借上寮の交通騒音について
初めて相談致します。
弊社では福利厚生として独身者(単身赴任含む)に借上寮を手配しています。
1棟借りではなく、転勤や入社の都度の手配となりますが、
事業所近くに手配するため、同じ棟の別の部屋を個別に借りているケースも多くあります。
今回、その同じ棟で複数室借りている棟に住む従業員から、
「近くの幹線道路の音で眠れない等の症状が出てきた。
1年以上我慢したが、耐えきれなくなったので寮を変えてほしい」
との申し出がありました。
ちなみに会社として、他の従業員に手配している実績のある物件であり、
その他の人からは交通騒音に悩まされている申し出はありません。
このような場合でも、本人の申し出に添って住居を変更する必要がありますでしょうか。
また、仮にそうした場合、新しい物件でも交通騒音、または別の騒音で部屋を変えてほしい、、と
要望が続くことを懸念しております。
例えば、今回はもちろん交通騒音がなさそうな幹線道路沿いではない物件を手配したとして、
それ以降、隣家からの騒音等は、どの物件でも起こりうることとして、
会社としては対応しない(個人で手配する)等と、
本人に了承いただいた上での、今回の手配とすることは可能でしょうか。
投稿日:2025/12/01 11:33 ID:QA-0161322
- 労務Mさん
- 千葉県/電機(企業規模 10001人以上)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
会社に「寮を必ず変更する法的義務はない」
(福利厚生であり、会社が提供する住まいは“貸与”に過ぎないため)
ただし、本人の健康被害(睡眠障害・メンタル不調)が生じている場合、
合理的な配慮として「住居変更を検討すること自体」は望ましい。
しかし、「要望が続く」ことへの懸念は正当であり、
今回の対応に“限界の明確化”をセットにすれば、無制限な要求につながらず安全。
結論として、
今回の申出には一定の配慮を行いつつ、今後は無制限に対応しない旨を本人と合意した上で対応することは可能であり、労務管理上も適切です。
2.会社の法的義務があるか
借上寮は「福利厚生」であり、法的義務はありません。
よって、
社員の申出=即変更義務
にはなりません。
ただし、労務管理として次の観点を考える必要があります。
3.「健康被害」がある場合は、一定の配慮が必要
本人が述べているのは以下:
幹線道路の騒音で眠れない
1年以上症状が続く
体調影響を訴えている
これは「合理的配慮」「安全配慮義務」として一定の検討対象になります。
義務はないものの、
産業保健上の視点から『検討姿勢』は必要です。
4.“他の従業員は問題を訴えていない”という状況の意味
これは会社にとって非常に有利です。
寮そのものに構造的欠陥があるわけではない
多数の従業員に同じ問題は発生していない
「本人特有の感受性」に基づく問題と整理できる
→ このため、会社としては「合理的な範囲の配慮」で足りる。
5.無制限に部屋変更を求められるリスク
質問にある懸念(※新しい寮でも騒音が出る可能性への心配)は非常に重要。
同様のケースは他企業でもあり、
対応を明確にしておかないと「モンスター申出」化
するリスクがあります。
6.会社として可能な対応方針(これが最適)
(1)今回は例外的に“配慮”として住居変更を検討
※理由:1年以上の健康不調 → 労務管理上の柔軟な配慮が合理的
(2)次の寮は「一定基準に基づき会社が選定」
※本人が選ぶのではない
※“幹線道路沿いを避ける”等の基準は会社側で設定
(3)文書で「今後の基準」を本人に説明
以下の趣旨を明確にすることが重要:
借上寮は福利厚生であり、必ずしも完全な静寂を保障しない
隣室騒音・生活騒音はどの物件でも発生しうる
今回の変更は「健康配慮上の一度限りの措置」である
今後は通常の寮基準を満たしていれば変更対応は行わない
この文書に本人が署名する必要はなく、
**説明した事実の記録(議事録)**を残せば十分です。
7.法的に問題がない理由
(1)福利厚生は「企業の裁量の範囲」
労基法は住居提供そのものを義務づけていないため、
企業側が基準を設定して対応するのは自由。
(2)合理的な範囲での対応であれば、会社は義務を果たしている
健康配慮として寮を変更
ただし無制限の要求には応じない
→ ←これが合理的配慮の「過重な負担回避」原則に合致する。
(3)過度な要求に対し、拒否は合法
