現場管理職アンケートから見た これからの管理職育成
上司から受けた指導と、部下育成のため実践している指導
仕事上の能力を伸ばす時期に、直接の指導役であり、ロールモデルである上司はどのように成長に関与している のでしょうか。ここでは、仕事を身に付ける上で役に立った上司から受けた指導・育成を挙げてもらう一方で、自らは職場上司として部下の育成のためにどのよ うなことを実践しているかを明らかにしました。
仕事を身に付ける上で役に立った上司からの指導・育成
これまでのキャリアを振り返って、仕事を身に付ける上で役立った上司からの指導・育成を挙げてもらったとこ ろ【図表2】(複数回答)、いずれの役職においても「(5)リーダーシップをとる機会を与えられた」が最多となりました(部長クラス41.7%、課長クラ ス40.8%、係長クラス35.0%)。
以下、部長クラスは、「(4)多様な経験の積める仕事を与えられた」(40.8%)、「(11)なるべく自分で考えるような指導をしてくれた」(34.0%)――と続いています。
一方、課長クラスについては「(4)多様な経験の積める仕事を与えられた」(35.9%)、「(1)仕事に 対する姿勢を指導された」(27.2%)、「(11)なるべく自分で考えるような指導をしてくれた」(21.4%)の順で、特に「(2)仕事を達成する喜 びを教えてもらった」(19.4%)は、他の役職に比べて高い割合を示しています。
また、係長クラスでは、「(4)多様な経験の積める仕事を与えられた」「(11)なるべく自分で考えるよう な指導をしてくれた」がともに25.2%でした。また、「(7)叱るときは感情をぶつけるのではなく、こちらの腑に落ちるような説明をしてくれた」 (16.5%)、「(6)仕事上の成長を細かくほめてくれた」(12.6%)――が、他の役職に比べ割合が高くなっています。
なお、「(20)特に該当するものはない」という回答割合は、係長クラス(13.6%)が最も多い結果でした。
部下を育成する上で実践していること
一方、部下を育成する上で回答者自身が実践していることを聞いたところ【図表3】(複数回答)、部長クラス では「(12)なるべく自分で考えるような指導をする」が最も多く、43.7%に上りました。以下、「(3)能力の伸長に応じて次のレベルの仕事を順次与 える」(37.9%)、「(15)職場でのコミュニケーション機会を多く作る」(36.9%)――と続いています。
課長クラスは、部長クラスの上位回答二つが同様に高いポイントとなっているものの、最も多い回答割合となっ たのは「(1)仕事に対する姿勢を指導する」(39.8%)でした。その他、「(10)自分の仕事上での経験を語ってアドバイスする」(30.1%)、 「(7)仕事上の成長を小まめにほめる」(28.2%)――などが上位に挙がっており、部長クラスと比べて、部下との密接な交流、コミュニケーションを通 じた育成を心掛けている様子がうかがえます。
一方、係長クラスで最も多く挙げられた回答は、部長クラスと同じく「(12)なるべく自分で考えるような指 導をする」で35.9%に上りました。以下、「(3)能力の伸長に応じて次のレベルの仕事を順次与える」「(10)自分の仕事上での経験を語ってアドバイ スする」「(2)仕事を達成する喜びを教える」(いずれも25.2%)――となっています。また、「(22)そもそも部下育成を役割としていない」という 回答も約1割(10.7%)見られました。
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