有期雇用者同士の同一労働同一賃金の考え方
中小企業規模の会社で、同じ業務に従事する有期雇用者を時給制契約社員とパートタイマーという、2つの区分で雇用しています。
業務の内容は全く同じ、評価の方法も同じですが、パートタイマーは本人都合のシフトで働く方、時給制契約社員は会社の都合によりシフトを組ませてもらうため、時給制契約社員の方が賃金が100円高い状態です。
しかし、2021年4月からの同一労働同一賃金の施行を受けて、以下を気にしています。
①パートタイマーと時給制契約社員の時給格差は採用のタイミングに発生していますが、その後昇給などで格差が埋まっている場合もあります。同一労働同一賃金の考えに基づき格差を埋めなくてはならい時給は何を基準に考えればよいでしょうか。
(例)パートタイマーでも時給1100円の人がいるが、時給制契約社員では1050円もいるような場合
②昔はパートタイマーと時給制契約社員という概念がなく採用しており、会社の都合で途中から2つの区分に分けました。この場合、元々区分けの無い時代に入社している人に対しての同一賃金の概念はどうなるのでしょうか。
③パートタイマーと時給制契約社員は現在時給に100円の差がありますが、時給制契約社員の時給を100円下げて時給を合わせ、別途時給制契約社員は時間100円の契約社員手当を付けるという契約内容の変更は可能でしょうか。
ご回答よろしくお願いします。
投稿日:2021/01/27 17:27 ID:QA-0100241
- 労務担当者Yさん
- 東京都/旅行・ホテル(企業規模 301~500人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
日本的同一労働同一賃金制度
▼日本の同一労働同一賃金制度は、欧米のものと違い、歴史ゼロのメイドイン ジャパン製のものです。具体的には、「正社員」と「非正規雇用労働者」間に、説明できない労働条件格差を違法とするという概念です。
▼以下、厚労省のガイドライン類から拾い集めた手当、制度の事例、判例です。因みに、時給制契約社員は「正社員」、パートタイマーは「非正規雇用労働者」と置き換えて下さい。
▼格差の是非
① 基本給(時給)⇒ 仕事内容が同じであれば同一の手当が基本
② 通勤・出張手当⇒ 格差を違法とする判例あり
③ 精皆勤手当 ⇒ 格差を違法とする判例あり
④ 役職手当 ⇒ 仕事内容が同じであれば同一の手当が基本
➄ 特殊作業手当 ⇒ 危険度が同じであれば同一の手当が基本
⑥ 特殊勤務手当 ⇒ 仕事内容が同じであれば同一金額の手当が基本
⑦ 時間外労働手当 ⇒ 正規雇用者と同一割合の手当が基本
⑧ 地域手当 ⇒ 勤務条件などが同じであれば同一金額の手当が基本
➈ 食事手当 ⇒ 仕事内容が同一であれば同一金額の手当が基本
⑩ 単身赴任手当 ⇒ 支給条件を満たしていれば同一金額の手当が基本
⑪ 福利厚生施設の利用 ⇒ 同じ事業所で働いている場合は、利用を認めるのが基本
⑫ 慶弔休暇 ⇒ 勤務日数などが同一であれば、同一条件で付与が基本
⑬ 家族手当 ⇒ 支給条件を満たしていれば同一金額の手当が基本
⑭ 私傷病休職 ⇒ 支給条件を満たしていれば同一金額の手当が基本
⑮ 看護、介護休暇 ⇒ 支給条件を満たしていれば同一金額の手当が基本
⑯ 勤続表彰 ⇒ 支給条件を満たしていれば同一金額の手当が基本
投稿日:2021/01/28 10:04 ID:QA-0100247
プロフェッショナルからの回答
同一労働
ポイントは「業務の内容は全く同じ、評価の方法も同じ」という点で、これを持って判断すれば、給与は職名に関係なく同一とするという法理です。
シフトを自由に決めるという内容を精査し、スケジューリング業務などと切り出しできるなら「同一」ではないことになります。従前の制度が現状にそぐわなくなる時は、随時改善される必要がありますので、「同一業務」かどうかの判断などを進めるか、完全に同一時給にするかでしょう。
投稿日:2021/01/28 10:16 ID:QA-0100249
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
①そもそも同一労働同一賃金とは、正規・非正規労働者間の待遇格差の是正を目的とするものです。
したがいまして、基本的には時給制契約社員とパートタイマーの間(非正規労働者間)で同一労働同一賃金を論じる必要はございません。
②契約内容の変更そのものは可能ですが、時給制契約社員の時給を100円下げるということは基本給の減額に他ならず、手当で埋め合わせをして帳尻を合わせるとしても、これは労働条件の不利益変更の問題になりますので、変更に当っては契約社員個々の同意を得た上で行なう必要があります。
投稿日:2021/01/28 14:27 ID:QA-0100268
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、基本的に非正規雇用社員の間での処遇の相違につきましては、同一労働同一賃金に関わる措置が直ちに義務付けられるものではございません。
従いまして、いずれも早急に対応する法的義務まではございませんが、やはり公平性の観点から同じ業務をこなし同様の責任を果たしている方につきましては同じ賃金額に扱われるのが妥当といえるでしょう。但し、その際低い賃金額の方へ合わせることは労働条件の不利益変更となり認められませんので注意が必要です。
投稿日:2021/01/28 18:16 ID:QA-0100284
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