切迫早産の可能性がある社員の産前産後休業について
知識不足により失礼いたします。
当社従業員で、現在妊娠中の方で切迫早産になりそうな方がいます。
その方が休むことについては傷病手当金が出るという認識はあります。
ただし、産前産後休業について
切迫早産で本来の産前休業よりも前に妊娠してしまった場合には、
いきなり産後休業に入るかたちでしょうか。
本来は
①産前産後休業の申し出
②変更があった場合変更届
③育休申し出
④育児休業給付金
のような形だと思いますが、切迫早産の場合は申請がどうなるのでしょうか。
また、「出産手当金」の支給金額にはあまり影響はないかと思いますが、
「育児休業給付金」には影響が出るのではないかという認識です。
理由が認識と相違ないかも確認です。
休業していた場合、完全月が12か月分あるまで遡るため、
過去の方が全体給与が少ない方が一般的だからということでしょうか?
少し長いですがお願いいたします。
投稿日:2025/11/05 11:03 ID:QA-0160223
- @@さん
- 東京都/その他業種(企業規模 1001~3000人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
切迫早産などで出産予定日前に長期欠勤→産前産後休業→育児休業という流れになる場合、健康保険(出産手当金)と雇用保険(育児休業給付金)での取り扱いが異なるため、以下のように整理してご説明申し上げます。
1.切迫早産時の休業と制度の区分
(1) 切迫早産による休業期間
この期間は「産前休業」ではありません。
あくまで「病気(傷病)」による休業です。
したがって、この間は「傷病手当金(健康保険法第99条)」が支給されます。
この期間中の休業は、本人が医師の指示により休むものであり、会社の「産前休業の申し出」手続きとは別扱いです。
2.産前産後休業の開始時期
産前休業の開始は、出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合14週間前)から、本人の申し出により取得できます。
切迫早産でそれより前に休んでいたとしても、
その前期間は「傷病による欠勤」
出産予定日の6週間前以降は「産前休業」
という区分になります。
例:
時期取扱い給付出産予定日8週前〜7週前医師の指示による休業傷病手当金出産予定日6週前〜出産日産前休業出産手当金出産翌日〜56日後産後休業出産手当金
3.手続きの流れ
通常と同様、手続きは以下のようになります。
傷病休業開始時
→「傷病手当金支給申請書」を健康保険組合または協会けんぽに提出(医師の証明要)
出産予定日の6週間前以降
→「産前産後休業の申し出」を会社に提出(就業規則に基づく)
産後56日経過後
→「育児休業の申し出」+「育児休業給付金申請」
したがって、「いきなり産後休業に入る」ということにはならず、
傷病休業→産前休業→産後休業→育児休業という流れになります。
4.出産手当金と育児休業給付金への影響
(1)出産手当金(健康保険)
「産前産後休業中」の給与が無給または一部減額であれば支給されます。
支給額は標準報酬日額の2/3(令和6年度改定で実質賃金補填率67%程度)です。
傷病休業期間が長くても、産前産後休業に入る時点での標準報酬月額を基準に算定されるため、影響は基本的にありません。
(2)育児休業給付金(雇用保険)
支給基礎期間の計算上、「休業していた期間(報酬なし)」があると、
直近12か月のうち賃金支払基礎日数11日以上ある月が12か月ない場合、さらに遡って24か月までさかのぼることになります。
したがって、ご指摘の通り、
→ 「過去に遡るほど給与が少ないため、給付金額が下がる」 ということはあり得ます。
給付金は、休業前6か月の平均賃金の67%(180日以降は50%)で算出されますので、遡るほど平均賃金が低いと、支給額も低くなります。
5.実務上の注意点
切迫早産期間の給与処理
→「病気による欠勤」扱いとし、賃金支払いの有無を明確にしておく(出産手当金・傷病手当金との調整が必要)
社会保険料の免除
→「産前産後休業期間」「育児休業期間」は免除対象ですが、「傷病休業期間」は対象外です。
書類提出時期
→ 傷病手当金と出産手当金は、医師の証明欄が必要なため、早めに準備するよう社員へ案内しておくことが望ましいです。
6.まとめ
区分期間制度給付金手続き切迫早産で休業予定日より6週前以前傷病休業傷病手当金健保申請出産予定日6週前〜出産産前休業出産手当金健保申請出産翌日〜56日後産後休業出産手当金健保申請産後56日経過後〜育児休業育児休業給付金雇保申請
ご認識の
「出産手当金には大きな影響なし」「育児休業給付金は過去月に遡ると減額リスクあり」
という理解は正確です。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/11/05 13:08 ID:QA-0160231
相談者より
いつもご丁寧にありがとうございます。
ちなみにですが、当初の産前休業期間より前に出産した場合には、
傷病休業→産後休業→育児休業
という認識でよろしかったでしょうか?
投稿日:2025/11/05 17:13 ID:QA-0160241大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
切迫早産で本来の産前休業よりも前に妊娠してしまった場合には、
いきなり産後休業に入るかたちでしょうか。
→早産の日より前までに休業していて、賃金の支給がなければ、
産前休業での出産手当金も申請できます。
仮に傷病手当金とダブッて申請しても協会けんぽ側で調整しますので、
問題はありません。
育児休業給付は休業前の賃金で算定しますので、
原則として、影響はありません。
投稿日:2025/11/05 13:49 ID:QA-0160238
相談者より
ありがとうございます。
協会けんぽ側で調整があるのは初めて知りました。
参考になりました。
投稿日:2025/11/05 17:16 ID:QA-0160242大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
申請の流れについては、ご記載の産前休業の開始前に、
切迫早産の為に仕事をお休みされた期間の傷病手当金の申請が入ります。
出産予定日6週間前は当初の予定日ですので、出産予定日6週間前から
産前休暇に入るのは通常と同じです。
出産手当金は、産前産後休業期間中の標準報酬日額の2/3で計算されますので
傷病手当金と金額的な影響はありませんが、出産手当金と傷病手当金の支給
期間が重なる場合は、出産手当金が優先されます。
また、以下についても影響はある場合があります。
|「育児休業給付金」には影響が出るのではないかという認識です。
理由は、切迫早産で早期にお休みに入った場合の傷病手当金期間中は、
給与支払がない、又は、支払基礎日数が11日未満となるため、算定除外月が
多くなります。結果的に、過去に遡って給与の低い時期(昇給前など)を基準
とする可能性が高まると言えるでしょう。
投稿日:2025/11/05 15:30 ID:QA-0160239
相談者より
ありがとうございます。
やはり育児休業給付金には影響が出る可能性ありますよね。
ちなみに当初の産前産後休業期間より前に出産したと仮定します。
さらに事務処理的にまだ産前産後休業の申し出を出していなかったと仮定します。
その場合、急に出産になったような感じになってしまうと思いますが、申請の処理的にはどのようになるのでしょうか?
投稿日:2025/11/05 17:21 ID:QA-0160243大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
追加のご質問にご回答申し上げます。
追加のご質問をいただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
考え方や規定等につきましては、ご説明申し上げました通りです。
追加のご質問
「当初の産前休業期間より前に出産した場合には、
傷病休業→産後休業→育児休業
という認識でよろしかったでしょうか?」
につきましての最終の判断は、所轄の労働基準監督署が行うものと存じます。
つきましては、本ご質問は、所轄の労働基準監督署の監督官にご確認されることをお勧め申し上げます。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/11/05 18:27 ID:QA-0160245
相談者より
ありがとうございます。
投稿日:2025/11/11 13:06 ID:QA-0160493大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。