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「自分のキャリアは自分でつくる時代」が日本にも来る
そう直観したとき、「リンクトイン」が面白いと思った

リンクトイン 日本代表

村上臣さん

「すべての働く人々に経済的なチャンスをつくりだす」

日本代表に着任されたとき、リンクトインは日本においてどのような立ち位置だったのでしょうか。

一番問題だったのは、リンクトインのバリューが日本市場に正しく伝わっていなかったことです。個人も法人も、利用者の多くがリンクトインは転職サイトだと思っていました。しかし、本来のリンクトインはプロフェッショナルのためのネットワークであって、転職はその機能の一部にすぎません。そういった認識と実態のギャップをまず埋めていくことが必要だと感じました。

リンクトインのグローバルでのビジョンは「すべての働く人に経済的なチャンスをつくりだす」というもの。経済的チャンス(Economic Opportunity)とは、転職のことだけでなく、社内でステップアップして昇給・昇格を勝ち取っていくことや、自分のやりたい仕事に出合うことなど、さまざまな要素を含んでいます。

自分自身がキャリアのオーナーシップを持ち、社会人としての人生を構築していこうとしたときに重要になるのが、メンターやロールモデル、知識や情報、そして何よりもネットワークでしょう。

誰かとつながることで、アドバイスや手助けをしてもらえる。逆に自分が助けることもある。そういう日々の積み重ねによって「信頼貯金」が増えていく。これからの時代にはそういったストックでプロフェッショナルとしての自分の価値を高めていくことがきわめて大切です。

リンクトインはそれを可能にするツールであり、海外では名刺がわりにIDを交換したり、ビジネスニュースを読んだり、同じ職種や同じ業界の人同士で相談したり、アドバイスをし合ったりという、SNSとして利用されています。

村上さんのリンクトインの画面
村上さんのリンクトインの画面

日本市場にリンクトインを正しく認識してもらうために、具体的にどのような手を打たれたのでしょうか。

一つの起爆剤になったのは「リンクトイン編集部」の設置です。前職での経験から、日本のユーザーは海外と比較すると、ビジネスニュースをよく読む傾向があります。そこで、専任の編集長を採用して編集部を立ち上げ、独自記事やキュレーション記事を「今日のニュース」として配信することにしました。これはヒットしましたね。リンクトインの日本でのイメージを大きく変えるきっかけになりました。

「編集部や自分がリアルでつながっている人、意見を聞きたいと思っている人が選んだ記事がコメントとともに配信されるので、自分の関心のあるニュースが的確に配信されてくるし、炎上狙いの記事もなく気持ちよく読める」といった声をたくさんもらっています。「人が介在する良さ」は、SNSならではのものと言えると思います。

さらに、サイト全体のデザインや使い勝手の改善、日本語のブラッシュアップ、日本独自機能の追加など、プロダクトの改良も1年半ほどかけて徹底的に行いました。利用者が確実に増えて、現在はプロフェッショナル・コミュニティーとして、仕事上の経験や課題など、さまざまなことをオープンに話し合う文化が生まれつつあると感じています。

貴社は法人向けにも独自のサービスを多数提供されています。概要をお教えいただけますか。

法人向けサービスは、当社の収益の柱でもあります。私もプロダクトの改善が一段落してからは営業に軸足を移し、より充実したサービスを提供できる体制づくりに取り組んでいます。

主な法人向けサービスは、「タレントソリューション(人材採用支援)」「マーケティングソリューション(広告提供)」「LinkedInラーニング(eラーニング)」「エンゲージメントサーベイ」の四つ。共通しているのは、利用者のプロフィールをベースにした仕事に関係するデータ「エコノミックグラフ」を活用できる法人向けサービスであることです。

たとえば、ダイレクトソーシングで人材採用を行いたいとき、リンクトインのアルゴリズムは人材の発信しているあらゆる情報を総合して、もっとも返信率の高い状態でメッセージを届けることが可能です。あるいは、オンラインの営業活動の場合、例えば「従業員1000人以上の企業の部長以上に限定して広告を配信する」といった、きわめて精度の高いターゲティングもできます。

一般的なSNSのデータ「ソーシャルグラフ」では、ターゲット設定ができるといっても年代、性別、職業別くらいでしょう。それに対してリンクトインは、ビジネス特化型SNSならではの法人向けサービスに最適化されたアクティビティーを提供できます。

日本でもダイレクトソーシングなどに注目する企業が増えてきています。大きく期待できる分野ですね。

日本進出当時は、たしかに人材の流動性の低さを読み誤っていたところはあったと思います。海外と同様に「転職」や「キャリアアップ」というバリューを前面に打ち出したのですがあまり響かず、結果的に浸透に時間がかかる要因ともなりました。

しかし、その当時と比べて社会情勢は急速に変わりつつあります。営業やマーケティングでも、今回のコロナ禍で、インサイドセールスなど対面以外の新しい営業手法に取り組んでみたら意外と効率が良かった、という印象を多くの企業が持ちはじめています。ようやく我々も、本来の価値を評価してもらえるときが来たと感じています。

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