平成29年度最低賃金、今年も大幅な引上げ~改定の影響は?
パート・アルバイトの募集時賃金が上昇を続けています。
当社の求人広告(しごと情報アイデム、ジョブアイデム)に掲載された賃金の統計(専門職・管理職を除く)をみると関東で平成24年12月以降53ヵ月連続の上昇、関西でも21ヵ月連続(平成27年7月を除けば50ヵ月以上連続)で上昇が続いています。また、その上昇幅も年々大きくなってきています。
賃金の上昇には、景気の動向、採用の困難度、仕事の内容など様々な要因があります。
その中で昨今、賃金の上昇に大きな影響を及ぼし始めている大きな要因の一つが「地域別最低賃金」です。
7月25日に最低賃金引き上げの目安が公表されました。平成29年度の地域別最低賃金は全国平均で25円の引き上げ、東京などの地域では26円の引き上げ目安が示されています。目安通りに改定されれば昨年に引き続き大幅な引き上げとなります。
今年の影響はどの程度になるでしょうか。今までの引き上げ状況と、賃金額の上昇について、当社の賃金統計をもとに推移を見てみましょう。
最低賃金の影響が小さい職種
平成21年1月~平成29年4月までのパート・アルバイトの募集時時給の推移を平均値の他、最頻値(最も多く出現した値)、25%ile(最も低い数値から並べて25%目にあたる数値)50%ile(50%目にあたる数値)75%ile(75%目にあたる数値)を集計してグラフ化しました。
平成21年1月の埼玉県の地域別最低賃金は722円。年々上昇を続け、平成29年4月現在で845円。123円(約17%)の上昇となっています。それでは埼玉県の看護師、准看護師の募集時時給はどのような推移を示しているでしょうか。
■図2 募集時賃金額の推移(平成21年1月~平成29年4月)
平成21年1月の平均値は1,463円、平成29年1月の平均値は1,491円で28円(約2%)の上昇となっていました。最低賃金の上昇率よりも大幅に小さく、8年間での賃金の上昇としては、ほぼ横ばいといって良いレベルとなっています。
最も多い賃金額も、データの分布の中央を示す50%ileも8年間1,500円付近に留まり変化がありません。最低賃金と50%ile値との賃金額の差は大きく、最低賃金の上昇は無関係と言えそうです。
このように、元々賃金額が高い職種(業界)は今のところ最低賃金改定の影響は受けていないと言えます。
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