やるだけでなく、やりきる仕組み
“働き方改革”でIT業界の常識を覆す。
SCSKの「スマートワーク・チャレンジ」
とは(後編)[前編を読む]
SCSK株式会社 執行役員 人事グループ副グループ長
河辺 恵理さん
残業は減り、有休取得は増えた。会社の業績はどうなった!?
働き方を変えることで、個人と組織、そして御社のビジネスそのものに、どのような変化やメリットが現れましたか。
現場の部長や課長が信念に支えられてリーダーシップを発揮するようになったこと。そして上司・部下・メンバー間でのコミュニケーションが活性化されたこと。さらには、業務の効率化や改善を「独りで抱え込む」のではなく、チームや組織で考えて取り組めるようになった、すなわち「組織開発」が図れたことなどが特筆すべき成果だと、私は見ています。いろいろな制度や工夫を重ねてきましたが、組織開発という点では、やはり残業削減と有休取得100%を、セットにして取り組んだことが大きかったように思います。一人ひとりが個人単位で頑張っても、残業時間なら20%ぐらい減らせるかもしれません。でも、有給休暇を20日間、100%取ろうと思ったら、一人でいくら頑張っても取れません。難しい仕事を一人で完成させることよりも、互いが互いをカバーしあい、チームで何かを成し遂げることに、より大きなやりがいを感じるようにならなければ。弊社の現場には、そうした“新しい働き方の概念”が着実に芽生えつつあるように感じます。残業が減り、有休が増える一方で、業績は伸びている。それが何よりの証ではないでしょうか
今後、SCSKの「働き方改革」はどのように進んでいくのでしょう。
「働き方改革」そのものはさらなる浸透・定着に向けて継続していきますが、今後は単体の施策ではなく、健康経営やダイバーシティなどを含めた、より全体的な取り組みにつなげていきたいと考えています。「働きやすさ」には一定の前進が見られる中、さらに「やりがい」を高めるためにも、社員全員のキャリア意識の向上を図っていきます。
ありがとうございました。最後に「働き方改革」に取り組む他社の人事担当の方々に向けて、メッセージをお願いいたします。
やはり改革のカギを握るのは、個々の社員です。社員一人ひとりの心に何を、どう訴えていくのか、どうすればもっと伝わるのか、といった取り組みを、さまざまな施策や現場とのコミュニケーションを通じて模索し、地道に展開していくこと。そして中井戸が私たちに言ったように、「やるだけでなく、やり切ること」が大切だと思います。働き方改革は成果が見えにくく、時間もかかりますが、石の上にも3年、ご一緒に頑張りましょう。
(取材は2015年12月8日、東京・江東区のSCSK豊洲本社にて)