福利厚生の範囲を超える要求は、
安全配慮義務の範囲にも含まれない。
8.会社が取るべき最適なステップ
産業医面談(可能なら)
→「睡眠障害など健康影響がある」という医学的根拠を確認
次の寮を“会社基準で”選定
本人へ説明
- 今回は健康配慮
今後は寮変更を約束するものではない
騒音ゼロの保証はできない
説明記録を保存
今後の寮選定基準(幹線道路沿いを避ける等)を内規化しておくと安定
9.まとめ
法的に寮変更義務はない
ただし健康不調があるため今回限りの配慮は妥当
無制限の要求につながらないよう、説明文書・基準設定が不可欠
今回対応 + 今後の回避条件を示しておけば労務リスクは極小化できる。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/01 14:19 ID:QA-0161335
相談者より
早々にご回答賜り、誠にありがとうございました。
大変参考になりました。
今後も同様のケースが発生すると思っておりますが、
検討の指針として活用させていただきます。
ありがとうございました。
投稿日:2025/12/01 15:42 ID:QA-0161342大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
会社で借上げ寮を用意しているだけでも立派なことです。
客観的に交通騒音が限度を超えているわけでない限り、
本人が退寮し、自分で借りるという方向で問題ないでしょう。
投稿日:2025/12/01 15:44 ID:QA-0161343
相談者より
ご回答いただきありがとうございます。
今後の対応に活用させていただきます。
投稿日:2025/12/01 17:36 ID:QA-0161350大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
以下の実績がありますので、個人的な主観が入っている可能性が高いものと
思われます。個人的な主観については、特別対応をとる必要はありません。
|ちなみに会社として、他の従業員に手配している実績のある物件であり、
|その他の人からは交通騒音に悩まされている申し出はありません。
但し、本当に交通騒音があるのか・ないのか、客観的にはわからないものです。
従業員自身にスマートフォンアプリなどで騒音を記録の上、提出してもらい、
問題があるのかないのか、今後を鑑みますと、明確にしておく方が安心です。
スマートフォンアプリなどで一定以上の騒音が確認できた場合は、市区町村の
環境担当部署にご相談いただくことをお勧めいたします。
投稿日:2025/12/01 16:15 ID:QA-0161347
相談者より
ご回答いただきありがとうございます。
おっしゃる通り、従業員の主観による部分も大きいと考えており、
このようなケースの場合、いつも苦慮しております。
客観的データを提出いただくように対応したいと思います。
ありがとうございました。
投稿日:2025/12/01 17:39 ID:QA-0161351大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、百聞は一見にしかずと言いますし、可能であれば現場へ行かれてどの程度の騒音になるか確認される事をお勧めいたします。
恐らくは当人の特異体質または単に変わりたい為の言い訳の可能性が高いものといえますが、他の従業員が我慢している可能性もゼロとまでは言い切れませんので、きちんと客観的な状況把握をされるべきです。
その上で、特に支障の無いレベルであれば、部屋の件については個人での対応とされる事で差し支えないですが、本当に不眠という事であれば安全配慮義務の観点からも一度病院で診断を受けられるよう当人に勧められるのがよいでしょう。
投稿日:2025/12/01 20:25 ID:QA-0161365
相談者より
ご回答ありがとうございます。
現地、周辺の状況確認を行いたいと思います。
ありがとうございました。
投稿日:2025/12/02 10:18 ID:QA-0161388大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
真偽がわからないので、調査するしか無いと思います。
会社自ら調べるのか、調査依頼を出すのか決めて、それを根拠に対応でしょう。
