働き時代における企業の人事施策アンケート
女性の就労継続に向けて「長時間労働の是正」を課題とする企業は70.7%。家庭事情を理由に退職した社員の再雇用制度の導入率は24.4%
出産・育児等に伴うキャリアロスへの対処
[図表20] 「職場復帰前後の面談等」は35.8%、「休業期間中のコミュニケーション施策」は22.0%で実施しており、検討企業を含めると半数を超える
出産・育児に伴い、一時的に職場を離れることで生じるキャリアロス(スキルの停滞や相対的な昇格遅れ、それによるモチベーション低下など)が、しばしば問題となる。こうした問題に対処するための取り組み状況を聞いたところ、実施率が最も高かったのが、「職場復帰前または復帰後に担当する職務や個人として取り組む目標・将来のキャリア等について確認する面談等」で35.8%。「今後の実施を検討している」(29.3%)を合わせると、65.0%と6割台になる[図表20]。次に多いのが、「休業期間中も職場や業務の情報を継続的に把握できるようなコミュニケーション施策」22.0%で、「今後の実施を検討している」(31.7%)を合わせると、53.7%と半数を超える。
逆に「実施も検討もしていない」の割合が最も高かったのが、「休業期間を短く抑えた場合に育児のための費用補助等をより手厚くするなど早期復帰を促すインセンティブ策」で82.1%である。しかし、前掲[図表9]で見たとおり、社員の子どもを保育園に入れるための支援をしている企業がほとんどない以上、職場への復帰時期は自治体等の保育園の状況によることとなり、仮に社員本人が “休業期間を短く抑えたい” と思っても、現実的には調整は難しいと考えられる。
女性活躍推進に向けた取り組みの実施状況
[図表21] 「将来のキャリア希望を当人の育成に反映させる仕組み」43.9%。 「管理職に対しての働き掛けや意識づけ」35.0%
女性活躍推進法の施行を受け、以前より広い職域や組織マネジメントで女性社員の能力発揮を促す取り組みが広がりつつある。当然、女性だけではなく男女の隔てなく人材活用を進めていく必要性がある。
「現在実施している」施策として多いのは、「自己申告等を通じて将来のキャリア希望を吸い上げ、当人の育成に反映させる仕組み」で43.9%。以下、「男女の隔てなく人材の活用・育成を推進するための、管理職に対しての働き掛けや意識づけ」35.0%、「自律的なキャリア形成のための選択型研修等の拡充」30.9%と続く[図表21]。
逆に「実施も検討もしていない」施策として多いのは、「女性社員に対象を限定した、リーダー候補育成のための研修等」60.2%、「特定職務の担当が男性に偏らないための、業務見直しや残業削減の取り組み」52.0%となっている。
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