり日本を象徴する伝統の“紙”技

2014年11月、「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に正式登録された。「細川紙」(埼玉県・小川町)、「本美濃紙」(岐阜県美濃市)、「石州半紙」(島根県浜田市)の三つが「和紙」としてまとめて登録された。昨年の「和食」に続く快挙は、ものづくり大国・日本にとって大きな誇りである。しかし世界が認めた手すき和紙の技も、産業としては厳しい状況に置かれているのが現実だ。昔ながらの製法を受け継ぐ現役の「和紙職人」がいま何人いるか――本稿に記したその人数が、彼らの窮状を端的に物語っている。

1300年続く“自然との対話”が驚異の耐久性を実現

和紙で作った照明かさ

ズボンなどのポケットに紙幣を入れたまま、うっかり洗ってしまった経験はないだろうか。普通の洋紙ならまず原型をとどめないが、日本のお札は洗濯機で洗ったくらいでは破れない。和紙が使われているからだ。約1300年前のものといわれる和紙が奈良・正倉院に現存するように、その強さや耐久性は世界にも類を見ない。丈夫で美しい和紙を生みだす“手すき”の技術がユネスコの世界無形文化遺産に認定されたことで、その伝統を担い、黙々と守ってきた「和紙職人」の仕事にも光が当てられている。

こうぞ、がんぴ、みつまたといった植物の繊維を原料に、一枚一枚手作業ですきあげる和紙づくり。各産地に伝わる製法や道具は、いにしえからほとんど変わっていない。職人はその土地に育った木々の皮を煮て、清流にさらし、叩きつぶして繊維をほぐす。それにトトロアオイの粘液を混ぜて水に溶かしたものを、「簾桁」(すきげた)と呼ばれる道具で丹念に漉き、圧搾し、天日乾燥させる。いくつもの複雑な工程を経て、ようやく一枚の紙が出来上がるのだ。和紙はデリケートで、その良し悪しはわずかな気候条件の違いにも影響を受けやすいという。温度や湿度の微妙な変化を見きわめ、天然素材の持ち味をいかにうまく引き出すか――“自然との対話”こそが和紙づくりの難しさであり、一番の醍醐味でもある。

長い歳月を経て日本人の生活文化に深く浸透してきた和紙は、用途もさまざま。書道用の半紙や版画紙、障子紙に掛軸の裏紙、和傘、ちょうちん、器など、製品に応じて原料や道具を巧みに使い分けるのも職人の腕の見せどころだ。和紙の高い保存性や破れにくさは、かねて海外でも高く評価されてきた。たとえばヨーロッパの美術館などでは、貴重な絵画の修復に極薄の和紙が重宝されている。今回の無形文化遺産への登録が、8世紀以来の伝統を守り続ける和紙職人の技術力の高さや自然と調和する知恵の素晴らしさを、あらためて裏付けたのは間違いない。ものづくり日本を象徴する名手の仕事として、世界により広く発信されるべきだろう。

現役はいまや600人余り、需要減少から深刻な後継者難に

ただ一方で、職業としての和紙づくりをめぐる環境はきわめて厳しいのが現実だ。技術や品質がいくら優れていても、それだけでは産業として成り立たないからである。戦後の高度成長を機に、日本人の生活様式の西洋化が進んだ結果、和紙の需要は年々縮小していった。経済産業省の統計によると、2012年の全国の和紙の出荷額は21億5900万円で、10年前の約半分にまで落ち込んだ。最近は実用よりも、ちぎり絵などの趣味としての用途が細々と需要を支えている。

和紙づくりに携わる職人の数もこの10年間におよそ40%減少した。12年には全国でわずか620人余り。伝統工芸の例にもれず、高齢化や後継者難が深刻な状況だ。無形遺産登録の対象となった三つの和紙の一つ、「細川紙」(埼玉県・小川町)の保存団体である細川紙技術者協会の鷹野禎三会長も「1枚でも1000枚でも同じ厚さでなければ商品として売れないんです。それを手作りでやるから難しい。その技術を継承するには後継者を育てる必要があるのですが、需要がないために後継者を育てたとしてもその子が食べていけなくなってしまう。軽々に話ができないんです」と悩みを抱える(TBS『あさチャン』2014年10月29日放送)。

