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第34回:人材育成の費用対効果(ROI)の測り方(前編)
~教育の効果測定を出すことは、経営的には当たり前の行為である

解説:福田敦之(HRMプランナー/株式会社アール・ティー・エフ代表取締役)

厳しい経営環境の中、人事・教育部門には教育コストの抑制と、効果的な教育が求められている。しかし、「教育の費用対効果(ROI)は測ることができない」と、最初から諦めている人材育成担当者は少なくない。そのため、教育投資が減り、人材の質も下がるという悪循環に陥っている。このままでは、国力も下がってしまいかねない。経営において教育は投資であるから、その効果を測ることを経営が求めるのは当たり前の話である。それに応えないのは、担当者としてあってはならないことだろう。では、どうすれば教育のROIを測ることができるのか。その考え方と方法について紹介していきたいと思う。まず「前編」では、教育におけるROIを測ることの「意味」について、解説していく。

なぜ、教育の費用対効果(ROI)なのか

■「ROI」とは何か?
今回のテーマである「人材育成の費用対効果(ROI)の測り方」を記す前に、まず「ROI」について確認していこう。そもそも、ROI(投下資本利益率/投資収益率)とは、「Return on Investment」の略であり、投資した資本に対して得られる利益の割合を指す。ROIは、以下のように利益を投資額で割ったものから算出される。

【計算式】 ROI(%) = 「利益」÷「投下資本」( × 100)

要は、「費用対効果」ということを意味しているわけで、企業の事業や資産、設備の収益性を測る指標として、ごく一般的なものである。何よりも経営にとっては、投資に見合った利益を生んでいるかどうかを判断するための、重要な指標である。

使用する利益や投下資本の考え方については、ROIを使用するケースに応じて、多様なバリエーションがある。もちろん人材育成に関わる「教育コスト」も、その例外ではない。近年、人材マネジメントがHRM(人的資源管理)、人材についてもHC(人的資本)と呼ばれるようになったことから考えても、それは当然のことだろう。

■「教育コスト」の効果測定は、避けて通れない時代に
変化のスピードが速い経営環境にあって、経営から人事・教育部門に対する要求が一段と厳しくなっている。不況下にある現在、人材育成に関する「教育コスト」は、そのやり玉の先鋒に挙がっている。「事業や組織の再編が進むこの先、階層別研修をこのまま続けて、はたして効果があるのか?」といったような声に代表されるように、これまでの研修に対する「効果」に疑問を持つ経営者は少なくない。

もちろん、人材育成そのものを否定する経営者はほとんどいない。ただ、投資するコストが限られている以上、その使い道については、シビアな経営的判断が要求されてくる。「確かに、研修によって人が育つのは分かるが、どう育ったのか、どのように行動するようになったのか、どう売上げに対して貢献したのかが分からなくては、これまでのように投資することは難しい」など、教育に対する効果、つまりROIを求める経営者は非常に多い。今まさに、経営側から教育に対する厳しいチェックが入ってきたのである。

思えば、高度成長の時代、新人や中堅社員、管理職はかくあるべしというような「モデル」が存在し、それに向けた画一的な教育が効果を発揮していた。右肩上がりで経済が発展し、組織も拡大、階層別研修をはじめとした定型的な研修が機能していた。人材育成担当者にとっては、まことに幸せな時代であった。

ところがバブル崩壊以降、状況は大きく変わった。日本経済が停滞する一方、グローバル化が進展、企業は否応なく国際間競争に晒されるようになった。企業間競争は激化し、M&Aや組織の再編成、ビジネスモデルの変更などが相次ぎ、扱う商品・サービスも目まぐるしく変わっていく。こうした経営環境の変化と共に、求める人材像や能力、スキルも変化していった。そのための人事施策も変わらざるを得ない状況に置かれることになった。これまでの「かくあるべし研修」では、これらの変化に対応できない状況が明らかになってきたからである。人材育成の費用対効果(ROI)の問題も、こうした中からクローズアップされてきたと言えるだろう。

経営戦略としての教育への投資

■「戦略的投資」としての教育を考える企業
今回のテーマの下、幾つかの企業にヒアリングしていくと、経営課題と連動した「課題解決型の研修」や「現場のニーズに沿った研修」などは増加傾向にあることを確認できた。こうした企業では研修の狙いを明確にし、短期的な課題と同時に、中長期的な課題を達成するための研修を設計していくことに、教育への投資の主眼を置いている。そのためにも、最初から一連の研修の流れの中に、研修の効果測定を組み込んでいく、という動きも出てきている。

単に「教育コスト」を削減するのではなく、企業経営の視点から、他社との差別化など、経営戦略として効果が期待できるものについては、むしろ積極的に投資していこうとする企業も少なくないのである。

「企業は人なり」と言うが、特に日本企業の場合はそう。自社の将来を担う人材に対しては、より教育投資をしていこうと考えている。一方で、そうではない人材については、その限りではないというのも現実である。元来、投資とはそういう判断がされる世界であり、それは「モノ」や「カネ」だけではなく「ヒト」に対しても同様なのである。

いずれにしても今後、企業間の競争が一段と厳しくなっていく中、人材教育に対する効果測定は、もはや避けられない時代となってきた。であるならば、人材育成担当者としては、そうした経営者の「思い」に対して、ROIとしての「回答」を出していくのは当然の義務ではないだろうか。

