学生は企業を社員で判断する
三宅 航太(みやけ こうた)
パートタイマー白書や学生を対象にした就職活動に関する意識調査など、当研究所が独自で行っている調査から見えてくることを考察します。
今回は、就職活動中の学生を対象にしたアンケート調査を取り上げたいと思います。
企業の採用活動において、若手社員が出身校の学生にアプローチし、選考会へのエントリーなどを働きかけることがあります。水面下で学生に接触できることから、有効的な採用手法として、活用している企業もあります。
民間企業への就職を希望している大学4年生・大学院2年生の男女(有効回答数605人/2015年4月1日状況)に志望業界・企業のOB・OGや、人事担当者以外の若手社員から「アプローチを受けた経験があるか」を聞いたところ、「ある」23.1%、「ない」76.9%でした(図25.1)。
アプローチを受けた経験が「ある」と回答した学生の割合を文理別に見ると、文系19.7%、理系32.5%となり、10ポイント以上の差がありました。理系の学生のほうが、アプローチを受けやすい傾向が見えます(図25.3)。
理系学生の採用に積極的な企業は、学校訪問に力を入れているところが少なくありません。理系学生は文系学生に比べてゼミの教授との結びつきが強いことから、学校訪問は企業にとって有効な採用活動の一つと言えます。調査結果には、そうした傾向が表れているのかもしれません。学生は、学校や先生の推薦という形で選抜されるので内定辞退がなく、優秀な学生を安定的に確保できるなどのメリットもあります。
人事の専門メディアやシンクタンクが発表した調査・研究の中から、いま人事として知っておきたい情報をピックアップしました。