派遣元事業主が講ずべき措置について
いつも参考にさせていただいております。
派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針の中にある「労働者派遣契約の解除に当たって講ずべき措置」についてご質問させていただきます。
上記措置では、派遣契約が期間満了になる前に派遣先事業主によって解除された場合、派遣元事業主は、以下のことを講ずる必要があるかと思います。
①派遣元事業主は派遣労働者の新たな就業機会の確保を図る
②新たな就業機会の確保ができない場合は、まず休業等を行い、雇用 の維持を図るようにするとともに、休業手当の支払等を行う責任が ある。
③やむを得ない事由によりこれができない場合において、労働契約法 の規定を遵守し、解雇予告、解雇予告手当の支払等の責任を果たす こと。
質問は③にある「やむを得ない」というのは、具体的にはどのようなことなのでしょうかということです。
「派遣先事業主が講ずべき措置に関する指針」から考えるに、派遣契約が期間満了になる前に派遣先事業主によって解除され、休業に陥った場合、派遣先が休業手当等の費用を負担しなければいけないと解釈しています。そうであるならば、費用的な負担は派遣元が行うにもかかわらず、さらに解雇をするというのは一体どのような場合なのでしょうか(派遣元が倒産した場合などでしょうか)。
また、もし派遣元事業主が「やむを得ない」事情が特段なく、派遣労働者を解雇した場合には、なにか罰則のようなものはあるのでしょうか。それとも、その際にかかる解雇手当等も派遣先事業主が支払わなければならないのでしょうか。
長くなりましたが、ご指導の程宜しくお願いいたします。
投稿日:2009/11/26 15:28 ID:QA-0018336
- *****さん
- 岐阜県/輸送機器・自動車(企業規模 10001人以上)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、「派遣契約が期間満了になる前に派遣先事業主によって解除され、休業に陥った場合、派遣先が休業手当等の費用を負担しなければいけない」というのはその通りですが、現実問題としましてこれが必ず守られるとは限りません。
そうした場合は派遣元が派遣先に対し損害賠償を請求する事になるわけですが、殆どのケースでは派遣先の経営事情の悪化により契約解除となっているはずですので、請求通りすぐ支払ってもらえるかは分かりませんし、またそうした事態を見越して請求自体を敢えてしないケースも多いものといえるでしょう。
つまり、法令や指針を遵守すべきは本来当然なのですが、現実は相手(=派遣先)のあることですので必ずしもその通りに事態が進むとは限らない為、③のように派遣労働者の解雇に追い込まれる派遣元もあるというのが実情といえます。
こうした事態を完全に防ぐ事は困難ですが、少なくとも損害賠償請求等について明示された内容の派遣契約を結んでおくと共に、対応がいい加減であったり財務状況の芳しくなかったりする派遣先とは当初から契約を結ばない等、普段から契約締結に際し慎重な態度を採られる事が重要です。
また、指針自体に罰則はございませんが、休業手当や解雇予告手当の不支給等、労働基準法違反となる場合には労基法上の罰則が適用されることになります。
投稿日:2009/11/26 23:41 ID:QA-0018341
相談者より
ご回答ありがとうございます。
お答えいただいた内容によりますと、指針自体に罰則はないとのことですので、仮に「派遣契約が期間満了になる前に派遣先事業主によって解除され、休業に陥った場合、派遣先が休業手当等の費用を負担しなければいけない」という文言が契約書に入っていなかった場合、派遣元事業主が休業手当等の費用を負担しなかったとしても、罰則が適用できないという解釈でよろしいのでしょうか。
追記の質問となってしまい申し訳ありませんが、ご教示いただきたく思います。よろしくお願いいたします。
投稿日:2009/11/27 16:25 ID:QA-0037170大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
こちらこそご返事頂き有難うございます。
御質問の件で、休業手当に関する会社間の費用負担問題については罰則はございませんが、(※どちらが費用負担するかは別にしまして)仮に派遣元から派遣労働者に対し休業手当自体が支給されない場合には、賃金未払いで派遣元に対し労働基準法違反で罰則が適用されます。
