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社用車の運転について

 以前にここで通勤車両(社用車)を複数名で利用する場合、運転者は業務
で同乗者は業務ではないとの見解をいただきました。
その流れで、運転者は労働時間とし、時間外に計上することとしております。
最近別の現場が始まり同じ運用をしていますが、免許がない、膝の具合が悪
く咄嗟のブレーキ操作ができないなどの従業員がおり、運転が固定の社員
に集中する状況となっています。
通常の残業と運転時間を合計すると、労使協定の残業時間上限に迫るような
状況なのですが、運転時間は労働時間として計算しなくてはならないので
しょうか。
そもそも、運転能力を当該者の基本給や職能給の決定基準としていないので
運転時間(残業時間)の単価が各々異なり、不公平な気もします。
運転に特化した手当を公平な形で支給し、労働時間とは切り離して考えよう
と思うのですが、問題ありますか。(運転時間は往復1時間程度です)

投稿日:2025/11/19 09:33 ID:QA-0160860

ニコラジ幹部さん
東京都/建設・設備・プラント(企業規模 11~30人)

プロフェッショナル・人事会員からの回答

全回答5

プロフェッショナルからの回答

小高 東
小高 東
東 社会保険労務士事務所 代表(特定社会保険労務士) 

ご質問の件

乗り合いでの運転手等の移動時間については、
裁判例でも、労働時間とされるケースと、されないケースがあります。
一概に運転手だけが労働時間となるわけではありません。

会社として、具体的にどのような指示を出しているのか詳細によります。
何時にどこに集合し、現場には何時までに行き、何時にどこに戻るのか等です。

運転業務を命じていたのであれば、労働時間となりますが、
任意で特定者に命じていないのであれば、労働時間とはなりません。

ただし、運転手手当なども検討する必要があるでしょう。

投稿日:2025/11/19 17:13 ID:QA-0160883

相談者より

ありがとうございます。参考になりました。

投稿日:2025/11/20 09:14 ID:QA-0160929大変参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

井上 久
井上 久
井上久社会保険労務士・行政書士事務所 代表

ご回答申し上げます。

ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
・社用車の運転は 原則として労働時間に該当
よって、往復1時間の運転は そのまま労働時間(場合により時間外) として扱わざるを得ません。
理由:
業務命令による移動・運転=労働からの拘束
車の運転=作業そのもの
(厚労省通達・判例で一貫して「労働時間」と扱われます)

2.なぜ運転は労働時間になるのか(法的根拠)
・労働時間の定義(労基法32条)
「使用者の指揮命令下にある時間」
・運転は「業務そのもの」であり、明確に指揮命令下
作業指示あり
居眠り・休息は不可
危険作業で緊張を伴う
自由利用不可
→ 業務性が強いため、労働時間から切り離すことはできません

3.「運転時間を手当化して、労働時間から外す」はできるか?
・結論:不可能(法的にNG)
理由:
労働時間に該当するものを労働時間から外すことはできない
手当を支払っても、運転時間が「労働時間」であることは変わらない
手当は“賃金の種類”であって“労働時間の代替”にはならない
偽装請負ブラックバイト類似の危険あり

4.「不公平感」への対応策は合法的に可能か?
可能な範囲の改善策あり
以下の方法が、合法的かつ実務的に最も安全です。
【対応策A】 運転担当手当(役割手当)を支給する(合法)
運転スキル・免許保有・負担集中への補填
職務評価に応じた手当として支給
手当と割増賃金(残業代)とは別に扱う
→ 違法性なし
注意点:
あくまで「運転を担当する役割に対する手当」
運転時間を労働時間から切り離す効果は持たない
→ それでも不公平感の緩和には有効
【対応策B】 運転業務のローテーション化(実務的解決)
全員運転可能であれば交替
免許なし/身体上の理由がある人は免責
ただし、運転不可者の業務負担を別途調整することも可能
【対応策C】 運転を「業務命令でない移動時間」に変更(例外的)
これはごく限られたケースですが、
待ち合わせ場所に「自力で来てください」と指示
集合場所までの移動は通勤扱い(労働時間外)
とする方法もあります。
※ただし、“会社が移動方法を指定している”場合は労働時間になるため注意。
今回のケースだと、ほぼ不可能。

