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『ビジネスガイド』提携

計画停電と労基法第26条(休業手当)について
~人事担当者が労務管理上、留意すべき点とは?~ (1/4ページ)

特定社会保険労務士 森 紀男
社会保険労務士 岡安 邦彦

ビジネスガイド photo『ビジネスガイド』は、昭和40年5月創刊の労働・社会保険の官庁手続、人事労務の法律実務を中心とした月刊誌(毎月10日発売)です。企業の総務・人事・労務担当者や社会保険労務士等を読者対象とし、労基法・労災保険・雇用保険・健康保険・公的年金にまつわる手続実務、助成金の改正内容と申請手続、法改正に対応した就業規則の見直し方、労働関係裁判例の実務への影響、人事・賃金制度の構築等について、最新かつ正確な情報をもとに解説しています。ここでは、同誌のご協力により、2011年5月号の記事「計画停電と労基法第26条(休業手当)について」を掲載します。
『ビジネスガイド』の詳細は日本法令ホームページへ。
もり・のりお ● 全日本能率連盟認定マネジメント・コンサルタント。株式会社スタッフコンサルティング代表取締役。特定社会保険労務士法人フルセル社員(特定社会保険労務士)。株式会社日本コンサルタントグループ・パートナーコンサルタント。経営法曹会議賛助会員。個別労使紛争解決支援、労働時間管理および是正勧告対応指導、コンプライアンス・リスクマネジメントの観点からの人事労務管理の相談・指導、経営コンサルティング等を行う。

おかやす・くにひこ ● 社会保険労務士、ポート社会保険労務士法人代表社員、株式会社スタッフコンサルティング取締役。就業規則、労働時間管理を中心として主にIT関連業界、映像制作業界のコンサルティングを行っている。

今回の「東北地方太平洋沖地震」(以下、「東日本大震災」という)に伴い、厚生労働省より『計画停電が実施される場合の労働基準法第26条の取扱いについて』が発出されました。以下、実務上の労務管理において留意すべき点について述べてみます。

1. 計画停電と労基法第26条の取扱いについての通達

昭和26年にも、電力不足からの休電による休業の取扱いについて通達が発出されていましたが、今回の通達は、大地震発生という非常時にあって、電力会社による計画停電実施への対応について、労基法第26条(休業手当)の取扱いを改めて発出したものです。

2. 計画停電の影響による不就労時間の取扱いとは

今回の東日本大震災によって多くの発電施設に問題が発生したため、もちろん早急な復旧が求められるものではありますが、計画停電は今後一定期間、行われる可能性があります。この計画停電は、電力会社の発表によると、全日ではなく1日のうち3時間程度であり、電力不足によって終日操業不能となることは今のところありません。この時間帯の決定は、個人の生活への影響を最小限にとどめるために、対象となる停電範囲を時間的に分散させるための措置であると推測します。

しかしながら、事業者にとっては、輪番制度および3時間という短時間を毎日繰り返すというのは、事業の見通しが立てづらい状況となっています。

日本経団連は17日、東京電力に対し、電気を止める地域や時間帯が日によって異なる計画停電の「輪番制」の手法を見直すよう要請した。
いつ停電になるか見通しづらく、点検作業に時間がかかる製造業の工場では1日3時間というような短時間の停電に対応できず、「細切れな停電を繰り返されては、半導体メーカーなどは生産できなくなる」(米倉弘昌会長)からだ。3時間だけ工場が休業する際の労務管理も難しくなるとしている。
経団連は16日の会長・副会長会議で、停電対象を大きく産業用や家庭用、病院用などに分け、それぞれの事情に応じた停電手法に改めるよう東電に求めることを決めた。産業用は、停電を丸1日実施した後、数日間はとぎれることなく電気を使えるようにするなど、工場の生産体制に合わせたやり方が望ましいとしている。

(3月17日読売新聞報道による)

したがって、今後継続的に計画停電が行われるのであれば、計画停電の実施方法が変わっていくことも考えられます。

そのような中、労務管理を行ううえでの影響を考えると、計画停電による影響によって、操業不能で不就労となる状況についてどのように処理したらよいのかが問題となっています。

この場合の、計画停電の影響について、不就労となる理由や休業の方法によっていくつかのケースに分けることができ、労基法26条に定める休業手当との関係が変わってきますので、ケースごとに考える必要があります。

■ 図表1 東京電力計画停電パターン

■ 図表1 東京電力計画停電パターン

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