企業買収における人員整理
投稿日:2012/10/02 17:18ID:QA-0051529 を拝読したうえでお伺いしております。
内容は似ておりますが、今回相談の背景は、買収される側(赤字)/買収する側(黒字)
の場合です。残す社員の選定に入っております。その中で、重複する職務で、残すのであれば
買収する黒字側の社員よりされる赤字側の社員のほうが能力的にも社員としての勤務態度も
好ましいという結論になりそうなケースがございます。
絶対評価ではなく、相対評価で人選したいというのが経営陣の意向で、それを会社全体
説明したところ、買収する側の社員から
「自分たちは黒字の会社側で、それに貢献してきたつもりである、今回の買収の影響で、
自分がリストラ対象になるのは、おかしくないか?誤解を恐れずにいうと、赤字側のほうの
人間からまずは切ってもらいたい、それからの黒字側の整理解雇ならまだ分かる」
との、意見が出ました。
相対評価での人選につき、貴方は残念ですが…では、合理的な理由にはならないのでしょうか?
ドライで厳しいのは個人的には分かります(こうして相談している自身も他人ごとではないので)。
ですが、買収経営統合後の会社運営は、もっと厳しくなるので、リストラを最小限にする努力を
最大限にしても、退職奨励並びに整理解雇で社員数調整をせねばならないことだけは確実です。
投稿日:2015/06/18 15:01 ID:QA-0062769
- 非公開さん
- 東京都/情報処理・ソフトウェア(企業規模 31~50人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
解雇4要件
結論から申し上げますと、「相対的評価の結果」というような不明確な理由での解雇は無理です。数値などの絶対的で明確な劣位点を、公正に評価した証拠を残さなければなりません。
判例にある解雇4要件(1)人員整理の必要性(2)解雇回避努力義務の履行(3)被解雇者選定の合理性(4)解雇手続の妥当性を満たす必要があります。まして今回はご提示のように黒字会社での担当者の解雇ですから、ますますハードルは高いでしょう。
解雇について強制的な執行はできません。ゆえに各社はそのために退職パッケージの設定や、時間と手間をかけた説得といったことで成立させていきます。合併などとは直接関係ありませんが、組織の大きな変化を機に、こうしたタイミングとは関係なく、通常からパフォーマンス評価をしっかり行い、そのフィードバックとして改善指導。その究極の行き先として退職を勧めるというような評価体制を整えられてはいかがでしょうか。
投稿日:2015/06/18 23:18 ID:QA-0062770
相談者より
増沢先生、早速のご回答有難うございます。その後の人生に大きく影響するので、ひとを辞めさせるのは本当にそれぐらいの時間と手間をかけるべきで、「その究極の行き先として退職」は仰せのとおりだと思います。
トップから下々まで、他人事だと思わず、取り組めたらと思います。
投稿日:2015/06/19 09:17 ID:QA-0062771大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
単純比較は不可能、買収完了後の全社的社員数調整で合理的措置を
買収・被買収、 双方の評価制度、 運用は別物なので、 同一の職務名であっても、 単純比較は不可能です。 百歩譲っても、 買収 ( 支配可能な株式数の買取りが多い ) という会社行為を直接の理由として、 買収側の特定職務の社員を解雇するのは、 明らかに、 解雇権利を濫用したものとして無効だと考えます ( 労働契約法第16条 )。 それでも引取り、 職務代替させたいのであれば、 買収完了後、 実施することになる全社的社員数調整において、 前回のQ&Aにも引用されている解雇要件に基づき、 措置を講ずるのが妥当だと思考します。
投稿日:2015/06/19 12:41 ID:QA-0062772
相談者より
川勝先生、貴重なご意見、有難うございます。運用は別物との冷静さを欠けていたと思います。
投稿日:2015/06/23 16:31 ID:QA-0062790大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、文面のような整理解雇の場合ですと、QA-0051529でも示しました通り、 ①解雇の必要性②解雇回避の努力③人選の合理性④労使間の真摯な交渉といった4要件が求められるものといえます。
そこで相対評価での人選とございますが、絶対評価であれ相対評価であれ、必ず③でいうところの合理的な人選方法になるとは限りません。あくまで評価の経緯や具体的な中身によるものといえます。
今回の事案は特に吸収合併になりますので、「赤字側のほうの人間からまずは切ってもらいたい」といった従業員の主張にも当然ながら一理あるものといえるでしょう。勿論会社側の優秀な社員を残したいという考え方も間違いとは言い切れませんが、双方の従業員のパフォーマンスは当人の個人的要因のみならず会社方針や職場環境等の外的要因によっても左右されますので、単純比較のみで評価選別されるのが適切とは言い難いでしょう。やはり経営赤字等による整理解雇の必要性を生み出した買収される会社側の人員が解雇対象となるのが妥当と考えます。そもそも合併がなければ、整理解雇の要件の①が発生しないという点に留意しなければなりません。
その上で、どうしても文面のような買収する側での低パフォーマンスの社員を解雇対象とするには、合併による整理解雇とは全く切り離し、就業規則上で定められた個別の解雇理由(例えば、勤務不良や業務能力の著しい欠如など)による解雇措置として行われるべきです。つまり合併の有無に関わらず解雇対象とされる事で、その結果として適正な人員調整になる分には差し支えないものといえるでしょう。勿論、その場合も会社による改善指導がきちんとなされていない等であれば解雇権の濫用として認められない可能性が高いですので、タイミングの悪さも考慮し整理解雇以上に慎重な判断が求められる事は言うまでもございません。
投稿日:2015/06/19 19:43 ID:QA-0062773
相談者より
服部先生、ごもっともなご指摘、痛み入ります。お互いに身辺整理をしてからの結婚が望ましいことは、経営の素人でも分かりそうなものですが。。。時すでに遅く、買収が発表されてしまったのが現実です。
「たら、れば」ではない話し合いで進めて行くように心がけます。
投稿日:2015/06/23 16:38 ID:QA-0062791大変参考になった
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