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思い切った事業の構造改革によって生み出された
働き方改革プラットフォーム「TeamSpirit」

株式会社チームスピリット 代表取締役社長

荻島 浩司さん

株式会社チームスピリット 代表取締役社長 荻島 浩司さん

「働き方改革」の必要性が叫ばれ、日本社会では長時間労働の見直しや生産性の向上が重要課題となっています。そんな中、「労働者一人ひとりが仕事の効率を上げることだけが生産性向上ではない」と主張するのが、株式会社チームスピリットを率いる荻島浩司さん。真の生産性向上は「企業の構造改革」そのものだ、と荻島さんは言います。実際、同社は設立から約10年後に、ITシステムの受託開発から自社製品の開発、クラウドによる独自サービスの提供へと大胆な事業形態の転換を行ったことで、以前に比べて数十倍も生産性が高い企業へと変化しました。その成長の原動力となった製品「TeamSpirit」は、それ自体が働き方改革を推進するための強力なツールで、多くの企業から高く評価され、現在も急速に利用企業数を伸ばしています。同社はいかにして、事業改革に成功したのでしょうか。キャリアやバックグラウンド、経営者としての考え方、今後の事業展開、さらには広く日本社会全体の変革も視野に入れた「働き方改革研究所」設立への思いなど、荻島さんにお話をうかがいました。

Profile
荻島浩司さん
株式会社チームスピリット 代表取締役社長

おぎしま・こうじ/1996年、同社設立。株式会社東芝および東芝ソリューション株式会社で金融機関向けパッケージ開発や、オペレーショナル・リスクコンサルティングに従事、2009年よりセールスフォース・ドットコムを利用したクラウド事業に参入、「TeamSpirit」を企画・開発。

IT業界の変遷、発展とともに積み上げてきたキャリア

 まずはこれまでのキャリアについてうかがいます。IT業界に関わるようになったきっかけをお聞かせください。

もともとは広告やマーケティングに興味があり、学生時代はデザインの専門学校で、主にグラフィックデザインを勉強していました。最初の就職先はデザインスタジオ。いわゆる広告の制作会社ですね。ところが実際に仕事を始めてみると、非常に才能を求められる世界だったので、わずか1年ほどで転職しました。80年代はじめごろです。当時はごく初期のコンピューターグラフィックス(CG)が出はじめたころで、面白そうだと思って、CGの仕事ができる会社を探しました。

しかし、まだ業界が立ち上がったばかりだったので、CGをやりたいと言っても採用してくれる会社はまったくありませんでした。そのため、ごく普通のシステム開発を行っている会社に入社したのですが、それがIT業界との出合いですね。ただ、当時はまだ「IT」という言葉がありませんでした。メインフレーム、ホストコンピューターが主役で、記録媒体は紙のテープやカード。現在はクラウドをはじめネットワークが中心の時代ですが、そういうITの黎明期から関われたのは、ある意味でラッキーでしたね。

 転職されたシステム開発の会社では、どのような仕事を経験されたのでしょうか。

最初はプログラマーです。2年くらい携わりましたが、これもあまり向いていなかったので、営業部門に異動になりました。この会社には1996年まで、13年以上勤務しましたが、そのキャリアのほとんどは営業でした。

ただ、営業といっても、ITの場合はルートセールスのようなものではありません。メインフレームからダウンサイジングでPCの時代へ、さらにLANやネットワークの時代になっていく、そういった世の中の変化に対応しながら企画を立て、顧客に提案して受注する、そういう仕事でした。デザインの勉強をしていたので、ビジュアルを生かした企画書や提案書を作るのが得意でしたね。当時は企画書といっても、A4の紙に文字だけが並んでいるようなものが一般的でしたが、私の企画書はネットワークの構成図などをグラフィカルに表現していたので、それが功を奏して仕事を受注できたこともありました。

最終的には、大手取引先のために開発したシステムと連携する、自社の製品を開発して販売することになり、そのための事業部を立ち上げ、取締役事業部長を務めました。常に新しい企画や「顧客にとって本質的な課題は何か」といったことを考えなくてはならないIT営業の経験は、現在の仕事にも直接つながっています。もともとマーケティングに興味がありましたし、私にとって、とてもいいキャリアになったと思います。

 そして1996年に、いよいよ独立・起業されるわけですね。どういった経緯だったのでしょうか。

自分で事業をやってみたいという思いは、20代のころから持っていたんです。30代になってからは、ビジネススクールに通って勉強していました。会社で取締役になっていたし、「いつかは」という気持ちはありました。

直接のきっかけは、1995年にWindows95が発売され、インターネットの民間利用が一気に広がったことです。当時、IT業界に関わっていた人たちは誰もが、新しい時代が来ると思ったはず。私も新しいビジネスにチャレンジしたいと考えて、36歳のときにシステム開発の会社を退職し、ビジネススクールで知り合った仲間と4人で会社を立ち上げました。

ただ、この起業は結果的には失敗でした。インターネットを使ったビジネスを手がけたい、という思いは一致していたのですが、そこから先がまとまらず、わずか1ヵ月ほどで空中分解してしまったのです。4人の出資が均等で、誰がリーダーシップをとるのかが曖昧だったことも原因の一つでした。一から何かを作り上げるときには軸がしっかりしていなければならない、と痛感させられた経験でした。

次に自分で立ち上げた会社「デジタルコースト」は、当分は一人で運営していくことにしました。そのうち、システム開発会社で働いていたときに取引先だった東芝の方に声をかけてもらい、インディペンデント・コントラクター(IC)として東芝の仕事を手伝うようになり、約10年間、東芝でさまざまなシステムの企画開発に携わりました。


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