一般のアパートなどが生活に耐えがたいほどであれば、住人がいないはずなので、そうした場合は別の住まいを手配してあげるべきですが、明確に調べて結論を出すべきと思います。
投稿日:2025/12/02 10:39 ID:QA-0161393
相談者より
ご回答いただきありがとうございます。
現地確認を行いたいと考えております。
ありがとうございました。
投稿日:2025/12/02 12:30 ID:QA-0161410大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
「借上寮の交通騒音について」回答させていただきます。
ご質問の件、社宅代行業務を行っている会社として、
他の法人様で一般的に行われている対応を踏まえ、ご説明申し上げます。
まず、既に他の方がご回答の通り御社に法的な対応義務はございません。
また騒音につきましても、別の社員様が問題なくお住まいであった実績がございますことから、法人責任とは言い難い状況でございます。
今回のケースでは、以下の3点がポイントになると存じます。
ポイント1:寮の変更を認めるか
ポイント2:変更する場合、費用負担はどちらが担うか
ポイント3:変更不可(会社として対応しない)とする場合、その方針を今後も維持されるか
──────────────────
■ 他社事例(ポイント1・2に関して)
今回と同様の申し出が社員様よりあった場合、ご要望に応じて寮変更を認める法人様も一定数いらっしゃいます。
ただし、その場合でも「引っ越し費用は社員様負担」とされるケースが多い傾向です。
また、ご質問文にもございましたように、今後も同様の要望が続く可能性は否定できません。
<<今後のご対応に関して>>
法人責任ではない理由により度重なる変更要望が出ることを防ぐため、
「部屋の環境に納得できない場合、次回は自己都合として社宅を終了する」
といった取り決めを事前に示しておかれるとよろしいかと存じます。
──────────────────
■ 弊社からのご提案(ポイント3に関して)
昨今、借り上げ社宅を人事戦略の一つとして活用される企業様が多い中で
御社におかれましても「人材獲得」または「いま働いている社員を大事にしたい」という思いで社宅を福利厚生として運用されているのであれば、
社員様のご要望に沿って寮の変更を認めるのはよろしいかと存じます。
ただしそれを行う上で無制限で対応というわけにはいかないので、
今回限りとするなど回数制限を設ける、費用は社員負担とする、など取り決め、
書面などで合意を取られることがよいでしょう。
または、もし今回「対応なし」とご判断される場合は、該当社員様が離職を選択される可能性も考えられますため
仮に御社にとって必要性の高い人材であれば、別の改善策を早急に話し合われる必要があるかと存じます。
<<他の社員様への影響>>
一方で、今回のような要望がエスカレートするリスクもございますため、「対応しない」というご判断も合理的でございます。
ただし、その場合でも「対応しない」ことを通常運用とせず、あくまでイレギュラーなケースとして位置づけておかれることを推奨いたします。
悪い想像にはなりますが、他の社員様の間で
「要望を出しても何も対応してもらえない」
という認識が広がることが、御社にとって最も避けるべき状況と存じます。
「長く安心して働ける会社」と感じていただくためには、
要望の可否は別として、まず耳を傾け、双方が納得できる落としどころを探る姿勢が重要でございます。
上記を踏まえまして、今回のケースにおきましては、
・寮の変更は“1回のみ”認める
・引っ越し費用は社員様負担とする
この組み合わせが最もバランスの良いご対応かと存じます。
長くなりましたが、少しでも御社の社宅運用のご参考になれば幸いです。
投稿日:2025/12/02 15:13 ID:QA-0161436
相談者より
ご回答いただきありがとうございます。
いくつかのパターンをご提示いただき、参考になります。
住宅制度は対応に苦慮することの多い施策の一つですが、
ご回答いただいた内容をふまえ、対応していきたいと思います。
ありがとうございました。
投稿日:2025/12/02 17:34 ID:QA-0161464大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
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社労士などの専門家がお答えします。