パート賃金10年史
~10年間で87円の上昇。平均1,000円オーバーの時代へ
岸川 宏(きしかわ ひろし)
- 10年間で87円の上昇。平均1,000円オーバーの時代へ
- 勤務シフトは短時間化の傾向
- 正社員との賃金格差は大きな変化は見られない
この10年、パート・アルバイト雇用の需要は、高まりつづけています。総務省の労働力調査によれば、雇用者(役員を除く)に占める非正規労働者の割合は、2006年の33.0%から2015年には37.5%となり、4割に近づいています(表1)。
この10年の間、戦後最長といわれた「いざなぎ景気」(実感なき好景気等とも呼ばれました)、世界同時不況、東日本大震災の影響等、景気にも大きな変化がありました。また、労働市場においても、正規・非正規の格差が指摘され、パート労働法の改正、労働契約法や派遣法の改正、最低賃金の大幅な引き上げ、社会保険の適用拡大など、非正規労働に関し様々な改正、施策が盛り込まれてきました。
そういった環境の変化もあってか、企業の非正規労働者(パート・アルバイト)を雇用する理由にも変化が生じてきています(参考1)。
我々、アイデム人と仕事研究所では、当社で発行している求人媒体「しごと情報アイデム」に掲載されている求人広告から、募集時の賃金など、募集の際に公表されている労働条件についてデータを蓄積し続けています。
今回は、環境の変化を踏まえつつ、上記データから、企業がパートアルバイトを雇い入れるときの、労働条件のうち、賃金や労働時間について10年の変化を見てみました。
※当求人媒体の発行エリアのうち、もっとも求人数が多い東京都についてパート・アルバイトの賃金等について集計を行なっています。
10年間で87円の上昇。平均1,000円オーバーの時代へ
2006年(平成17年)東京都のパート・アルバイトの募集時平均時給は「961.4円」(職種計)。その後年々上昇を続け、2009年には1,000円台に突入しました。そして2015年の年間平均は1,048.9円となり、10年間で87円の上昇、率にして9.1%の上昇となっています(図1)。この10年間、緩やかにですが、賃金上昇は着実に続いています。
非正規労働者の処遇改善を目指し、年3%の引上げ・平均で1,000円を目指すとされる最低賃金。募集時の平均賃金とはどのような関係性となっているでしょうか。
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