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鬼師

いにしえの職人に倣い、
鬼瓦づくりの歴史を未来へつなぐ

人々と建物を災厄から守るために、寺社などの和風建築の屋根でにらみをきかす鬼瓦。千年以上も前に大陸から伝わったものづくりの技をいまに伝え、未来へ引き継ぐのが「鬼師」と呼ばれる鬼瓦づくり専門の職人である。手作業だけで土から巧みに鬼の姿形をかたどる仕事は、いにしえの職人たちと何一つ変わらない。修業の道は長く険しく、活躍する鬼師は日本でわずか150人ほどといわれる。鬼師とは、理想の鬼をつくるために自ら鬼になれる職人である。

図面引きから土づくりに成形、窯入れまで

伝統的な日本建築を特徴づける瓦屋根の意匠美。「甍(いらか)の波」とたとえられるが、その棟の端に“鬼”が鎮座していないと、重厚な景観も画竜点睛を欠く。鬼とは、鬼瓦のことだ。鬼の顔や家紋、蓮の花などをかたどった飾瓦の一種で、屋根材に雨水が浸みるのを防ぐために、実用と装飾を兼ねて屋根の先端にとりつけられる。元来は魔除け、厄除けの意味があり、飛鳥時代に大陸から伝わると、建物の守り神としてさかんにつくられるようになった。歴史のある寺社や城郭などはもちろん、比較的古い時代に建てられた一般家屋の屋根にもよく用いられ、昔から立派な鬼瓦でにらみをきかせることは、家や家族に対する誇りと愛情の証とされてきた。

この鬼瓦の制作に欠かせないのが、「鬼師」と呼ばれる専門職人の熟練の技。一般的な瓦が材料の土をプレス機で成型してつくられるのに対し、一つひとつ姿が異なり、造形も複雑微妙な鬼瓦づくりは機械化に適さない。昔ながらの緻密で繊細な手作業が、いまも受け継がれているゆえんである。その技術を身につけた者だけが、一般の瓦職人とは区別され、尊敬をこめて「鬼師」と呼ばれるのだ。

天龍寺(京都市)の鬼瓦

鬼師の仕事は、まず原寸大の図面を引くことから始まる。乾燥と焼成の工程を経ると全体が一割ほど縮むため、その分を計算して的確に寸法を割り出さなければならない。材料となる土も、鬼師自らが調合。鬼瓦に最適な硬さと粘りが出るまで丁寧に練り上げる。土ができたら、瓦の土台となる部分をつくり、その上に土を盛りつけて鬼の顔形にしつらえていく。鬼面に肉付けした瓦を一晩乾燥させた後、金べらで粘土の表面を滑らかに整える「磨き」の工程へ。磨きをかけることで土を引き締め、時を経てもあせない光沢と耐久性を引き出すのだ。一連の作業の中でもとりわけ重要な工程であり、鬼師が最も根気と神経を費やす仕事である。

さらに細部の彫刻を施し、2週間以上乾燥させた後、高温の窯で焼き締めるのだが、微妙な温度調整を要するため、焼成中は窯の前から離れられない。二日後、炎とススの中から、思い描いたとおりの“鬼”が姿を現したとき、鬼師の苦労はようやく報われる。自らが鬼になって極限の仕上げを追求する――まさに職人技の真髄といえるだろう。

「歴史に恥じない仕事を残す」というやりがい

鬼瓦の需要はもっぱら、伝統的な和風建築の新築や増改築の際に生じるが、鬼師がその腕をふるう機会はそれだけではない。いかに耐久性に優れた鬼瓦とはいえ、長い歳月の間、風雨にさらされ続けるとやがてはひび割れ、朽ちる。そのため、たとえば文化財としての価値が高い、歴史的建造物の屋根に上がっている鬼瓦などは、先人が数百年ごとに新たなものに作り直し、その美しさを保ってきたのだ。いにしえの職人に倣い、彼らの手になる鬼瓦を再現して、また数百年先の未来へと引き継ぐ――それも、現代の鬼師に求められる重要な役割なのである。

