職場のメンタルヘルス最前線 増加する“新型うつ病社員”への対処法
オフィスプリズム/臨床心理士・社会保険労務士
涌井美和子
1.「新型うつ」とは?
「新型うつ」とは、巷で話題になっている、今までのうつ病のイメージには当てはまらないタイプのうつ病のことです。明確な定義や学術上の根拠があるわけではありませんが、「うつ病で休職中であるにもかかわらず、海外旅行に出かけたり、自分の趣味の活動には積極的な人」や「うつ病なのに自責感に乏しく、他罰的で、何かと会社とトラブルを起こす社員」など、いわゆるこれまでの「うつ病」のイメージとは、若干印象が異なるタイプのうつ病のことです。
「うつ病」のイメージといえば、「抑うつ症状」「自責感・罪悪感が強くなる」「何に対しても気力がわかない」「興味や関心が低下する」などのような症状が見られ、そのようなイメージで理解されるのが一般的だと思います。ところが最近は、「仕事の時だけうつになる」「休職中なのに趣味の活動は活発」「休職中も同僚や上司に迷惑をかけているという認識に乏しく、権利ばかり主張する」「他罰的で、すぐ会社や上司のせいにする」「自分はうつ病だと公言することに抵抗を感じない」などのケースが人事労務管理の現場で増えてきているようなのです。
そこで、一般的なうつ病のイメージに当てはまらないケースを総称して、便宜上「新型うつ」と呼ぶ場合が増えてきたと思われます。このような「新型うつ」社員の中には、対応が一筋縄ではいかずに苦慮するタイプも少なくありません。
人事の専門メディアやシンクタンクが発表した調査・研究の中から、いま人事として知っておきたい情報をピックアップしました。