つまり、賃金支払等の労働条件に関しては、雇用契約を結んでいる派遣元に責任がありますので、派遣先の債務不履行等があっても労基法上の責任を逃れる事はできません。派遣先については、債務不履行に関する民事上の損害賠償責任が発生するのみで、あとは行政判断により改善指導が行われるといったことになるでしょう。また費用負担に関する文言が契約書になくとも負担を求めることは(派遣先が直ちに応じるか否かは別にしまして)指針上からも当然可能といえます。
但し、30万円以下の罰金という労基法上の罰則以上に、会社間や労使間でのトラブル発生による経営への打撃や信用低下の方がより大きなリスクといえるでしょう。
重要な事は、罰則の適用の有無に関わらず、法令や指針に基くコンプライアンス運営を実施する事にあるといえますし、そうした観点からも契約内容の明確化と共に平素から派遣元・先間での信頼関係を構築しておくことが必要というのが私共の見解になります。
投稿日:2009/11/27 20:49 ID:QA-0018353
相談者より
ご回答ありがとうございます。
最後にもう一点確認したいのですが、今回のケースで仮に労働局から改善指導や改善命令をされ、その指導に従わなかった場合は、やはり何かしらの罰則が発生するのでしょうか。
度重なる質問申し訳ありませんが、ご教示いただきたく思います。よろしくお願いいたします。
投稿日:2009/12/01 17:50 ID:QA-0037176大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
再度お答えいたします
こちらこそご返事頂き有難うございます。
指導に従わなかった場合には、労働局も放置するわけには行きませんので、当然ですが何らかの措置が採られることになるものと思われます。
それが労基法違反になる事柄ですと当然罰則の適用になるでしょうし、そうでない場合にも何らかの行政上の措置が採られる可能性がございます。但し、「労働局から改善指導や改善命令をされ、その指導に従わなかった場合」というのはまさに悪質な事例であって企業にとっても社会的信用を失わせる行為ですので、そのようなケースを敢えて想定される必要性は無いでしょう。
いずれにしましても、違反等に関する処分や措置内容につきましてはあくまで行政当局が決める事ですので、私共の方で明確な回答は出来かねます件ご了承下さい。
繰り返しになり大変恐縮ですが、罰則の適否やその可能性等で対応を判断されるのではなく、コンプライアンス運営を徹底されることのみに尽力して頂ければ幸いです。
投稿日:2009/12/01 19:43 ID:QA-0018387
相談者より
投稿日:2009/12/01 19:43 ID:QA-0037193大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
問題が解決していない方はこちら
-
常用型派遣について いつも利用させていただいておりま... [2013/12/26]
-
派遣者正規雇用について 派遣者正規雇用に必要な派遣元と派... [2017/05/17]
-
派遣会社との業務委託 派遣会社が業務委託した人(個人事... [2024/11/13]
-
派遣先の講ずべき措置について 派遣先の講ずべき措置について、万... [2016/06/29]
-
派遣社員の残業・休日出勤について 派遣先が派遣労働者に残業や休日出... [2007/07/31]
-
職場での派遣料公開について スタッフより相談があったのですが... [2017/07/05]
-
特定派遣について 特定派遣について判らない点があり... [2008/06/03]
-
派遣元責任者を派遣出来るでしょうか 初歩的な質問で申し訳ありませんが... [2008/04/10]
-
派遣社員の有休申請について 私の勤めている派遣会社から、派遣... [2023/04/17]
-
派遣会社の変更 こちらは派遣先です。現在20名の... [2021/02/15]
お気軽にご利用ください。
社労士などの専門家がお答えします。
関連する書式・テンプレート
労働者派遣個別契約書
労働者派遣の契約を締結するときに、個別に事項を定めるための契約書です。
解雇予告通知書
解雇の際にはしかるべき手続きを踏む必要があります。解雇をする前によく指導・検討してください。本通知書は解雇理由の例を記載しています。
労働者派遣基本契約書
労働者派遣契約を締結するときに、個別契約とは別に定める基本契約の例です。
家族(扶養)手当申請書
家族手当(扶養手当)は家族のいる従業員に企業が支給する手当です。従業員が提出する家族(扶養)手当申請書のテンプレートを紹介します。