実力・実績ともに認められた第一人者であれば、誰もが知っているような有名な寺社建築の鬼瓦の制作を任されることも少なくない。いうなれば、鬼師は腕次第で、悠久の歴史に自分の足跡をしかと刻みつけることができる仕事なのだ。鬼瓦という日本のモノづくりの伝統を守り、伝える使命はもちろんのこと、はるか後世の人々にまで恥じない仕事を残すというやりがいやモチベーションは、他の職業ではなかなか味わえるものではないだろう。

鬼師になるのに、特別な資格は必要ない。逆にいえば、何か特定の資格があれば有利になるとか、専門知識を学べばより早く技が身につくといった仕事ではないということである。当然のことながら、研さんを積み、鬼師を名乗れるようになるまでの道のりは長く、険しい。現在、活躍する鬼師は日本中でわずか150人程度といわれる。和風建築の減少などにともない、瓦製造全般を取り巻く経営環境も厳しさを増しており、業界ではかねて後継者不足に悩まされてきた。

しかし近年では、名人とうたわれるカリスマ鬼師の仕事ぶりがテレビ番組で紹介されたり、国内有数の瓦の産地で鬼師見習いとして修業に励む若い女性職人が注目されたり、メディアからの関心も高く、一般への認知度は徐々にだが、広まりつつあるようだ。

また、全国の鬼師が自ら組織する「日本鬼師の会」や、若手鬼師の有志が集う「若鬼士会」などの生産者団体も、鬼瓦文化のPRや販路拡大、制作技術の向上・伝承、後継者育成などに向けて、研修会や各種イベントを開催するなど積極的な啓発活動を展開している。

実際に手を動かし、手に技を覚え込ませる

では、具体的に鬼師を目指すにはどうすればいいのだろうか。瓦のおもな産地は「三州瓦」(愛知県西三河地方)「石州瓦」(島根県石見地方)「淡路瓦」(兵庫県淡路島)の日本三大瓦をはじめ、「菊間瓦」(愛媛県今治市)「越前瓦」(福井県)など、全国に点在している。こうした産地には、比較的規模の大きい地元の老舗メーカーや有力な個人経営の工房も多い。それらに入社したり、弟子入りしたりして鬼師の修業を積んでいくのが一般的な進路だろう。いずれにしても、専門の職人につき、徒弟制度に近い形で一つひとつ技術を身につけていくことになる。

イメージ

淡路島のいぶし瓦。島内で採れる良質の土から生まれる。銀色の独特の光沢と清楚な美しさが特徴

鬼師を志すなら、基本的な適性として手先の器用さと体力は欠かせない。先述したように、図面引きから土づくり、盛りつけ、磨き、窯入れと、緻密で繊 細な手作業が長時間にわたって続くためだ。また大きい作品になると完成までに数ヵ月を要するが、わずかなミスで仕上がりが台無しになることもあるので、慎 重な仕事ぶりと集中力、忍耐力の持続が求められる。

ものづくりの職人全般にいえることだが、一人前になるには時間がかかり、見習い期間中は待遇もけっして良くはない。ひと通りの技術を習得した一般的な瓦職人の場合で、賃金は年収300~500万円といったところ。日々の仕事の厳しさや求められる技術水準の高さなどを考えると、高収入とはいえないかもしれない。

それでも日本の伝統的な美意識やものづくりに興味があり、たとえ困難な道でもコツコツと辛抱強く究めたいという強い意思を持つ人材には、まさに適職と言える。鬼師の技と知恵は、師匠に手取り足取り教わったからといって身につくものではない。要は、実際に自らの手を動かすことで、手に覚えこませるしかなく、日々の積み重ねによって培われていくのだ。企業や組織に依存していればよかった時代が終わり、むしろそうした確かな実感を伴う成長のしかたにこそ、充足感を覚えるという若者は増えつつあるのではないだろうか。

 ※本内容は2014年6月現在のものです。

この仕事のポイント

やりがい腕次第で、歴史に自分の足跡を残せる。日本のモノづくりの伝統を守り、伝える使命がある
就く方法瓦の主な産地のメーカーや工房に入り、修業を積むのが一般的
必要な適性・能力・日本の伝統的な美意識やものづくりに興味があり、コツコツと辛抱強く究めたいという強い意思を持つ人
・手先の器用さと体力が基本
・慎重な仕事ぶりと集中力、忍耐力も必要
収入ひと通りの技術を習得した一般的な瓦職人の場合で、賃金は年収300~500万円といわれる

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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