全国64行の地方銀行が連携し、
転居先でも別の地銀で働ける仕組みを構築
「輝く女性の活躍を加速する地銀頭取の会」
の活動とは
千葉銀行 ダイバーシティ推進部 調査役
山本 悠介さん
次のアウトプットは 79人の女性ロールモデルブック。将来的には発展的解消を目指す
「輝く女性の活躍を加速する地銀頭取の会」での最初のアウトプットが地銀人材バンクということでしたが、次のアウトプットは何か予定されているのでしょうか。
今検討を重ねているのは、64行それぞれにいろいろなタイプのロールモデルがいらっしゃるので、それを一つの本にまとめるロールモデルブック作りです。すでに各行で候補者も決定して全部で79人の女性のインタビューが終了したところです。仕事と育児の両立、介護との両立、部長職になっている人、新しい仕事を頑張っている人、今までは男性が主体と思われていた部署で頑張っている人など、さまざまな立場・状況の女性を紹介できる予定です。
また、64行共通で使えるようなキャリアデザインブックを作って、節目節目の女性のキャリアをどうデザインしていくかという研修のツールとして使えるようなものも検討しています。
この会の最終的な目標は、具体的に何か設けられているのでしょうか。
最終的には、発展的に解消できれば一番いいと思っています。ある程度底上げが図られ、各行が自走できれば、それが一番です。そういう意味では、「もういいでしょう」と言われるのを待っている。メドは特に定めていませんが、政府の「2020年30%」がありますので、そこが一つの区切りでしょうか。できればその前に終われれば理想の形かと思います。
企業が女性活躍推進を加速するために、一番大事なことは何だと思われますか。
いかにトップに本気になってもらうかが、一番重要だと思っています。その次が、中間管理職や女性自身の意識を変えていくというステップになるのではないでしょうか。人事担当者の一人として、トップからの働きかけが一番有効かつ速いのではないかと思います。弊行でいうと、頭取の佐久間の奥様が教師で共働きでして。実際に食事を作ったり、子どもが病気になった時は病院に交替で付き添ったり、授業参観に一人で出たり。そういう経験から、女性が活躍するには男性の育児参加が重要だと、自分自身が理解していて、女性活躍推進を自らが旗振り役として行ってきました。下にいる人間としては、非常にやりやすい環境です。
そういう意味で、今回の「輝く女性の活躍を加速する地銀頭取の会」は、ただの人事の会ではなく、トップがかかわる会ということが、非常に大きなポイントだったと思います。トップ自らが各地域で、ネットワークを広げていることにもつながっているようですね。弊行が事務局を務めている千葉県経済同友会で、同会のメンバーの社長の皆様方に対して女性活躍やダイバーシティに関する講演を開催したり。七十七銀行も、宮城県の労働局と組んで、シンポジウムを行うなどしています。この頭取の会がきっかけになって、そういう動きが各地で広がっていく。まさに、ネットワークづくりに貢献できるようになってきたのではないでしょうか。
(取材は2015年12月25日、千葉市の千葉銀行本店にて)