5.「残業上限(36協定)に迫る」問題への対処
・運転=労働時間 → 上限管理が必要
よって、以下の対策が必要になります。
【対策1】 運転時間を「業務」として正式に位置づける(規程化)
就業規則の「業務内容」または「服務規程」に
・社用車の運転は業務の一部とする
・担当者は会社の指定による
と明記。
【対策2】 運転担当を複数名確保する(免許取得補助も可)
免許なし、膝の問題などがある人は運転免除でよいですが、
他の社員を「運転可能要員」に育てる必要があります。
【対策3】 運転時間そのものを短縮する(実務的改善)
現場への集合場所変更
回送車の導入
公共交通機関利用の検討
タクシー利用の検討(費用<残業増のリスク)

6.最終結論
(1)運転時間は労働時間であり、時間外計上は必須
(2)手当を支払っても労働時間から切り離すことはできない
(3)不公平感の軽減は「運転担当手当」の支給で可能
(4)残業上限に迫る場合は業務設計を見直す必要あり
(5)規程整備と運用改善が「安全」かつ「合法」な解決策
以上です。よろしくお願いいたします。

投稿日:2025/11/19 17:45 ID:QA-0160894

相談者より

詳細に解説いただいてありがとうございます。
労働時間とは切り離せないということも根本から
理解できました。

投稿日:2025/11/20 09:18 ID:QA-0160930大変参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

増沢 隆太
増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ 人事・経営コンサルタント

業務性

業務として会社が命じているのですから、仕事であり、給与支払い対象です。
業務命令とする以上、体調や適性含めて、命令者である上長にも大きな責任があります。
過重労働になるような命令があれば、管理責任です。
給与単価を気にするなら、単価の低い社員に命じるしかありません。

投稿日:2025/11/19 18:45 ID:QA-0160904

相談者より

回答ありがとうございます。
参考になりました。

投稿日:2025/11/20 09:20 ID:QA-0160931大変参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

服部 高明
服部 高明
服部 社会保険労務士事務所 代表

労働時間

 以下、回答いたします。

(1)労働時間は「使用者の指揮監督のもとにある時間」とされています。業務上の必要性を踏まえ使用者が労働者に対して社用車の運転による業務を命じ、労働者がこれを受けて社用車の運転による業務をすることとし(余儀なくされ)、労働からの解放が保障されていないのであれば、当該運転時間は労働時間に該当するものと認識されます。

(2)そして、当該労働時間(労働)に対しては賃金の支給が必要となります。但し、業務内容や担い手によって異なる賃金を支給することは、契約内容の変更に関し、個別の同意があれば可能であると認識されます。

(御参考)「社会福祉法人A事件」(東京高裁令和6年7月4日)
※労働契約において、夜勤時間帯について日中の勤務時間帯とは異なる時間給の定めを置くことは、 一般的に許されないものではないが、そのような合意は趣旨及び内容が明確となる形でされるべき

投稿日:2025/11/19 23:31 ID:QA-0160910

相談者より

判例、法的根拠など詳細に回答いただき、ありがとうございました。参考となります。

投稿日:2025/11/20 09:22 ID:QA-0160932大変参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

米倉 徹雄
米倉 徹雄
KIZASHIリスキリング社会保険労務士法人 代表社員

回答いたします

ご質問について、回答いたします。

手当を支給することで、単価の不公平感を解消する考えは良いかと思います。

一方で、手当を支給したからと言って、労働時間としてカウントしないことは
会社からの指示(黙示的な指示含む)で運転をしている状態である以上、不可
と考えられるでしょう。

労使協定の残業時間上限を超えないようにするには、可能な範囲で労使協定の
残業上限時間を引き上げるか、代わりの運転手を用意する等、移動手段の見直し
を図るしかないでしょう。

また、現場作業の特性上、車の運転が出来ない従業員が多いことが業務に与える
影響については再考が必要でしょう。場合によっては採用選考基準の見直しも
必要となります。

投稿日:2025/11/20 07:46 ID:QA-0160915

相談者より

ご回答ありがとうございます。
可能な範囲で、運転時間の平坦化を図る施策を
講じていきたいと思います。

投稿日:2025/11/20 09:24 ID:QA-0160933大変参考になった

回答が参考になった 0

回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。



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