仕事と家庭、どっちが大事?
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次に、仕事がある日における配偶者の家事・育児への協力に満足しているかを聞いた調査をご紹介します(図2)。
結果は、「満足している」(「とても満足している」+「まあ満足している」)が54.5%となっています。これをグループ別に見ると、「正社員/既婚/子供なし」の62.2%が「満足している」となり、他よりも高くなっていました。一方、「パート・アルバイト」は、正社員に比べて、低くなっています。
仕事も家庭も大事
スイス・ジュネーブに本部を置く民間団体、世界経済フォーラム(WEF)は毎年、「ジェンダー・ギャップ指数」を発表しています。「ジェンダー・ギャップ指数」とは、男女平等指数ともいわれます。経済・教育・健康・政治の4分野を対象に、各国内の男女間格差を数値化し、ランク付けしたものです。2016年、日本は調査対象144カ国中111位(前年145カ国中101位)で、過去最低の水準になっています。
「ワーク・ライフ・インテグレーション」という言葉があります。自らの人生観を軸にワーク(仕事)とライフ(生活)を柔軟、かつ高い次元で統合し、双方の充実を求めることによって、生産性や成長拡大を実現するとともに生活の質を高め、充実感と幸福感を得るなどの相乗効果を目指す働き方をいいます。従来の「ワーク・ライフ・バランス」の発想を一歩進めたものとして、考えられています。
仕事と家庭を対立軸で捉え、優先順位をつけるような考え方は、時代に合わなくなってきています。企業には、従業員の生活を尊重しながらも、事業運営に支障をきたさないように仕事をしてもらう、これまでにない新しい働き方の構築が求められています。
冒頭で紹介したドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』は、大学院卒という高学歴ながら就職難で派遣社員になった主人公、森山みくりが派遣切りにあうところからスタートします。求職活動がうまくいかず困っていたところ、みくりは父親が見つけてきた家事代行の仕事にやりがいを見いだします。ところが、両親が定年を機に家を処分して田舎への引っ越しを決めたことで状況は再び悪化。実家暮らしゆえ、ついていかざるを得ないからです。
収入と住むところが欲しいみくりは、家事代行先で独身一人暮らしの津崎平匡に「就職としての結婚」を持ちかけます。家事の担い手が欲しい津崎はみくりの提案を受け入れ、二人はビジネスとして契約結婚することになります。
二人の選択は非現実的です。しかし劇中、津崎がみくりの突飛な提案を「常識にとらわれない斬新な発想には、現実を打ち破る可能性がある」と肯定的に捉えるシーンがあり、考えさせられます。成功哲学でよく語られることですが、思考は現実化するといいます。新しい働き方を考えるには、みくりのような型破りの着想が必要なのかもしれません。
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文/三宅 航太(みやけ・こうた)
アイデム人と仕事研究所 研究員。大学卒業後、出版社の営業・編集、編集プロダクション勤務を経て、2004年に株式会社アイデム入社。同社がWEBで発信するビジネスやマネジメントなどに役立つ情報記事の編集業務に従事する。人事労務関連ニュースなどの記事作成や数多くの企業ならびに働く人を取材。
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