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「グローバル・ストラテジー・アクセラレーター」
――企業の戦略実行を加速させる、人材・組織開発のプロフェッショナル

サイコム・ブレインズ株式会社 代表取締役 

西田 忠康さん

西田 忠康さん(サイコム・ブレインズ株式会社 代表取締役)

経済のグローバル化が進むなか、日本企業も海外拠点を拡大するなど、さまざまな施策を展開しています。ただ、すべての企業が本社の掲げるビジョンや戦略が世界レベルで円滑に共有できているかというと、疑問が残ります。現状では、温度差を感じる場面が多いと言わざるを得ません。グローバルリーダーや現地拠点の幹部およびコア人材をどう育成するか、という課題もあります。こうしたなか、「グローバル・ストラテジー・アクセラレーター」というコンセプトのもと、豊富なリソースとノウハウを生かしてグローバル企業の戦略を加速させる支援を行っているのが、サイコム・ブレインズ株式会社です。同社の西田社長に、起業に至った経緯や経営者としてのバックボーン、事業の概要、注力しているテーマ、日本の人材サービス・教育研修業界に対する提言などを語っていただきました。

Profile

西田 忠康(にしだ・ただやす)/早稲田大学政治経済学部卒業、マサチューセッツ工科大学(MIT) スローン経営大学院経営学修士。1985年、NTTに民営化1期生として入社。資金調達、IR、海外事業投資に携わる。1996年、自らのMBA留学での実体験を基に、膨大な費用と時間を費やさずに社会人がMBAのエッセンスを学んでグローバルに活躍するための仕組みを作りたいという思いからサイコム・インターナショナル(現サイコム・ブレインズ)を設立。ハーバードのケースを英語で議論するスクールの開校を皮切りに、2003年にはMITスローン経営大学院と共同で技術系経営リーダー育成のためのMOTプログラムを創設。その後、企業のアジアでの人材育成を支援するための拠点整備及び指導者のネットワーク作りに努力し、タイとインドネシアでは有力ビジネススクールとも提携。起業して20年を経過し、従来のグローバルな事業軸に加えて、ICTや教育ビッグデータの活用による企業教育の変革や、ダイバシティ・マネジメント支援等、人と組織に新たな成長空間を創るべく事業を展開。日本MIT会副会長。訳書にデボラ・アンコナ教授他著『分散型リーダーシップの実践 Xチーム』(ファーストプレス)。地理への興味に由来する旅行好きで仕事とプライベートを合わせれば40カ国以上を訪問。

世界と触れ合い、20代で自らビジネスを創り出す喜びを知る

どのような学生時代を過ごされましたか。

大学に入った時はジャーナリストになりたかったこともあって、雄弁会に入りました。それはそれで面白かったのですが、大学2年からは国際学生協会をメインに活動しました。夏休みにさまざまな国から日本に学生を集め、カンファレンスを開催する団体です。多くの大学の学生により運営されていましたが、私は2年間、委員長として組織運営を担いました。世界規模の大きなイベントをカタチにすることに、やりがいを感じましたね。海外の大学や学生とやりとりしたり、企業から賛助金を集めたりする活動も面白く、没頭していました。

その後、NTTに入社された経緯をお聞かせください。

学生時代の半分くらいは企画に携わっていたので、何か新しい仕組みを作ることが好きになっていたんです。逆に、組織のあり方や仕事のやり方が固まっていて、それらを踏襲するだけの環境には抵抗がありました。自分の仕事を決められてしまうのは嫌だな、と。では、なぜNTTだったのかというと、ちょうど民営化される直前で、「親方日の丸から、競争する企業への変革」といった感じでマスコミで話題になっていたから。「これは面白いかもしれない」と考え、NTT民営化1期生として入社しました。

NTTでは、どんなお仕事をされていたのですか。

通常は、まず地方の電話局で1 年間ほど窓口や料金督促、電柱に登るなどの業務をローテーションするのですが、私は違いました。民営化を受けて、新人のときから専門性を私に身に付けさせようとしたのでしょう。電話局での勤務をわずか3 ヵ月間で終え、その後すぐに財務部に配属されました。

