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『労政時報』調査記事
会社は「社員メール」をどこまで監視している?
「アダルトサイト閲覧」が見つかったら懲罰は?

パソコンなくして仕事ができない時代になりました。電子メールで頼みごとをしたりアポイントをとったり、インターネットで調べものをしたり最新ニュースをチェックしたり。でも、社員はパソコンに向かってさえいれば「仕事をしている」ように見えますから、中には不届き千万な社員がいて、私的な用途にパソコンを利用して、仕事のふりをしているかもしれません。会社は、社員がどのようにパソコンを使っているか、知っているのでしょうか。もし、私的なメールのやり取りをしていることがわかったら、その社員はどういう処分を受けるのか。アダルトサイトを見ていたことがばれたらどうなるのでしょう。メールとインターネットの利用をめぐる職場の事情について、労務行政研究所が行った調査から探ってみます(注参照)。

中小企業の30%は「ネット私的利用」の対策を講じていない

まず、図表(1)をごらんください。これは、社員のインターネットの私的利用を防ぐ対策を講じているかどうかを企業に聞いた結果です。

図(1) インターネットの私的利用を防止する対策を講じているか?

図(1) インターネットの私的利用を防止する対策を講じているか?

企業の規模によって、「対策を講じている」という割合が違っています。300人未満の中小企業では「とくに講じていない」とする割合が30%以上に上っており、300人以上の中堅・大手企業に比べて十分な対策がとられていないことがわかります。

1000人以上の大手企業では、「対策を講じている」が96.4%に上っていますが、具体的にどんな対策があるのか、図表(2)をごらんください。最も多かったのは「ウエブサイトの閲覧状況などの履歴の保存」と「ウエブサイトの閲覧を制限」で、それぞれ64.3%。「インターネットの利用状況をシステム上でモニタリング」「インターネットができるパソコンを制限」も、それぞれ28.6%に上っています。

図(2) 1000人以上の企業ではどんな対策を講じているか?(複数回答)

図(2) 1000人以上の企業ではどんな対策を講じているか?(複数回答)

最近では、社員によるインターネットや電子メールの利用に対するモニタリングをする企業も少なくないと言われます。労務行政研究所の同じ調査の結果よると、社員によるモニタリングを行っている企業は、1000人以上の規模で約29%、300~900人が約22%、300人未満では約15%と、やはり大手ほどその割合が高くなっています。

大手企業の75%が電子メールの「送信・着信履歴」を保存

では、電子メールの私的利用への防止対策はどうでしょうか。図表(3)をごらんください。

図(3) 電子メールの私的利用を防止する対策を講じているか?


図(3) 電子メールの私的利用を防止する対策を講じているか?

インターネットと同様に、企業の規模によって、「対策を講じている」という割合が違っており、やはり中小企業では、中堅・大手企業と比べると対策を進めている割合が少ないようです。1000人以上の企業では85.7%、300~999人の企業でも87.9%が「対策を講じている」と回答していますが、中小企業では73.1%にとどまっています。

図表(4)で、1000人以上の企業が具体的にどのような対策を講じているかを見てみると、「電子メールの送信・着信履歴の保存」が75.0%と、4社に3社で実施されているのが目を引きます。図表(4)にはありませんが、「電子メールの送信・着信履歴の保存」を実施している300~999人の企業は43.1%、300人未満の企業は23.1%という結果もあり、それらと比べると、大手企業では電子メールのセキュリティ対策強化の姿勢が強く打ち出されている、と言えそうです。

図(4) 1000人以上の企業ではどんな対策を講じているか?(複数回答)

図(4) 1000人以上の企業ではどんな対策を講じているか?(複数回答)


ウエブサイトの閲覧と電子メールに対するモニタリングを実施している企業に、その「頻度」を尋ねた調査結果もあり、それによると、ウエブサイトの閲覧の場合は「随時行っている」と「常時行っている」がそれぞれ37.9%、34.5%でした。電子メールは「常時行っている」が41.7%と最も多く、「随時行っている」と「定期的に行っている」はともに29.2%となっています。

「アダルトサイト閲覧」には「けん責・注意」の処分

もし、企業がインターネットや電子メールの不正使用や私的利用を見つけたら、その社員にどのような措置をとるのでしょうか。図表(5)をごらんください。不正使用や私的利用に対する「最も重い懲戒処分」を企業に回答してもらいました。

図(5) 私的利用・不正使用があった場合の懲戒処分は?

図(5) 私的利用・不正使用があった場合の懲戒処分は?

「アダルトサイトの閲覧」「私用メールの多用」「パソコンを使って度重なる業務に関係のない私的文書の作成」「会社貸与の携帯電話の頻繁な私的利用」といった4つのケースに対する処分では、「けん責・注意処分」の割合が40%台を占め、最も多くなっています。「判断できない」とする回答も28~40%と比較的多くなっており、これは実際に不正行為が行われたときの状況に応じて、適宜処分を検討するものと考えられます。

一方、「社内機密データの持ち出し・公開」については、過半数の企業が「懲戒解雇」という最も厳しい処分を下す結果となっています。2005年4月から、個人情報を取り扱っている事業者に対して、個人の権利と利益を保障するための義務と対応を定めた「個人情報保護法」が施行されましたが、この法律による影響も大きいと考えられます。また、営業秘密の不正使用、開示などについても、2005年の改正不正競争防止法によって、従業員だけでなく企業も処罰の対象になりました。こうした事情から、企業も社員の処分については最も厳しい姿勢で臨んでいるのでしょう。

注)
ここでは、労務行政研究所が2006年2月6日から3月3日にかけて、全国証券市場の上場企業(新興市場の上場企業も含む)3708社と、上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上)349社の合計4057社を対象に行った調査(このうち139社が回答)をもとに、「日本の人事部」編集部が記事を作成しました。同調査は「インターネット等の私的利用に関する実態調査」と題されたもので、その主な内容が2006年5月17日、報道各社あてにプレスリリースされました。
図表(1)~(5)は同調査の結果をもとに「日本の人事部」編集部が作成しました。

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