【新入社員意識調査2025(3933人が考える成長に必要なもの編)】
理想の上司像 2年連続1位「間違いを指摘して正してくれる」
累計20,000社420万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞﨑大輔)および「人と組織の未来創り🄬」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所🄬は、3月25日~4月24日の期間で、2025年入社の新入社員 3,933人を対象に「新入社員意識調査」を行いました。本リリースでは、2025年度新入社員が考える自身の成長に関する調査結果を公表いたします。
〈背景〉
新卒採用においては学生優位の売り手市場が続いており、企業の優秀人材の獲得競争は激化しています。このような社会状況の中で今年入社した新入社員ですが、当社が毎年実施している意識調査*1の結果から、仕事を自身の成長の場と捉える割合が減少している傾向が見られました。仕事で成し遂げたいことを質問したところ、「自分を成長させたい」と回答した割合は2017年以降最低に。また、今後取り組みたい仕事についても、「自身の成長につながる仕事」と回答した割合は2020年から減少し、過去最低の割合になりました。
この結果を受け、本レポートでは今年度の新入社員の成長にフォーカスを当て、成長に対する考えや自身の成長に必要なものを明らかにします。
*1 新入社員意識調査2025(3933人の仕事の価値観編)
調査結果の概要
● これからの仕事に対し「やる気度が高い」新人は88.1%、9年間で最高の割合に
● 自分が成長するために必要なもの、6割超が「仕事を通じた成功体験」と回答し過去最高の割合
● スキルアップするために今後取り組んでみたいこと「仕事を通じたスキルアップ」が65.9%で1位
● 社会人1年目で身につけたいスキル「ビジネスマナー」がトップで7割超
● キャリアアップにつながる理想の上司、「間違いを指摘して正してくれる」が半数以上トップ
● 考察「新人の成長を促す、業務依頼の“つまずきワクチン”」
調査結果の詳細
1. これからの仕事に対し「やる気度が高い」新人は88.1%、9年間で最高の割合に
初めに、2025年度新入社員に対し、これからの仕事に対して「やるぞ!」という気持ちはどの程度か、0%~100%で質問をしました。
やる気度が0~30%と回答した層を「やる気度が低い」、40~60%と回答した層を「まあまあやる気度がある」、70~100%と回答した層を「やる気度が高い」と設定しました。結果、「やる気度が高い」割合は88.1%となりました。
この設問に対する回答について、2017年度から9年間の変化を見たところ、「やる気度が高い」新入社員の割合は、昨年度の82.7%から5.4ポイント増加し、過去最高の割合となりました。加えて、「やる気度が低い」の割合は過去最低の1.1%となり、今年度の新入社員はやる気度が例年以上に高い結果が見られました。
2. 自分が成長するために必要なもの、6割超が「仕事を通じた成功体験」と回答し過去最高の割合
次に、自分が成長するために必要なものは何だと思うか質問しました。
結果、「仕事を通じた成功体験」が66.7%で最も高い割合となりました。続いて、「仕事を通じた失敗体験」が59.4%、「上司や先輩からの事後のフィードバック」が55.7%という結果となりました。
この設問に対する回答について、2020年度から6年間の変化を見たところ、「仕事を通じた成功体験」と回答した新入社員の割合は、昨年度の67.4%より0.7ポイント低くなったものの、年々増加傾向にあることがわかりました。一方、「振り返りの習慣」は減少傾向にあり、5年前の49.7%より10ポイント近く割合が低下していることが判明しました。
3. スキルアップするために今後取り組んでみたいこと「仕事を通じたスキルアップ」が65.9%で1位
次に、社会人としてスキルアップするために、今後取り組んでみたいことについて質問しました。
結果、「会社での仕事を通じてスキルアップを図っていきたい」が65.9%と、突出した結果になりました。次いで、「自分の人脈を通じてその人から学びたい」が29.7%、「ビジネス本を読んでみたい」が24.8%という結果になりました。
4. 社会人1年目で身につけたいスキル「ビジネスマナー」がトップで7割超
次に、社会人1年目で身につけたいスキルは何か質問しました。
結果、73.7%が「ビジネスマナー」と回答し、1位となりました。次に、「専門スキル(技術・営業・会計・人事等)」「論理的思考力」が、それぞれ34.0%、29.1%と続きました。
5. キャリアアップにつながる理想の上司、「間違いを指摘して正してくれる」が半数以上でトップ
男性は「間違いを指摘して正してくれる」、女性は「自分のことをよく見てくれ、声をかけてくれる」の回答割合が高め
最後に、自分のキャリアアップにつながる理想の上司はどんな上司か質問しました。
結果、「間違いを指摘して正してくれる」が56.3%で1位となりました。次いで、「具体的に手順を細かく教えてくれる」が43.0%、「仕事やキャリアの悩みを相談できる」が40.5%という結果となりました。
理想の上司を男女で比較すると、どちらも1位は「間違いを指摘して正してくれる」ですが、男性の方が8.7ポイント高いことがわかりました。また、「責任と自由を持たせ、仕事を任せてくれる」と回答した男性の割合は女性より4.8ポイント高い37.1%となりました。
女性の回答傾向を見ると、「自分のことをよく見てくれ、声をかけてくれる」と回答した割合が男性より10.8ポイント高い46.0%、「どんな時でもほめて伸ばしてくれる」が7.9ポイント高い22.8%となりました。
