人事制度の実施・改定状況調査
48.3%の企業で過去5年以内に人事・等級制度の改定を実施(労務行政研究所)
厳しい経営環境が続く中で、持続的に成長していくために、人事制度の見直しを進める企業が増えている。見直しの対象となるのは、人事・等級制度や賃金・賞与制度といった社員の処遇を決定する根幹となる制度だけでなく、退職金・年金制度、人事評価制度、労働時間・休暇制度、さらには人材育成・能力開発や健康管理に関する取り組みなど多岐にわたる。
本調査では、各社がどのように制度の整備を進めているのか、各社の現状と今後に向けた方向性を明らかにすることを目的として人事関連制度の実施ならびに改定状況を聞いた。
ポイント
(1)人事・等級制度の改定:48.3%の企業が過去5年以内に改定を実施。職能資格制度・役割等級制度の見直しのほか、複線型人事制度の導入や職掌・職群設計の見直し、等級設計の見直しなど改定内容は多岐にわたる[図表2、事例2]
(2)基本給を形成する賃金項目:一般社員では67.2%の企業が能力給・職能給を適用。管理職には57.8%の企業で役割給を適用[図表3~5]
(3)賃金制度の改定状況:50.4%の企業が過去5年以内に改定を実施。管理職層、一般職層別の制度見直し、賃金項目・諸手当・賃金レンジの見直しなど改定内容は多岐にわたる[図表6、事例3]
(4)賞与制度:75.0%の企業で業績連動型賞与を運用。一方、ストックオプションの導入企業は0.9%にとどまる[図表7、事例4]
(5)退職金・年金制度:42.2%の企業が企業型確定拠出年金を運用。規約型確定給付企業年金35.3%、ポイント制退職金制度31.0%と続く[図表8、事例5]
(6)人事評価制度:49.1%の企業が過去5年以内に評価項目・評価基準の見直しを実施。その内容としては、評価体系の改定、制度運用ルールの見直し、評価ウエート、評点分布の見直しなど[図表9、事例6]
(7)労働時間・休暇制度:半日年休制度を運用する企業は81.9%。ノー残業デー61.2%、リフレッシュ休暇51.7%と続く[図表10、事例7]
(8)雇用管理に関する制度:45.7%の企業で契約社員の正社員登用制度を運用。コース別雇用管理(総合職、一般職別)については37.9%、勤務地限定社員制度、早期退職優遇制度についてはともに26.7%の企業が実施[図表11、事例8]
※以下本文では省略
(9)人材育成・能力開発に関する取り組み:83.6%の企業で管理職昇格者・新任管理職の研修を実施。以下、通信教育(eラーニング)受講や勉強会参加への費用補助69.8%、経営幹部候補育成のための選抜型研修41.4%と続く[図表12、事例9]
(10)人材獲得、配置に関する取り組み:59.6%の企業でインターンシップを実施。次いで、自己申告制度が57.9%[図表13、事例10]
(11)管理職・専門職に関する制度:45.3%の企業でマネジメントを行わない専門職コースを設置(複線型人事管理制度を運用)。以下、降格制度35.8%、管理職昇進時の人材アセスメント22.6%と続く[図表14、事例11]
(12)グローバル対応に向けた取り組み:31.9%の企業で外国人採用を実施。次いで、新卒外国人(留学生)の採用が30.1%[図表15、事例12]
(13)健康管理に関する取り組み:87.8%の企業でメンタルヘルス対策を実施。以下、過重労働対策70.4%、健康教育や健康相談の実施51.3%と続く[図表16、事例13]
(14)その他の取り組み:内部告発(社内通報)制度、障害者雇用の取り組みを実施する企業はともに68.1%。ただし、障害者雇用の取り組みに関しては、300人未満の企業では36.0%にとどまる[図表17、事例14]
(15)今後の課題・検討事項:人事・評価制度の運用に各社工夫を凝らし検討する一方、過重労働対策やワーク・ライフ・バランス、「同一労働同一賃金」や「有期契約社員の無期雇用化」など法制度の動きに対応する迅速な取り組みが課題に[事例16]
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