うれしいことに2年目に旧・日本興業銀行のロンドン現地法人にトレーニーとして派遣されました。1年間だけでしたが、多くの刺激を受けることができましたね。当時はブラックマンデーの少し前で、ユーロ債市場は活気があり日本の金融機関が躍進していました。しかも、興銀は職場環境や企業のカルチャーがほかの邦銀とは全く異なっていたんです。そのころの日本企業は日本人ばかりで、現地の優秀な人材はなかなか採用できていませんでした。でも、興銀は英国やヨーロッパ各国の優秀な若手を積極的に迎え入れていたのです。オックスフォードやケンブリッジを卒業してきた新人たちと一緒に仕事したり、パブに行ったり、楽しい経験でした。

1996年にサイコム・インターナショナルを設立されます。そのときの経緯についてお教えください。

民営化されたといっても、NTTには旧来からのゼネラリスト的なキャリアパスがありました。本社勤務の次は地方に転出して、違った仕事を経験してまた本社に戻ってくる、という流れです。私は、そういう仕組みにそれほど魅力を感じませんでした。

一方で、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院に留学した経験から、起業に興味を持つようになりました。帰国してからもずっと、どんなビジネスをやればいいのかを、考えていましたね。自分で事業を立ち上げられる領域は何かを探し、いろいろな人に会うようにしていたんです。最終的に「これならばいけるかもしれない」と考えたのが、教育ビジネスでした。

ただ、NTTでの仕事自体は楽しかったですよ。本社のファイナンス室という部署で外債の発行や格付け機関への対応、それにNTTの最初の本格的な海外事業投資であるタイの通信事業の立ち上げにも関わることができました。結構重要な業務を任せてもらって、エキサイティングでした。まだまだ社内に知見が培われていなかった分野だったので。

サイコム・インターナショナルを設立後は、どのような事業を展開されたのでしょうか。

今とはかなり異なる業態でした。時代背景も全く違いましたからね。1996年当時、日本企業の多くはバブル崩壊から立ち直っていませんでした。半面、外資系企業の存在感が高まっていたので、若者層を中心にグローバル志向が強まり、日本企業ではなく外資に行ってキャリアを高めよう、という風潮がありました。

グローバルなキャリアといっても、そのころはリスクを取って私費で海外にMBA留学するか、そうでなければ国内の英会話スクールに行くしかありませんでした。しかし、英会話スクールでビジネススキルや専門性を身に付けることはできません。そこで、その「中間」を手がければインパクトがあるのではないか、と考えたのです。当時、既に日本語でMBAを学べる学校はありましたが、グローバルとの掛け合わせで学べるMBAはなかった。そこで立ち上げたのが、サイコム・インターナショナルでした。

提供したのは、ハーバードビジネススクールのケースを題材にして、MBAのコンテンツを英語で学んだり、議論したりする、というプログラムです。通ってきてくれたのは、意識の高い社会人たち。その後、出世した人も大勢いましたね。

2008年にサイコム・インターナショナルとブレインズが合併、新会社サイコム・ブレインズが発足します。その経緯を教えていただけますか。

幸いなことに、会社を設立して1、2年ほどすると、評判が広がって企業研修の依頼が舞い込むようになりました。さらには、母校であるMITスローン経営大学院と提携して、エグゼクティブMOTプログラムを展開する取り組みも開始。業容を拡大していくうちに、より広い領域で企業向けの研修サービスを提供したい、と考えるようになりました。

当時、ブレインズは営業研修や新人育成などの領域で、サイコム・インターナショナルと同様、大企業向けにサービスを提供していたので、ブレインズと一緒に事業を展開すればシナジーが大きいと考えました。そこで両社が合併し、現在のサイコム・ブレインズ株式会社ができたのです。サイコム・インターナショナルは、私がMBAを取得して得られたコンテンツやスキルをもとに起業した会社でしたが、サイコム・ブレインズになったことで、提供できるサービスの領域・分野が一気に広がりました。

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