新36協定における1日あたりの延長することができる時間について
平素は大変参考にさせて頂いております。
さて、来年4月の労基法改正に伴う新36協定について情報収集を行って、各論を詰めているところですが、
初歩的な点でわかりかねる点がありましたため、ご質問させて頂きます。
今回の改正では、通常の36協定で延長することができる時間として1箇月45時間以内、年360時間以内、特別条項付の36協定締結時には1箇月100時間未満、複数月平均80時間以下、年間720時間以下というラインが明確にされました。
ただ、1日について延長することができる時間については明確に示されているものを当方は確認できておりません。
①そもそも論ですが、1日について延長することができる時間について明確に示されているのでしょうか?
②(①で明確に示されていないことを前提として)1日の延長することができる時間を15時間(1日24時間-法定8時間労働-休憩1時間が根拠です)とすることは法的に可能という認識でよいでしょうか。
これは、近夏の台風による影響で停電が1週間弱続いた際も、管轄労基が労基法33条の適用を認めなかったという事案があったため、そのような突発時をカバーするという趣旨です(家庭の電気だけでなく信号も止まるなどの影響もありましたが勘案されませんでした)。
③仮に1日の延長することができる時間を15時間とした場合、労働基準監督署の臨検を受ける可能性が飛躍的に高まるというリスクが生じうることは承知しております。
さりとて、通常生じうる時間外労働(1日2~3時間)で協定を結んだがために、災害時など突発時にやむなく法違反者が発生するという事態も避けなければいけないリスクと考えます(当社は業務柄人命にかかわることもあるため、相当なジレンマに社員はさらされてしまいます)。
本来比較すべき2分論ではないかもしれませんが、ご見解を賜ることができますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
投稿日:2018/11/22 17:09 ID:QA-0080611
- 着眼大局さん
- 静岡県/医療・福祉関連(企業規模 10001人以上)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、延長することができる労働時間の上限について明確に定められているのは1週間単位からですので、1日単位では示されておりません。
従いまして、1日15時間の延長であっても法令上では一応可能とはいえるでしょう。仮にそれを超える時間になりますと、1週間単位の限度時間を超えてしまいますので認められません。
但し、今回監督署が非常時災害での時間外労働適用を認められなかったのは、詳細経緯は知る由もございませんが多分に状況を勘案されて判断されたはずですので、より重大な災害が起こり人命に関わる等緊急性が高いものについては当然認定されるものと考えられます。今後の件もございますので、納得が行かないようでしたら監督署に対しまして今回の不認定の理由を明確に示されるようきちんとお尋ねされる事をお勧めいたします。その上で、極力1日15時間といった過剰な限度時間の設定は避けられるべきというのが私共の見解になります。
投稿日:2018/11/23 10:08 ID:QA-0080628
相談者より
私どもの業務は、直接・間接的に人命に関わるものがほとんどであるため、労基署には再度確認を求めていきたいと思います。
投稿日:2018/11/26 09:31 ID:QA-0080646大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
ジレンマは解消されず、自社での決定が必要
▼ 36協定には1日に就いて延長することができる「残業時間」の定めは必要ですが、その「限度基準」は定められていません。従い、論理的には、ご指摘通り、15時間とすることができます。
▼ 他方、企業には、社員の健康管理義務があり、36協定では、5時間程度に抑えている場合が多いようです。1時間休憩があるものの、24時間働き詰めとなる15時間は問題外として、企業としては、8時間は欲しい処でしょう。
▼ 然し、8時間と記載すれば、監督署にはよい顔をされず、社員や外部からは、ブラックと言われ兼ねません。結論としては、現行、改訂案、いずれにしても、ジレンマは存在し続けます。御社の現行時間の維持、もしくは若干の引下げを検討されるのが現実的でしょう。
投稿日:2018/11/25 11:12 ID:QA-0080632
相談者より
当社には人命に関わる業務が多く含まれ、ケースが頻繁にあるとは考えておりませんが、災害で応援もままならない状況の際に15時間というのは考えられない数字ではありません。いずれにせよ、社内でもう一度整理をしたいと思います。
投稿日:2018/11/26 09:42 ID:QA-0080647大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
法改正による、新様式では特別条項において1日の限度時間記入欄もできますので、自然災害により、あるかないかというケースであれば、特別条項に1日15hと記載する選択肢もあります。
その上で
①1日の限度時間はありません。
②法的に可能です。ここは最大限時間記入欄ですので、記入時間を超えれば法違反となりますので、むしろ1日15hの可能性があるのであれば、そのように記載すべきです。
③大事なのは、実際に残業させた時間です。気になるようであれば、現状でも特別条項に1日について追記するという方法もあります。
投稿日:2018/11/26 14:02 ID:QA-0080656
相談者より
明快なご回答ありがとうございます。当社としても1日15時間はあくまでも緊急措置的な対応を想定したものであり、通常時に当てはめるものではないことを社内で周知徹底していきたいと思います。
投稿日:2018/11/26 15:03 ID:QA-0080658大変参考になった
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