ASTD2012 International Conference & Expo
2012年5月6日~9日に、米国コロラド州デンバーにて、「ASTD2012 International Conference & Expo」が開催されました。ASTD International Conference & Expo(ASTD国際会議)とは、ASTD(American Society for Training & Development)が年に一度開催している、人材開発や組織開発に関する世界最大級のイベント。毎回、米国だけでなく、世界各国の研究者や経営者、 実務家、コンサルタントの方々が多数参加されます。今回は、『日本の人事部』スタッフもイベントに参加。世界レベルで展開される、組織・人材開発に関する セッションを“体感”してきました。本レポートでは、イベントの模様をダイジェストでお伝えいたします。
- ASTD概要
- 世界各国から人材開発に関わる人たちが、集い、学び、情報を共有する
- 人材開発に関する“世界最先端”の情報に触れる
- ASTD2012に参加された皆さんの声
- モバイルラーニングの活用を検討したい小林陽一さん(商社の人材開発部所属)
- 日本企業の経営者にもぜひ参加して欲しい池田哲平さん(グローバルリーダー育成コンサルタント)
- 誰に、どのタイミングで、どんな手段で、何を提供するかが重要下村新さん(南カリフォルニア大学 公共政策大学院修士2年 ※企業派遣にて留学中)
- 育成において「強みに焦点を当てる」ことは大きなキーワード長 直子さん(商社の人材開発部門所属)
- 時代はまさに「Learnig3.0」に向かっていることを実感田村寿浩さん(株式会社博報堂 人材開発戦略室キャリア開発部マネジメントプランニングディレクター)
- 謙虚な努力や着実な積み重ねも必要だと、改めて認識服部結花さん(株式会社リクルート IMCカンパニー 人事部 マネジャー)
ASTD概要
ASTDとは
ASTDは、American Society for Training & Developmentの略称で、企業や政府などの人材開発・組織開発の支援をミッションとし、米国ヴァージニア州アレクサンドリアに本部を置く会員制組織です。設立は1944年で68年もの歴史があり、世界約100カ国以上の国々に約40,000人の会員を持つ、人材開発&トレーニングに関する世界最大級の組織です。
ASTD International Conference & Expo(ASTD国際会議)とは
ASTD International Conference & Expo(ASTD国際会議)は、ASTDが年に1回開催している人材開発や組織開発に関する世界最大級のイベント。先駆的企業の組織・人材開発に関する実践事例や、これからの組織・人材開発のあり方など、最新の情報に触れることができます。 2012年は、コロラド州デンバーにて開催。4日間で340ものセッションが開催され、米国だけではなく欧州、アジア、中東など世界76ヵ国から9,000人以上の方々が参加しました。
ASTD2012 International Conference & Expo 開催概要
テーマ |
Learn Something New, Perform Something Extraordinary (新しいことを学び、大きく飛躍する) |
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日程 | 2012年5月6日(日)~9日(水) |
場所 | 米国コロラド州デンバー コロラド・コンベンション・センター |
セッション数 | 340件(述べ361件)
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基調講演 |
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コンテント・トラック (8カテゴリー) |
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インダストリー・トラック (3カテゴリー) |
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ASTD2012 International Conference & Expo開催実績
- 参加人数:9,000名以上
- 海外からの参加:2,100名
- 参加国数:76ヵ国
- 参加者の多い国の状況:韓国…384名、カナダ…188名、中国…175名、日本…146名、ブラジル…110名
※参考 過去の実績
2011年 | 8,500名 |
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2010年 | 8,000~9,000名 |
2009年 | 8,000名 |
2008年 | 10,000名 |
2007年 | 9,300名 |
2006年 | 8,000名 |
韓国 | 451名 |
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カナダ | 214名 |
ブラジル | 146名 |
中国 | 128名 |
日本 | 119名 |
※参加国数70~80カ国
2011年 | 2010年 | 2009年 | |
韓国 | 451名 | 390名 | 151名 |
カナダ | 214名 | 202名 | 124名 |
日本 | 119名 | 103名 | 99名 |
世界各国から人材開発に関わる人たちが、集い、学び、情報を共有する
カンファレンス初日の5月6日は、気温28℃の快晴。会場は、米国コロラド州デンバーにある、コロラド・コンベンション・センターでした。建物の中をのぞき込む大きな青いクマのオブジェがシンボルで、とても開放的で大規模なイベント施設です。
初日のセッションが始まるのは12時ですが、8時過ぎには早くも、エントランスに入場用のパスを受け取るための行列ができていました。ここでは、パスのほかに、ASTDのロゴ入りの黒いバッグも受け取ります。バッグの中には同時通訳のイヤホンと、カンファレンスのセッションガイド、エキスポのガイドが入っています。セッションはトータル360以上もあるので、ガイドブックは約1センチの厚みがあります。このセッションガイドを参考にして、参加するセッションを選びます。
9時からは、海外から参加されている方、初めて参加する方のためのニューカマー・オリエンテーションが開催されました。ここでは、カンファレンスの趣旨やセッションの選び方、他の参加者とのネットワークのつくり方などの説明や、施設の案内などが行われました。
会場には飲食店やお土産店のほか、ブックストア、グローバルビレッジという交流の場がありました。ブックストアでは、セッションに登壇する著名人のサイン入りの限定版が手に入るため、連日大変なにぎわいでした。
グローバルビレッジは、海外からの参加者なら誰でも入場できる場所で、円テーブルとイス、コーヒーなどが用意されていました。高さ2メートル、幅4メートルほどの大きな世界地図が掲出されていて、訪れた参加者たちは、名刺を自分の国の上に貼っていきます。また、写真を撮影したり会話をしたりと、交流のきっかけになっていました。
セッションは、ジェネラル・セッション(基調講演)とエデュケーショナル・セッションとにわかれます。エデュケーショナル・セッションは4日間で323セッションが同時並行で行われます。1日に3セッションを選ぶことができますが、およそ25ものセッションがある中からどれを選ぶのかを悩むのも、カンファレンスの楽しみの一つです。中には、部屋を移動して、いくつかのセッションに参加する人もいました。
セッションのスライドは、ASTDのイベントサイトからダウンロードすることができます。昨年までは各部屋で紙が配られていましたが、環境への配慮により、今年からデータ配布に変更になったそうです。参加者それぞれが、ノートパソコンやタブレットで資料を閲覧していました。
ASTDはセッションに参加してトレンドや他社の事例を学ぶだけでなく、他国からの参加者と交流し、情報交換やディスカッションも行うことができることが魅力でもあります。休憩時間には会場でセッションに関する振り返りの議論が自主的に行われ、登壇者に個別に質問するための列ができていました。グローバルビレッジでも、他国の人事の方と会話することできました。
2日目の11時からは、エキスポ会場がオープンしました。ここでは、多くのトレーニング&人材開発のサービスが展示されていて、自由にブースを回ることができます。どのブースも笑顔にあふれていて、とても活気がありました。
特に今回は、Eラーニング/モバイルラーニングのブースが目立っていました。ASTDのCEOであるトニー・ビンガム氏のオープニングセッションの中でもモバイル機器が学習に及ぼす影響、『Mラーニング』の可能性についての話がありましたが、一つの大きな流れを感じました。