まとめ
本調査では、2025年度の新入社員が考える自身の成長に関する結果をまとめました。今年度の新入社員は、「やる気度が高い」結果となりました。また、自身を成長させるために「成功体験」を求めており、年度によって割合は上下するものの、この傾向は年々増加していることも明らかになりました。自身のスキルアップは「仕事を通じて図っていきたい」が1位となり、1年目で身につけたいスキルは「ビジネスマナー」でした。これにより、仕事の経験を通じ、自身を成長させていきたいという意向が推察できます。
自身のキャリアアップにつながる理想の上司は「間違いを指摘して正してくれる」がトップとなりました。男女の回答割合の違いを見ると、男性は「間違いを指摘して正してくれる」の回答割合が女性より高く、女性は「自分のことをよく見てくれ、声をかけてくれる」の回答割合が男性より高くなり、男女いずれも自分の行動などをしっかりと観察し、声掛けやフィードバックをしてくれる上司を求めていることが読み取れました。
専門家による考察「新人の成長を促す、業務依頼の“つまずきワクチン”」
今年度の新入社員は、例年に比べて「やる気度が高い」割合が高く、「成功体験」を通じて自身を成長させていきたいと考える割合も高い結果となりました。また、自身の成長につながる理想の上司は「間違いを指摘して正してくれる」「具体的に手順を細かく教えてくれる」という2点が高い割合で回答されました。タイパ世代・経験前学習世代*ともいわれるように、正解の近道を知ったうえで、最短距離で業務を成功させたいという考えが強いことが推察できます。
新入社員育成において、配属されて間もないうちは、具体的に手順を教え、小さな成功体験を通じて自信をつけていけるとよいでしょう。基礎的な業務ができるようになってきたら、ときには失敗を伴うような本人にとってやや難しい業務を経験させると成長の幅が広がります。
しかし、上記のような近年の新入社員の傾向を踏まえると、ただ業務の指示をするだけでは「大変な・面倒な業務を任された」とネガティブに捉えてしまう可能性があります。そこで、本人にとってやや難しい業務を依頼する際の伝え方が重要になってきます。業務依頼の際の重要な4ステップでお伝えします。
<新人の成長につながる業務依頼のステップ>
①目的・意義の共有 何のためにその仕事をするのか、組織にとってどのような貢献ができるのかを伝えると、仕事の意義の理解を促進できます。
②概要説明 初めての業務の場合は、業務の進め方を丁寧に説明しましょう。また、困難が予想されるポイントを事前に伝える「つまずきワクチン」を打っておくことで、実際に困難に直面したときにショックを緩和できます。
③目的・意義の再伝達 「つまずきワクチン」を伝えたうえで改めて目的を再度伝達すると、「大変かもしれないが、頑張ってみよう」と捉えてもらいやすくなります。
④自己決定 ここまでの話を踏まえて「やってもらえますか」と聞くなど、本人が意思表示する機会も用意すると、「自分がやると決めたのだから、しっかり取り組もう」との思いが新入社員に生まれてきます。また、不安な点や疑問があればその場で解消しておきましょう。
このような業務依頼のポイントを押さえることで、新入社員の入社時の高いやる気を活かしながら、長期的な成長に導いていくことができるでしょう。
* 経験前学習世代……実際に経験する前に事前に学習することを好む傾向がある20代前半の新人世代を指す
調査概要
調査対象者:当社が提供する新入社員研修に参加した 2025年入社の新入社員
調査時期:2025年3月25日~2025年4月24日
調査方法:Web・マークシート記入式、または自記式でのアンケート調査
サンプル数:3,933人
属性
(1)業種
(1)業種
農業,林業 8人(0.2%)
鉱業,採石業,砂利採取業 4人(0.1%)
建設業 245人(6.2%)
製造業 580人(14.7%)
電気・ガス・熱供給・水道業 59人(1.5%)
情報通信業 828人(21.1%)
運輸業,郵便業 85人(2.2%)
卸売業,小売業 262人(6.7%)
金融業,保険業 259人(6.6%)
不動産業,物品賃貸業 162人(4.1%)
学術研究,専門・技術サービス業 217人(5.5%)
宿泊業,飲食サービス業 34人(0.9%)
生活関連サービス業,娯楽業 95人(2.4%)
教育,学習支援業 38人(1.0%)
医療,福祉 61人(1.6%)
複合サービス事業 138人(3.5%)
サービス業(他に分類されないもの) 350人(8.9%)
公務 3人(0.1%)
その他 401人(10.2%
) 分からない 101人(2.6%
) BLANK 3人(0.1%)
(2)企業規模
50人以下企業 201人(5.1%)
51人~100人企業 567人(14.4%)
101人~300人企業 1389人(35.3%)
301人~1,000人企業 590人(15.0%)
1,001人~5,000人企業 660人(16.8%)
5,001人以上企業 305人(7.8%)
わからない 217人(5.5%)
BLANK 4人(0.1%)
*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「新入社員意識調査2025(3933人が考える成長に必要なもの編)」】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(ALL DIFFERENT株式会社/6月11日発表・同社プレスリリースより転載)
この記事ジャンル
新入社員育成
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