企業におけるキャリア開発支援の実態
階層別キャリア研修の実施率は45.6%で、実施対象は「新任管理職」が78.3%でトップ(労務行政研究所編集部)
1.キャリア開発支援に関する諸制度・施策
導入割合は階層別キャリア研修45.6%、女性活躍に向けたキャリア研修20.4%。
専門部署・専門人材によるキャリア面談・相談11.5%
[1]キャリア研修の導入状況[図表1]
(1)階層別キャリア研修
「現在導入している」が45.6%と最も高い。次いで「今後5年以内に導入する予定」「現在導入しておらず、当面、導入する予定もない」がともに27.2%となっている。
(2)節目(年代別)キャリア研修
「現在導入しておらず、当面、導入する予定もない」が40.8%と最も高く、次いで「現在導入している」35.5%、「今後5年以内に導入する予定」23.7%となっている。
(3)女性活躍に向けたキャリア研修
「現在導入しておらず、当面、導入する予定もない」が43.7%と最も高く、次いで「今後5年以内に導入する予定」35.9%となり、「現在導入している」は20.4%にとどまっている。
なお、規模別に見ると、違いがはっきり表れている。「1000人以上」では「現在導入している」が35.2%に上っているのに対して、「300人未満」では10.0%にとどまっている。また、「今後5年以内に導入する予定」について、「1000人以上」では48.1%に上るのに対して、他の規模では20〜30%台にとどまっている。「300人未満」では「現在導入しておらず、当面、導入する予定もない」が63.3%にも上り、規模による女性活躍の現状や課題認識の違いが浮き彫りになっている。
[2]「異動・配置」関連制度の導入状況[図表2]
(1)社内公募制度
「現在導入しておらず、当面、導入する予定もない」が60.4%と最も高く、「現在導入している」は28.4%にとどまっている。制度の性質上、当然ながら、事業展開が幅広く、部署が多い大手ほど導入率は高く、「300人未満」では「現在導入しておらず、当面、導入する予定もない」が75.0%に達している。
(2)社内FA制度
この制度も大手中心に導入されている制度だが、全体では「現在導入しておらず、当面、導入する予定もない」が85.8%と最も高い。「現在導入している」割合を規模別に見ると、「1000人以上」は12.7%なのに対し、それ以外の規模では3%台となっている。
(3)自己申告制度
「現在導入している」が62.7%と最も高い。「現在導入している」割合を規模別に見ると、「1000人以上」は83.6%なのに対して、「300人未満」では45.0%にとどまっている。
(4)キャリア形成を意識した計画的なジョブローテーション
全体では「現在導入している」が34.7%と最も高いものの、「今後5年以内に導入する予定」「現在導入しておらず、当面、導入する予定もない」も30%台に達している。また、大手ほど導入率は高い傾向にある。
[3]「能力開発・成長促進」関連制度の導入状況[図表3]
(1)キャリアパスや育成体系の提示
「今後5年以内に導入する予定」が38.7%と最も高いものの、「現在導入している」も36.9%と比較的高い。「1000人以上」では「現在導入している」が49.1%に上るなど、規模が大きくなるに従って導入割合は高くなっている。
(2)仕事やポストに求められる期待役割等の明確化
「現在導入している」が55.4%と最も高い。「今後5年以内に導入する予定」は29.2%である。規模により多少の違いはあるものの、総じて導入割合が高く、今後5年以内の導入を検討している企業も多いことが分かる。
(3)社員一人ひとりのキャリアプランの作成
「現在導入しておらず、当面、導入する予定もない」が51.8%と過半数を占める。規模別に見ても「1000人以上」の大手でも導入率は27.3%と30%に届いていない。しかしながら、「今後5年以内に導入する予定」は各規模とも30%前後に達しており、今後徐々に導入が進んでいくことが考えられる。
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