■ビジネス社会において、教育は効果があるのか?
一般的に、教育を行うことによって、何らかの効果があるというのは合意形成されていることだと思う。それは、学校教育などを見れば明らかである。だからこそ国や自治体が力を入れているわけであり、受験産業の存在がそれを証明している。

ところが、これがビジネス社会となると、やや様相が異なる。学校教育のように、簡単に割り切れない側面があるのだ。なぜなら、ビジネスの世界は常に変化しており、それに対応する教育や研修は多岐に及び、その内容についても状況に応じて大きく変わってくるからだ。

学校教育では教育の目的が明確で、教材も標準化されたものがあり、テストでの点数が示されることによって、一定の効果測定がされることになる。巷間、人間力の形成でその問題点を指摘する研究者も多いが、それは今回のテーマとはまた違う話なので、別の機会に譲りたいと思う。

一方で、企業における教育は、何よりもその目標というものが、時代や企業の置かれた状況によって大きく変わってくる。特に、ここ数年の変化は予想を超えたものになっている、また、教材も企業によって異なり、多種多様な状況の中で行われている。そして、その効果についても、もし「業績」について問うのならば、「正直、やってみないと分からない…」というのが人材育成担当者の本音ではないだろうか。

■「経営課題」を意識することから始まる
そのためにも、企業経営と教育との関係を常に意識しなければならないように思う。教育と経営の関連を考える場合、経営課題から導き出された人材戦略が策定され、そこでは将来に向けての人材育成の方向性が示される。そこにおいて、最も有効な教育研修は何なのかを、人材マネジメントのバリューチェーンの中で考えていくことが重要である。そして、それぞれの研修の目的に応じて、研修の計画を立て(PLAN)、それを実行し(DO)、そして評価していく(SEE)という「PDS」(PLAN-DO-SEE)のサイクルを回していくという、経営活動としてはごく当たり前のことを行っていく話が、改めて俎上に乗っているのだ。

ところが、多くの企業では従来の枠組みや仕組みにこだわるあまり、経営課題とそれを踏まえた人材戦略について、あまり踏み込んだ対策を講じていなかったように思う。というより、経営課題を打ち出しながらも、現実にはあまり関係のない定型的な研修を行っている企業が少なくないのだ。そうした安易な研修の実施は、研修効果の測定ができないばかりか、単に教育コストを投下するだけに終わってしまい、研修終了時には誰にも何も残らない、という状況になっていく。不思議なことだが、こういう企業が少なくないのである。

昨今の厳しい経営環境下においては、限られた時間、コスト、人員が必須となるのは仕方がない。この条件で研修を実施するのであれば、経営課題との関係性をきちんと踏まえた上で、その仕組みとメニュー、運用の仕方、何よりも効果測定について、今一度、再構築していくことが求められているのは当然の成り行きである。

図表1:経営戦略へと、いかに対応するか(*人材マネジメントのバリューチェーン)

ROIを示すことが、人事・教育部門の「存在価値」につながる

■ROIを示し、「経営」に対して貢献していく
戦略的に人事・教育部門の位置づけを考えたとき、重要なのは一部門として「成果」を出すことである。しかも、なるべく早く成果を出して、企業にとって人事・教育部門の意味を証明していく。これができないと、その「存在価値」は希薄となってしまう。

そうならないためにはいろいろなアプローチがあると思うが、やはり、従業員一人ひとりの行動を変えることによって、生産性を向上させていくことが大切だと思う。組織には、パフォーマンスのレベルがいろいろな人たちがいる。その能力やスキル、行動や態度を改善しなければならない人たちにスポットを当て、生産性向上につながるプログラムを作成し、一定期間をかけて実施していく。そして、最終的にどれくらいのパフォーマンスの改善があって、売り上げに対してどのくらいの効果が出て、そこに投資した金額がいくらであるかを計算していくと、投資に対する効果が出てくる。それを証明することにより、人事・教育部門は経営に対して貢献できることになる。

このROIを示す一連のプロセスというのは、生産性向上だけでなく、組織の活性化にもつながるわけで、これは経営のみならず、教育を受ける人たちや現場のマネジャー、そして人事や能力開発に携わる部門の人にとっても、至極ハッピーなことであると思う。

■まず、「何を測るべきか」を考える
そう考えていくと、教育のROIを測ることができたら、大変すごいことである。とはいえ、言葉ではそう言いながらも業績が悪くなると一転、最初に教育費用が削られている現実がある。

何のために教育はあるのか?そこには、あるべき姿があって、目標とする姿がある。それがうまくいっていない現状があり、その「ギャップ」を埋めることが、まさに教育なのではないだろうか。

その際に考えなくてはならないのは、「目標は何か?」ということ。目標がROIならばROIを測ればいい。行動変容ならば行動変容がどう起きているかを測る。知識やスキルが必要なら、それらを得ることができたのかどうかを測っていく。このように、目標が何かによって、測るべきものが違ってくるのである。要は、「経営が目指しているものは何か?」を明らかにすること。それが分かれば、測る指標や基準を持ち、測っていけばいいだけの話である。

*               *

以上、「前編」は教育における費用対効果(ROI)の重要性について、紹介してきた。「後編」では、教育効果の測定と評価を、どのように進めていけばいいのかについて、記していくことにする。

「後編」に続く

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

(後編に続く)
この記事ジャンル 能力開発関連制度

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東京都 情報サービス・インターネット関連 2022/10/19

 

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