第二定年について
弊社では20代から70代までの幅広く従業員を雇用しており、多くが有期雇用社員となっています。入社年齢の平均は60歳で平均年齢は65歳です。
就業規則で定年を65歳としておりますが、65歳を超えて入社される方も多く、無期雇用制度の観点から就業規則を変更したいと考えております。
(例)
第一定年:65歳
第二定年:75歳
この場合
・65歳未満で無期雇用となった場合は65歳で終了
・65歳を超えて入社して無期雇用となった場合は75歳で終了
という運用にしたいと考えておりますが問題ないでしょうか?
宜しくお願い致します。
投稿日:2025/05/21 09:54 ID:QA-0152614
- jrtaさん
- 東京都/その他業種(企業規模 301~500人)
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご提示の制度案は、適切に運用すれば、法的には問題ないと考えます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.ご質問の要点
現在の定年は65歳
多くが有期雇用社員で、平均入社年齢は60歳、平均年齢は65歳
無期雇用転換に伴う定年年齢の整理をしたい
第二定年(75歳)を設け、「65歳超で入社し無期転換した場合は75歳で退職」としたい
2.法的な観点の確認
(1) 定年制度の設計は基本的に会社の裁量内
労働契約法および高年齢者雇用安定法では、企業が定年を設定することは認められており、その年齢や運用方法も合理性があれば問題ありません。
(2) 無期転換ルールとの整合性
労働契約法第18条により、同一の使用者との間で5年を超えて有期契約が繰り返されると、労働者は「無期転換申込権」を持ち、申し出れば無期雇用に転換されます。
この無期転換後の雇用契約には 定年の制限 を設けることは可能ですが、以下の点に留意が必要です。
・無期転換後に定年がある場合、その年齢制限を就業規則や労働契約書等で明示する必要があります。
・定年後の雇用終了が「年齢による合理的区切り」であると認められることが必要です。
3.ご提案の運用案について
想定制度→入社年齢→無期転換後の定年
~64歳→65歳
65歳~→75歳
この制度は以下の条件を満たせば、実現可能です。
必要な条件・留意点:
(1)就業規則への明記
第一定年:65歳(65歳未満で無期転換した者は65歳で定年退職)
第二定年:75歳(65歳以上で入社し無期転換した者は75歳で定年退職)
それぞれの適用条件(入社年齢や無期転換年齢)を明示的に規定
(2)労使協議・意見聴取の実施
就業規則変更に際して、過半数代表者などから意見を聴取する必要があります。
特に「定年延長・設定の変更」は労働条件の根幹に関わるため、説明と合意形成が重要です。
(3)労働契約書等での明示
無期転換する際、定年の年齢(第一定年・第二定年いずれに該当するか)を本人に書面で明確に示しておくことが望ましいです。
(4)差別的運用の回避
年齢により定年が異なる運用は、年齢差別と誤認されないよう、合理的な理由づけ(たとえば高年齢者の再就職支援・雇用機会創出)を説明可能にしておくと安全です。
4.結論
ご提示の制度案(第一定年65歳・第二定年75歳)は、就業規則に合理的・明確に規定し、労使協議を経た上で運用すれば、法的には問題ないと考えられます。
ただし、無期転換者に対する定年の適用条件を個別に説明・同意しておくことが実務上のリスク回避に有効です。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/05/21 10:23 ID:QA-0152617
相談者より
詳しくご説明頂きありがとうございました。
参考にして対応を検討致します。
投稿日:2025/05/26 09:53 ID:QA-0152896大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、無期雇用に転換された場合でも定年に達しますと雇用契約は終了になります。また、定年を複数設定される事も可能です。
従いまして、就業規則に明示される事で、今後入社される方につきましてはそのような運用も可能といえます。
投稿日:2025/05/21 10:54 ID:QA-0152618
相談者より
参考になりました。ありがとうございました。
投稿日:2025/05/26 09:53 ID:QA-0152897大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
まず、複線型の定年制を制度として設けることは可能です。
特段、法令上、制限されているものではございません。
基本的には、貴社における人生制度設計上の問題になるかと存じます。
定年年齢を分けるということは、会社として合理的な理由があるからであり、
社員より、定年年齢の格差理由を求められた場合は、回答できる状態が必要
です。合理的な理由がない、不合理な待遇格差は問題に発展する場合があります。
トラブル防止の観点からも、就業規則をご変更される際は、条件面が異なる社員
として、それぞれの従業員区分(雇用形態)を定義の上、就業規則へ規定いただ
き、社員が該当する従業員区分は、労働条件通知書等で本人通知いただくことを
お勧めいたします。
投稿日:2025/05/21 11:04 ID:QA-0152620
相談者より
参考になりました。ありがとうございました。
投稿日:2025/05/26 09:53 ID:QA-0152898大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
問題はありません。
ただし、第一定年、第二定年の意味、定義も
文面の内容て規定して下さい。
投稿日:2025/05/21 11:19 ID:QA-0152621
相談者より
参考になりました。ありがとうございました。
投稿日:2025/05/26 09:54 ID:QA-0152900大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご相談内容について回答いたします
「無期雇用となった場合」がどの時点を指すのかを明確にすることで、後々のトラブルを回避することができると考えます。
今回のケースでは、無期転換後の定年年齢を、無期転換後の契約の初日が属する日の年齢に応じて、以下のように定めるとし、
第一定年:65歳未満:65歳
第二定年:65歳以上75歳未満:75歳
と就業規則に記載し運用するのが良いかと考えます。
なお、「無期雇用となった場合」を「無期転換申込権を行使した場合」と解釈された場合、そのときの有期雇用契約の期間が満了した日の翌日から無期雇用契約による就業が始まることになります。
つまり、「無期転換申込権を行使した場合」と解釈された場合には、すぐに無期雇用契約による就業が始まるわけではありませんため、無期雇用契約による就業が始まるのは75歳の誕生月を過ぎてからという事態が起こり得ます。
そういった点に十分ご留意いただき、就業規則の文言を規定いただく必要があります。
投稿日:2025/05/22 23:49 ID:QA-0152783
相談者より
参考になりました。ありがとうございました。
投稿日:2025/05/26 09:54 ID:QA-0152899大変参考になった
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