9割を超える企業が「人手不足」による影響を懸念
~少子高齢化社会、労働力人口減少時代における「人手不足」の実態を調査~
『日本の人事部』では、全国のビジネスパーソン(経営者、管理職、人事担当者ほか)に対して「人手不足」に関するWEBアンケートを実施し、その結果をまとめました。(調査期間:2014年8月18日~8月24日、回答社数:243社)
総務省が発表した労働力調査(季節調整値)によると、2014年8月の全国の完全失業率は前月比0.3ポイント低下の3.5%で、3ヵ月ぶりに改善。一方、厚生労働省が発表した同月の全国の有効求人倍率(同)は前月比横ばいの1.10倍で、3ヵ月連続で同水準となりました。雇用情勢は持ち直しつつあるとの見方もありますが、業種によっては悪化しているところもあり、引き続き先の見えない状況が続きそうです。少子高齢化などの影響もあって、今後さらに労働力の減少が予想される中、企業は現在の状況をどのようにとらえ、どのような対策を講じているのでしょうか。「人手不足による事業への影響」「人手不足を解消するための施策」「人手不足と感じている職種」について聞きました。
人手不足によって既に「影響が出ている」企業は6割以上だが、 「対応できている」企業は15.4%
人手不足によって事業に「影響が出ている」との回答は63.5%。「将来的に影響が出る可能性もある」という回答も合わせると、94.3%もの企業が人手不足による影響を懸念していることがわかりました。特に近い将来、徐々に影響が出てくることを懸念する声は多く、「人手不足になると人材を育てる余裕がなく、有能な社員は他社に転職していく。そのため、さらに人手不足を感じるようになる」「人材が不足すると一人当たりの業務負担が増え、長時間労働の問題が懸念される」「会社の5年後、10年後の業績に影響がでてくる可能性がある」などの意見がありました。しかし、そのような状況でも「対応できている」と回答した企業は15.4%に過ぎず、全体的に対策の遅れが目立ちます。
既存社員の離職を防ぎ、じっくりと育て上げる体制が重要
人手不足の解消策は、「社内制度を見直し、今いる社員の離職防止」(27.6%)が最も多く、「新卒・中途採用の拡充」(23.0%)、「女性・シニア・障がい者採用の促進」(14.9%)など、新たな人材の採用をおさえる結果となりました。「新たに人材を採用することは理想的だが、非常に難しい。既存社員の離職を防ぎ、長期的に貢献してもらうほうが現実的」などの声は多く、企業にとっては今後、有能な社員をじっくり育てる社内制度や組織風土を作っていくことが重要な課題となりそうです。。
慢性的な人手不足が続く「営業/販売」と「エンジニア」
人手不足だと感じている職種としては、「営業/販売系」(36.9%)、「エンジニア系」(23.1%)の二つが過半数を占める結果となりました。「まったくエンジニア不足が解消されない。危機的状況だ」「販売職はただでさえ人材の確保が困難だが、この1年ほどは本当に厳しい」など、慢性的な人手不足に悩む企業は多いようです。
【調査概要】
調査対象 :全国のビジネスパーソン(経営者、管理職、人事担当者 など)
調査期間 :2014年8月18日~8月24日
調査方法 :WEBアンケートによる回収
有効回答社数:243社