採用活動で自社をいかにアピールする?
効果的な「求人票・求人情報」の作成方法
社会保険労務士
岩田 京子
3. 応募者選別の役割も
(1)のB社の求人情報では、B社の経営方針である「ワークライフバランスの推進」に共感する人、つまり、「無駄な残業をせず、効率的に仕事をしたい人」のみが応募してくるという応募者選別の役割も果たしています。
求人情報で自社の方針や将来性をアピールできれば、共感する人材に応募者を絞ることができます。「応募者を絞ったら、そもそも応募がなくなるのではないか」という懸念があるかもしれませんが、自社のカラーに合わない応募者を何人も選考する手間、入社してからのミスマッチによる離職のリスクを考えるのであれば、求人の段階で応募者を絞ったほうが得策です。不特定多数の求職者ではなく、自社の要件に合致し、方針に共感する少数精鋭の求職者に「この会社に興味がある。ぜひ話を聞いてみたい」という思いを抱かせる求人情報が作成できたなら、大成功だと言えるでしょう。
4. 自社サイトの役割
求人票や求人情報には字数制限があり、記載できる情報は限られています。そのため、自社の強みや、経営方針などを短い言葉で的確に表現することが求められます。「なんとなく、この企業に興味がある、他社の求人情報と違って気になる」というアピールができることを目指します。できるだけ求職者の目に留まるフレーズを入れ込むことで、 目に留めてもらい、 URLから自社サイトへ誘導します。現在、スマートフォンで求人情報をチェックする若年求職者が圧倒的に増えています。パソコンを利用して検索する求職者も含め、気になる企業については、当たり前に企業のサイトがチェックされていると考えるべきでしょう。
自社サイトには、採用ページを作り、欲しい人材に言及した社長のメッセージ、経営理念、先輩社員のメッセージ、業務日記などを、求人情報とともに、写真や動画を盛り込みながら発信すると、365日働いてくれる有能な求人広告になります。
5. ハローワークの求人票提出時のテクニック
その1.写真データを添付する
ハローワークの求人票の提出にあたって、写真データを同時に提出することができます。写真はインターネット公開用ではなく、あくまでもハローワーク所内の端末用になりますが、会社の社屋、職場、自社製品などを写真データとして添付することによって、実際の会社の様子が手に取るようにわかり、求職者に視覚的なアピールをすることができます。視覚の効果は非常に高いので、ぜひ活用をお勧めします。ハローワークによって異なりますが、合計8~10枚程度の写真データの提出が可能です。
その2.求人票を月初めに提出する
ハローワークの求人票の公開には3ヵ月間の期限があります。これは、暦の3ヵ月間ではなく、月単位で更新され、月末に提出すると2ヵ月と数日しか公開されなくなります。したがって、求人票の公開は、月初めに提出すると、公開期間が3ヵ月間いっぱいになります。なお、求人票のデータを修正すると、ハローワークインターネットサービスにおける求人情報の検索順位が上がるという噂を耳にしたことがあるかもしれませんが、実際には、修正をしても、公開後に検索順位が上がることは一切ありません。
その3.助成金を活用する
ハローワークの求人票と併せて、助成金を活用する方法があります。雇用・定着に関する助成金として、トライアル雇用奨励金、特定求職者雇用開発助成金、3年以内既卒者等採用定着奨励金等があります。ハローワーク経由で採用した雇用保険被保険者に関する助成金の受給にあたっては、あらかじめ求人票の備考欄にその旨を記載する必要がありますので、注意が必要です。
またキャリアアップ助成金、キャリア形成促進助成金等により、採用後の教育訓練費用や賃金の助成を受けることができます。詳細な要件は割愛しますが、スキルアップや業務関連の研修など、あらかじめ教育訓練の計画を立てておけば、求人票に教育訓練の具体的な内容を記載することもできます。昨今では、自分の成長のために、入社後の教育訓練の有無を意識する求職者も多数存在します。また人材定着のために、教育訓練に力を入れる企業も急激に増えています。教育訓練費用や賃金を助成してくれる助成金の活用は、そういった意識の高い求職者に対するアピールにもなり、助成金の受給にもつながるという2重のメリットがあります。
その他
在職中に次の仕事を探す求職者は非常に多く、採用面接の時間を就業時間後や土日も可能とすることにより、こういった求職者の応募を促進する効果があります。
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