問題社員の降格・降職について
・指導しても従わない、期待通りのパフォーマンスを発揮できない社員を、来年の6月の人事評価で評価したのち、降格・降職させたいと考えています。
・人事評価規程にも、降格・降職について規定かつ社員に周知しています。
・実際の降格・降職の手続きについて、留意すべき点についてご教示ください。
投稿日:2025/12/02 07:20 ID:QA-0161378
- ミカちゃんさん
- 長野県/コンサルタント・シンクタンク(企業規模 1~5人)
本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
回答内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本情報の利用により生じたいかなる損害についても、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
具体的な事案については、必ずご自身の責任で弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
前提として、処分と以下の規定との整合性がとれている必要があります。
|・人事評価規程にも、降格・降職について規定かつ社員に周知しています。
その上で、数値的な評価が示せるものは数値情報を交えて説明すると宜しい
かと存じます。つまり、評価における客観的な材料は事前準備が必要です。
なお、降格・降職は従業員にとってモチベーションが大きく下がる要因と
なり得ます。降格・降職を伝える際は、対面(面談)を通して行い、
今後の改善プランを指し示すとともに、成果が発揮できた際は昇給される
旨等、将来への期待がもてるよう面談を行っていただくのが良いでしょう。
投稿日:2025/12/02 10:10 ID:QA-0161386
相談者より
早速のご回答ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思います。今の状況を反省して、改善すれば、元の状態に戻れるということをきちんと伝えたいと思います。
投稿日:2025/12/02 10:57 ID:QA-0161397大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
評価だけでは一方的なので、必ず問題点の指摘と改善指導が必要です。
その指導をどう生かせたか、生かせなかったか、行かす気が無いかが評価となるでしょう。
これらプロセスすべてが可視化され、記録されていれば、堂々と降格含めた処分も可能となります。上司の指導力と会社の管理体制は重く責任が発生しますので、しっかり対応をして下さい。
投稿日:2025/12/02 10:33 ID:QA-0161391
相談者より
早速のご回答ありがとうございました。あと6か月でどの程度まで改善できるか、見極めた上で、判断をしたいと思います。また、記録も細かくつけていきたいと思います。
投稿日:2025/12/02 11:33 ID:QA-0161403大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
問題社員の降格・降職を行う際の留意点(実務ポイント)
ご相談のケースのように、
「指導しても改善しない」「期待するパフォーマンスを発揮できない」
という理由に基づく降格・降職は、法的には “能力不足に基づく人事裁量” の範囲で判断が可能です。
ただし、降格は 不利益変更 となり後の紛争に発展しやすいため、以下の点に留意する必要があります。
1. 就業規則・人事評価規程の整備と周知
すでに
降格・降職の基準
プロセス
賃金変更ルール
が規程化され、周知済ということは大きなプラス要素です。
裁判例でも、
「降格制度が規程等に明確に定められ、合理的に運用されている場合は有効」
とされています(大和銀行事件・大阪高裁昭56.3.24等)。
2. 指導・改善機会の提供
能力不足に基づく降格は、
「十分な指導・改善機会を与えたにもかかわらず改善しなかった」
という事実が重要視されます。
▼ 実務で行うべき対応の例
面談記録(指導した日時・内容・社員の回答)
業務指示書、改善計画書の提示
「いつまでに、何を」改善すべきかの明確化
それでも改善しなかったという経過の記録
→ 証拠があるかどうかで、後の有効性が大きく変わります。
3. 人事評価を形式的にせず、根拠を明確化
人事評価は、降格の重要な根拠になります。
そのため以下の点にご留意ください。
“期待役割”と実績の差を具体的に示す
主観ではなく「定量データ」「行動事実」を用いる
同職位の他社員と比べてどうかの客観的評価
評価コメントは曖昧にせず改善点を明記
→ 昨今の判例では「評価の透明性」「客観性」が常に問われています。
4. 降格・降職決定のプロセス(手続きの妥当性)
裁判例では、
「決定までの手続きの公正さ」
も重要視されます。
以下の点を押さえてください。
評価会議(複数の管理職で評価)での協議
直属上司だけの判断にしない
降格理由書を作成
本人面談で理由を説明(メモを残す)
→ 手続きの透明性が高いほど、有効性が認められやすくなります。
5. 降格後の処遇変更(減給の場合)
降格に伴い賃金を下げる場合、
減給規制(労基法91条)の範囲内であること
および
就業規則の賃金体系規程に従っていること
が必須です。
※降格=減給は原則可能ですが、「懲戒減給」と混同されないよう注意。
6. 本人への説明のポイント(トラブル防止)
本人説明の際は、感情ではなく 事実ベース で伝えるのが原則です。
降格の根拠となる具体的な行動・成果
何度も改善を求めたが改善されなかった事実
規程に基づき処遇を下げるものであること
今後の期待役割・キャリアの方向性
→ 「あなたのため」という言い方は避け、
“組織としての適正配置” を説明軸にします。
7. 不利益の大きさが合理性判断に影響
降格による不利益が大きいほど、
「本当に必要だったのか」という合理性がより強く求められます。
大幅な減給
職位の剥奪
役職手当の全額カット
などを行う場合は、特に慎重な手続きが必要です。
【結論】
規程の明確化・周知がある点は有利
指導記録と改善機会の提供が必須
客観的な人事評価が重要な証拠となる
降格決定は複数者の協議で行う
本人説明は事実ベースで丁寧に
減給を伴う場合は労基法91条・賃金規程整合性を確認
不利益が大きいほど、合理性が厳しく問われる
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/12/02 10:39 ID:QA-0161394
相談者より
早速のご回答ありがとうございました。詳しく説明いただき、大変参考になりました。「不利益の大きさ」等、検討しなければならない点があると気がつきました。
投稿日:2025/12/02 11:40 ID:QA-0161404大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、評価規程内容に基づく降格・降職であれば特に差し支えございません。
その上で、「指導しても従わない」というのであれば、労働契約上の違反行為にも該当しますので、別途制裁措置を採られる事も可能といえます。制裁規定にて対応されるとよいでしょう。
投稿日:2025/12/02 11:05 ID:QA-0161399
相談者より
早速のご回答ありがとうございました。懲戒処分の可能性も考えてみたいと思います。
投稿日:2025/12/02 11:42 ID:QA-0161405大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
降職は人事権の裁量で可能です。
降格については、合理性が必要ですが、
人事評価規程に明記されているのであれば、合理性があるということになりますので、問題はありません。
投稿日:2025/12/02 14:52 ID:QA-0161432
相談者より
早速のご回答ありがとうございました。大変参考になりました。
投稿日:2025/12/02 16:16 ID:QA-0161447大変参考になった
本Q&Aは法的な助言・診断を行うものではなく、専門家による一般的な情報提供を目的としています。
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