和紙職人を目指すには、産地の職人に直接弟子入りして、修業を積むのが一般的である。免許や資格などはとくに必要ないが、一人前になるまでに最低10年はかかるという。後継者難の一因は、仕事そのものの厳しさにもありそうだ。非常に手間がかかる上、一日中重い簾桁の枠をゆすったり、冷たい水を使ったりと重労働が絶えない。とりわけ紙すきの“繁忙期”である冬場の作業は過酷を極める。適性として、ものづくりが好きな人や自然と向き合う暮らしをしたい人に向いている仕事ではあるが、長く厳しい修業に裏打ちされた技術に集中力や辛抱強さが伴わなければ、和紙職人は務まらない。さらには自ら人脈を広げて、販路や作品発表の場を開拓する行動力や交渉力、工房や直販サイトを立ち上げる経営能力などの資質も、これからの職人には必要になってくるだろう。

先述の鷹野さんが懸念するとおり、最近は高齢や将来の不安を理由に、弟子をとることを控える職人も増えてきた。それでも、和紙職人を目指す道が閉ざされてしまったわけではない。たとえば埼玉県と小川町が1995年から5年間実施した細川紙の継承者育成事業では、15人の募集枠に約100人の応募があった。選考を通った生徒のうち、二人の女性が、厳しい修業を経て独立開業までこぎ着けたという。

修業中は無給を覚悟。目指すなら後継者育成に熱心な産地へ

和紙職人として独立してからの収入はまさに本人の腕次第だが、10年に及ぶ修業期間中はほとんど見込めないため、経済的には厳しい。当然、家族など周囲の理解と協力が必要になるだろう。その意味でも修業の道に飛び込む前に、各産地が一般向けに行っている紙漉きの体験コースやギャラリー主催のワークショップなどに参加して、実際にやれそうかどうか、感触を探ってから決断を下したほうがいい。和紙づくりを学べる専門の学校や教育機関は少ないが、たとえば京都伝統工芸大学校はその一つ。京都府綾部市の黒谷和紙協同組合と共同で、「黒谷和紙」の技法を習得するコースを設立している。

イメージ

全国手すき和紙連合会のホームページ (http://www.tesukiwashi.jp/)

専門の学校こそないものの、全国の産地でも、それぞれ何らかの形で技の伝承に取り組んでいる。現に、無形文化遺産への登録勧告にあたって、ユネスコの政府間委員会は「地域や教育現場での取り組みにより、世代を超えて伝統的技術が受け継がれている点」を高く評価した。埼玉・小川町の細川紙のように、自治体主導で継承者育成事業を実施しているケースも少なくない。95%以上の和紙業者が参加する全国手すき和紙連合会のホームページ内では、北海道から沖縄県まで、全国の産地を紹介しているので、まずは自分がつくりたい和紙を探し、その産地の実情や後継者育成の取り組みについて調べてみるのがいいだろう。

今回の無形文化遺産登録を受けて、日本を代表する和紙デザイナーの堀木エリ子氏は「2020年の東京オリンピックでは、ぜひ和紙の聖火台を作らせてほしい」と提案している(産経新聞14年10月28日付)。和紙のもつ可能性を考えれば、決して荒唐無稽な構想ではない。あらゆる機会をとらえて和紙の素晴らしさを発信することが、和紙職人の地位向上、ひいては後継者の育成にもつながっていくのだから。

※本内容は2014年12月現在のものです。

この仕事のポイント

やりがい温度や湿度の微妙な変化を見きわめ、天然素材の持ち味をいかにうまく引き出す“自然との対話”が醍醐味
就く方法産地の職人に直接弟子入りして、修業を積むのが一般的。免許や資格などはとくに必要ないが、一人前になるまでに最低10年はかかる
必要な適性・能力ものづくりが好きな人や自然と向き合う暮らしをしたい人に向いているが、長く厳しい修業に裏打ちされた技術に集中力や辛抱強さが必要
収入和紙職人として独立してからの収入はまさに本人の腕次第だが、10年に及ぶ修業期間中はほとんど見込めない

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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