職場のモヤモヤ解決図鑑【第84回】
忙しいなら分担しよう!チームで取り組むOJT[前編を読む]
自分のことだけ集中したくても、そうはいかないのが社会人。昔思い描いていた理想の社会人像より、ずいぶんあくせくしてない? 働き方や人間関係に悩む皆さまに、問題解決のヒントをお送りします!
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山下 健悟(やました けんご)
関東圏のメーカー課長職45歳。20人ほど部下がいる。部下がもっと働きやすく、活躍できるチームを目指し、試行錯誤の日々。
新たなOJT担当者として計画作成に取り組む桐野さん。一方、そんな様子を見て、一人で頑張りすぎかもしれないと考えた山下さんは、桐野さんにチームでOJTに取り組むことを提案しました。チームで役割を分担すれば、一人ひとりの負荷を下げられます。チームでOJTに取り組む際のポイントを見ていきます。
チームで取り組むOJT
OJT担当は、3年目から5年目くらいの若手や中堅社員が担当するケースが多く見られます。OJTで新入社員や新たなメンバーを指導することは、OJT担当者のマネジメントスキルアップにつながります。
一方で、自身の業務との両立に悩んでしまうこともあります。メンタル面のフォローや業務の指導方法で、力量不足を感じることも少なくありません。チームでOJTに取り組むことで、このような課題を解決できます。
OJT担当者のよくある悩み
新入社員からすれば、「頼れる指導係」であるOJT担当。しかし、実は教える本人が不安や力量不足に悩んでいることも少なくありません。
- 何を教えればいいのか分からない
- 新人との接し方、人間関係の構築の仕方に悩んでいる
- 指導やフォローする時間がない
- 上手な教え方が分からない
- 新人のモチベーションを向上させる指導法に悩んでいる
チームでOJTに取り組むには
チームで取り組むOJTでは、チーム内で役割を決定します。役割には、以下の例があります。
- OJTリーダー:OJT計画書を作成(またはチェックする)
- OJTトレーナー:実際に業務を通じて指導する
- メンター:OJT担当者とは別の相談役(マインド面のサポートを重視)
指導する業務ごとにOJT担当者を分ける方法は、OJT担当者の業務負荷を減らす上で有効です。OJTリーダーは、自社の育成計画とOJT計画書の内容が食い違わないように、上司や管理職など人材育成に理解がある立場の社員が担当します。OJTトレーナーは、計画書にそって指導しながら、理解度をOJTリーダーに報告したり、気になる点をメンターに共有したりします。メンターは、リーダーやトレーニーとは違う相談役として、メンタル面を中心にケアします。
OJT運用のポイント
OJTをスムーズに進めるために、重要なポイントを見ていきます。
OJT対象者ごとの注意点
OJTを行う際は、指導する対象者に合わせて計画を立てます。新入社員、中途採用者、異動者と、それぞれに重要なポイントを押さえます。
新入社員
OJT後に期待するべき姿(ゴール)を、重点的に共有します。やる気がある新入社員は、「もっと難しい仕事がしたい」と感じる傾向があります。基本業務がつまらないままだと、モチベーションが低下する可能性も。ゴールを丁寧に共有することで、OJTが育成段階の一つであることを理解してもらえます。また、業務以外の相談にのるなど、メンタル面のケアも重要です。
中途採用者
すでに持っているスキルを評価しつつ、会社が期待する役割を伝え、現状とのギャップを共有した上でOJTを進めます。中途採用入社では、以前の職場で高いパフォーマンスを発揮していた人ほど、入社後に現状とのギャップにストレスを感じる可能性が高くなります。OJTで必要なスキル・知識を習得できるように、サポートします。
異動者
同じ会社での異動とはいえ、職場環境は大きく変わります。早期の活躍を期待しすぎないように、注意が必要です。「異動先特有のルール」「その仕事ならではのポイント」を伝えるとともに、目標や評価基準に気を配ることも重要です。
異動が育児や介護など、ライフスタイルの変化に関係している場合は、働き方を考慮したOJT計画を作成します。
OJT担当者の選定ポイント
OJT担当者を選定する際は、担当者のスキルはもちろんのこと、対象者との相性を見極めることが重要です。能力は高くても、新人と相性が合わない場合、OJTの効果が十分に発揮されないことがあります。
面倒見がよい、周りによく気が付く、問いかけが上手といった人物は、OJT担当者に適しています。対象者に合わせたサポートや、教え方を考えられる人材を選びます。
【OJT担当者に必要な要素】
- 業務に関係する知識
- マネジメントスキル:計画策定、目標設定、現状把握、目標・計画管理など
- コミュニケーションスキル:社内連携・調整、ティーチング、コーチング、フィードバックなど
管理職がサポートするポイント
管理職は、OJTがスムーズに進むようサポートします。とくにOJT担当者の年次が低い場合は、社内連携や計画策定、他者の目標管理に不慣れなケースも。現場指導は任せつつも、計画や目標管理などは、伴走することも重要です。
【管理職がサポートできるポイント】
- OJT担当者に動機づけを行う
- OJT担当者を評価する
- OJT担当者のスキルアップを図る
- OJT担当者の過剰業務や不慣れな点をサポートする
- 社内の根回しや人材調達に協力する
【まとめ】
- OJTは、担当者の力量や業務負荷によって、望んだ効果が得られない可能性がある
- OJTリーダーやメンターを設けるなど、チームで取り組むことでよりよいOJTの運用ができる
- OJT担当者が不慣れな場合、管理職は伴走の必要がある
こんな感じで、営業同行のOJTは久保さんに担当してもらいたいんだ
分かりました!任せてください!
助かります。私は、山下さんと計画や管理を丁寧にやろうと思います!
自分のことだけ集中したくても、そうはいかないのが社会人。働き方や人間関係に悩む皆さまに、問題解決のヒントをお送りします!